●宇宙探査●月と火星を第2の地球に!―SPE―         科学技術研究者   勝 未来

                 ~各国は月と火星の探査計画を着々と実行に移している~   

●宇宙探査<ブックレビュー>●「べテルギウスの超新星爆発」(野本陽代著/幻冬舎新書)

2014-04-01 15:03:16 | ●宇宙探査<ブックレビュー>●


書名:ペテルギウスの超新星爆発―加速膨張する宇宙の発見―

筆者:野本陽代

発行:幻冬舎

目次:第1章 ベテルギウスに爆発の兆候?!
          晩年を迎えたベテルギウス
          ベテルギウスに爆発の兆候?! など
    第2章 星の誕生と進化
          地球中心から太陽中心へ
          太って赤くなるのは老化現象 など
    第3章 たそがれを迎えた星たち
          彗星の番人の誤算
          客星現る など
    第4章 宇宙の扉を開く
          ミクロの世界、マクロの世界
          宇宙の過去を見る方法 など
    第5章 宇宙はどこまでわかったか
          夜空はなぜ暗いのか
          昨日のなかった日 など
    第6章 加速膨張する宇宙の発見
          謎のエネルギーの存在
          恐竜の絶滅と超新星探し など


 この書籍の筆者の野本陽代氏は、慶応義塾大学法学部卒業して翻訳業を営むサイエンスライターなのではあるが、これまで出版してきた天文学の著作を読むと専門の天文学者顔負けの博識ぶりにはただただ敬服させられる。このことは、2004年から2011年まで文部科学省宇宙開発委会委員を歴任していたことからも裏付けられる。

 そんな野本陽代氏の最新の著作がこの「べテルギウスの超新星爆発―加速膨張する宇宙の発見―」(幻冬舎新書)である。ペテルギウスとは、我々にお馴染みのオリオン座にある1等星のことであるが、このペテルギウスが近く爆発するかもしれないというニュースが世界中を駆け巡った。この星は地球から約630光年と比較的近い距離にあるので、爆発すれば満月と同じくらいの明るさになると言われている。

 明るいだけなら問題はないのであるが、爆発と同時に強力な放射線が発射され、地球がその放射線を浴びれば人類を含む地球上の生物に致命的ダメージを与えるのではないかとも言われてきた。幸い、この放射線から地球の位置がずれていたので事なきことが分った。ことほど左様に宇宙は日々激しく活動しているわけである。この本はそんな宇宙の成り立ちから、これからの宇宙がどう変化を遂げていくのかを超新星という現象を例にとり、誰でもが理解できるよう平易に解説してある。

 現在の宇宙は膨張していることを証明したことに対し、2011年のノーベル賞が授与されたが、この受賞者がまだ学生の駆け出し時代から筆者は交流を持っていたという。この宇宙膨張のいきさつを紹介する第6章などは、何か推理小説でも読んでいるような感覚に襲われる。宇宙がどう生まれ、これまで人類がそれをいかに探求し、さらにこれからの展開はどうなるのかに興味がある人には欠かせない書といえる。
(勝 未来)

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ●宇宙探査●ESAの探査機「ロゼ... | トップ | ●宇宙探査●JAXAなど、「いぶ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

●宇宙探査<ブックレビュー>●」カテゴリの最新記事