「木下黄太のブログ」 ジャーナリストで著述家、木下黄太のブログ。

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本日10時原発建屋手前の地下水560トン海洋放出も、危機を越えられない現実。首都圏マンション発売4割減。

2014-05-21 00:50:00 | 福島第一原発と放射能

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本日午前10時よりタンクにためている、原発建屋手前の地下水を、560トン海洋放出をするようです。

地下水が更に汚染されるよりは、少しでも汚染前の地下水を海洋に流したほうがマシだという論理はよくわかります。

しかし、実際にこれで地下水が汚染水になるのを回避できるのは、全てではありません。

実は焼け石に水的な話です。

海洋放出をするという衝撃を強く受け止めるよりも、海洋放出をしても、実はそれより多くの汚染水が、建屋地下で毎日つくられている実状は大きく変化はしていないということです。

東電が言っている話どおりでも、地下で日々できている汚染水を最大で二割程度減らせるという話です。推定に過ぎませんが。そういう東電が言っているとおりになっても、汚染水の八割はそのまま出来続けています。

数百トンできていると推測される汚染水が、楽観的な見通しで数十トンから百トン減らせるという話です。

ですから、この海洋放出は、やらないよりはやったほうがマシなのですが、実は目くらましてきな効果しかなく、本質的に汚染水問題を解決する手立てにはならないということです。

実際に底が抜けている燃料の在り処も含めて、汚染の拡散を食い止める有効な方法は、まるで無い状態がきちんと継続しているということです。

海洋放出という単語で、風評がどうのという感覚よりも、実は放出しても大して効果が無いことを、大きく見せているのが現実であることを認識すべきです。

朝日新聞がスクープしている吉田所長調書から、九割くらいの福島第一原発職員が、第一原発から事故当初に逃げていたことが分かりました。僕はこの人たちを責める気はあまりありません。勇敢に戦った吉田所長は、偉大であっても、全ての人間が原発や東電に命を差し出せと言い張る論拠も僕にはありません。ある意味、戦ってくれた吉田所長は、今、この世にはいないのですから。

この事実が、照らし出していることはたった一つです。

原発というものは、何かが起きたときに、人が何かを出来るのかどうかなど、保障の限りではないということです。

原発は人間がコントロール出来ないという事です。

放射能に人間は勝てません。

この3年間解決しない状況が、この後も解決する可能性が大きく見えている状態ではありません。

日本で、直接放射能の拡散が続いている状態には何も変化はありません。

こういう社会が、時間経過と共に、更に追い詰められることは、僕にははっきりとみえています。

チェルノブイリでは一週間で止められたことも、3年経過しているのです。

そして汚染された土地が、そこに生きる人々がどうなってくるのか。

ひとつ気になるのは、不動産経済研究所が発表した、この4月の首都圏マンションの新規発売戸数が2473戸で、昨年4月と比べると、およそ4割(↓39.6%)も減りました。前年実績を3ヶ月連続で下回っているようです。

近畿圏での前年同月比9.3%減よりも、首都圏の減少は大きいです。

景気が回復しているといっても、動産、株価が少しあげられているだけで、肝心な首都圏の不動産は実は厳しい状態が続いています。これはおかしな話ではありません。放射性物質に汚染されている場所の価値が上がり続けることなど、冷静な頭で考えればありえません。

だから市場は、実は冷酷にそうしたことを時間経過と共にはっきりさせてきます。

だめなものはだめです。

こういう当たり前のことも、口にすることが出来なくなりつつあるこの日本社会。

マンガの表現がどうのこうのというよりも、そうした社会は、更に凋落する兆しがはっきりしていることの方が問題と思います。

不動産市場は、表向きの繕い言葉とは違い、人間の本当の意識を浮き彫りにするものの一つです。

オリンピック神話や既得権者の抵抗があっても、いずれははっきりすることになると僕は考えています。

リアルに露骨に。

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