病気の原因には、様々なものがあります。

中には虫によって病気が運ばれてしまう病気もあります。

中でも厄介なのが、蚊によって媒介される病気です。

気づかぬ間に人から人へ病気が広がってしまい、なかには命に関わったり、日本に持ち込んでしまうと入院を余儀なくされたりするような病気もあります。

どのような病気や症状があるのか、理解しておきましょう。

蚊が運ぶ病気が増えている

実はここ10年で、蚊が媒介する病気が徐々に話題に登ってきています

蚊は世界では多くの種類が知られています。

その中でも、様々な病気を媒介するのはごく一部の蚊です。

蚊は、病気に感染している人の血液を複数の人にばらまいてしまい、一人の人が持っていたウイルスや寄生虫を多くの人に広げてしまうのです。

つい最近でも、平成26年にはデング熱の患者が国内で報告されるなど、蚊が媒介する病気は徐々に身近な問題になりつつあります。

これまで、蚊が媒介する病気の大半は、東南アジアやアフリカなどの赤道直下の地域で流行しているものでした。

しかし近年では、旅行客を介して日本国内に病気が持ち込まれてしまう可能性が生じています。

また、日本ではハマダラカ・アカイエカ・ヒトスジシマカなどが主に病気を媒介する蚊として知られています。

これらの蚊は水たまりや沼地、池などの流れのない水の近くで繁殖するので、このような場所に近づくときは、蚊に刺されないように気をつける必要があります。

蚊-写真

1.マラリア

マラリアは、マラリア原虫という寄生虫が感染することで発症する病気です。

感染する原虫の種類によって症状が異なりますが、主に熱が引いたり出たりを繰り返す間欠熱という症状がみられます。

血液の中の赤血球の中に原虫が住み着き赤血球を壊すため、貧血を起こしてしまうのが特徴です。

この他にも、脾臓(古くなった赤血球を壊す機能を持つ臓器)が大きくなる脾腫という症状が現れてきます。

マラリアは、ハマダラカという種類の蚊によって媒介されています。

熱帯地域に旅行した際には、注意しなくてはいけない病気です。

また、マラリアは世界で4種類が知られていて、それぞれ症状が異なります。

2.デング熱

デング熱は、デング熱ウイルスを媒介するネッタイシマカヒトスジシマカによって広がる感染症です。

主な症状は、3~14日の潜伏期間(感染後、症状の出ない期間)の後にやってくる頭痛や鈍い目の痛みです。

加えて、38度以上の発熱を示すことも特徴として知られています。

この発熱が1週間前後続き、全身に発疹が出てくることがあります。

発熱と発疹が認められた場合には病院で医師に相談することが必要です。

デング熱もマラリア同様、亜熱帯や熱帯地域で流行している病気です。

ハワイなどの衛生状態が良い地域でも報告例があるので、注意してください。

また、デング熱に繰り返し感染すると体の免疫反応が非常に強く出現してしまい、血管が壊れて出血を起こすようになってしまいます。

この状態をデング出血熱といい、重症化すると死亡するケースもあるのです。

デング熱は、近年では日本での発症報告もあります。

蚊が多い場所に出向くときには、虫よけなどを携行すると良いでしょう。

3.日本脳炎

日本脳炎は、日本脳炎ウイルスというウイルスが原因で発症する疾患です。子供や高齢者に多く見られる病気でした。高熱や頭痛や吐き気が主な症状で、やがて意識障害や麻痺を起こしてしまいます死に至る患者さんもいるので、古くから予防接種が行われてきました。

日本脳炎はアカイエカの仲間によって媒介されます。潜伏期間が1~2週間ほどあるので、感染に気づかず他の人にウイルスを広げてしまう可能性もあります。

必ず予防接種を受けるようにしましょう。

日本脳炎については、「蚊に刺されて高熱が出た…それは日本脳炎かも!?」で詳しく解説しています。

4.ジカ熱

ジカ熱は、最近になり感染が広がったことで有名な疾患です。

主な症状はデング熱と同様ですが、特に注意が必要なのが妊婦さんが感染した場合です。

妊娠中の女性が感染した場合、胎児が小頭症(生まれつき頭部があまり発達せず、小さい頭部を持った状態)で生まれてくるリスクが高くなることが分かっています。

ジカ熱そのものはデング熱に比べて症状が軽く、いきなり死亡することはほとんどありません。

しかし、胎児の発育に非常に悪影響を与えてしまうので問題視されています。

日本へ持ち込まれないようにするため、注意喚起が行われている疾患です。

東南アジアや南米地域、アフリカなどでジカウイルスの感染症が報告されています。

旅行の際には、虫よけに特に注意を払ってください。