TVドラマ「北の国から」の作者としてが、一番有名か、倉本聰のデヴューごろからの自伝。ニッポン放送からスタートし、映画、TVドラマのシナリオを数多く執筆、現在も存命で、先日TVコマーシャルで拝顔した。
こちらで一番記憶にのこっているのは「拝啓おふくろ様」1967年放映だから相当古いから知らない人も出てきているのではないだろうか。ショーケンこと萩原健一が山形から出てきた見習い板前として、田舎の母への朴訥な手紙文のナレーションが面白かった。
ドラマの説明がこの本にあるおでちょっと抜き書きす。
下町深川の板前のはなしである。しかもまだ下っ端。板長に梅宮辰を配し、先輩ンお板前に小松政男、料亭の若女将に丘みつ子、サラのその上の大女将に北林谷栄、恐ろしい鳶の小頭に室田日出夫、さらにその下に川谷拓三、長髪だった髪をばっさりきらせ、山形から出てきたての修行中の板前の役をショーケンに充てて書き下ろしたら、この目論見がぴったりはまった。
倉本聰のシナリオがその後出版され、全部で16作品ぐらいか、持っていた。(どうやら、本を整理した時に残らなかったみたい。)
NHKのドラマ、「勝海舟」で雑誌のインタビューの見出しでもめ、北海道に失踪し、無頼な生活をおくったことや、富良野塾の創設のこと、それに興味深いのは、高倉健や石原裕次郎、勝新太郎などの一流の役者たちとの思いでが語られる。ちょっと滑ってしまう気質があるのか、商売敵山田太一なんて表現もある。この二人、当時のベスト・シナリオ・ライターだった。
2008年ドラマ「風のガーデン」での死の迫った緒形拳と逆に役で死にゆく中井貴一の演技、打ち上げのすぐ後のに亡くなる緒形の去就などこの本でしかわからない。
終章まえ、最後に大原麗子のことが書いてある。病気の併発で精神に異常をきたし、それまでの友人たちを失って孤独死をした残酷な花の末路をみた著者が最後に語っていることが彼の書く力であり、本望なのであろう。ちょっと長いけれど、そのところを。
世間は勝者にやさしいが敗者には冷たい。見向きもしない。そしてかっては花に群がり、浮かれ騒いでいた大衆というものは、花が萎れると途端に去っていく。
そういう人々を余りに多数僕は見てきた。病の為につまずいた者、ふとした不祥事でしくじった者。落とし穴に落とされて消えていった者。花が散ったのにまだ咲いていると自分を見失って自沈して行った者。
そういう者たちの哀しいドラマを、いつか書きたいと僕は思った。
そして終章では、彼の作品に一番多く出たと思われる八千草薫の最期、「北の国から」の黒板五郎、田中邦衛の死のことが語られる。
ちょっとお年を召した方には面白いと思う。知らなっかったあの人たちの死にまつわる事を知り、こちらは、なんだか多くの人たちがその場所にいるのだと、ちょっと安心した。
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