北海道大学と宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、金星大気の分厚い雲を透かして観測できる金星探査機「あかつき」の観測データを使って風速を求めたところ、2016年のある時期に、中・下層雲領域(高度45-60km)の風の流れが赤道付近に軸をもつジェット状になっていたことがわかり、これを赤道ジェットと命名した。
これまで、この高度帯の風速は、水平一様性が高く時間変化も少ないと考えられてきたが、予想外に大きな変動があることが、「あかつき」の観測による今回の研究ではじめて明らかになった。
金星の大気は地面から雲頂(高度約70km)にかけて急激に増加し、自転をはるかに上回る速さで流れる「スーパーローテーション」と呼ばれる状態になっているが、そのメカニズムはまだ解明されていない。今回発見された赤道ジェットの形成を理論や数値計算に取り入れることで、その謎に一歩迫れると考えられるという。