ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

LAFORET SOUND MUSEUM 2009 part 1

2009-06-08 19:51:27 | フェス、イベント
MELISSA LAVEAUX / CAMPHOR & COPPER

5月30日、31日、原宿ラフォーレにて開催された「LAFORET SOUND MUSEUM 2009」。出演アーティストはメリッサ・ラヴォー、カヒミ・カリィ、モリアーティの3組。結局私は両日とも観に行ったのですが、30日は最前列ど真ん中、31日は一番後ろの端っこと、両極端の席に着きました。

トップ・バッターはメリッサ・ラヴォー。フランスで活動しているそうですが、実はハイチの血を引くカナダ生まれというシンガー・ソング・ライター。初日はピンクのストライプ柄という可愛らしい衣装で登場。イベント自体の一発目と言うこともあり、会場自体の雰囲気が硬い中、彼女の特徴的なギターの爪弾きとあの声が響きます。静けさの中で聴く彼女の生の歌声はピュアそのもの。低くハスキーなその声質はオーガニックな土っぽさに溢れ、ハイチをルーツに持つアイデンティティがその声に緊張感を与えます。そして何より黒人ならではの原始的な弾力感がある。それはギター・スタイルにも言えることで、パーカッシヴな指弾きにはポリリズミックな“跳ね”が内包され、それらに何か根源的な迫力を感じさせられました。それは大地に根ざした本物だけが放つ迫力とでも言いましょうか。CDとはまた違うライヴならではの“野生”が音に宿ってました。

彼女をサポートするのはウッドベース奏者ただ一人。独特の緊張感を孕みながらも素朴且つ人間的な二人のコンビネーションも良い空気感を作っていました。曲目は「My Boat」や「I Want To Be Evil」、「Needle In The Hay」といったアルバム収録曲を中心に、ホワイト・ストライプス的な曲なんかも挟み、10曲程演奏してくれたでしょうか。意外だったのは前半こそアコギを使っていましたが、途中でエレキ・ギターに持ち替えたこと。ま、箱形のギターのようでしたので、完全なエレキ・ギターとは呼ばないのかもしれませんが、音はエレキの音に聴こえました。個人的にはアコギの方が良かったかな…、なんて思ったりもしましたが、そんな裏切りもまた、メリッサがそこいらの単純なシンガーではない証かもしれません。

2日目は、私はメリッサの演奏中に会場に入り、ほとんど最後の方しか聴くことができなかったのですが、前日は残念ながら最後まで会場の硬さがほぐれなかった印象だったのに対し、この日は笑顔で観客に話しかけるなどして、客席との距離を確実に縮め、雰囲気的にも余裕を感じさせてくれましたね。そして最後にやった「Needle In The Hay」はやっぱり格好良かったです!

2番手はカヒミ・カリィ。彼女のライヴは初めて見ました。ただこの並びにカヒミ・カリィは必要なのか?と言う疑問があったりもしたんですけど、なんだかんだで楽しみました。1曲目、彼女の消え行くような美声より、私の興味はジム・オルークに集中してしまいました。なにやら怪しげなものをいじくり回しガチャガチャとノイズを出しているんです。ですが微妙に客席に背を向けた状態でやっているので、正面最前列の私からもよく見えないんです。なんか箱形のものや、ゴム風船のようなものもチラリと見えたんですけど…。終演後にステージを確かめましたら、親指ピアノのようなものが置いてあったので、それをどうにかしていたのかもしれません。風船は…?

今回はバックに大友良英、ジム・オルーク、さらにゲストとして30日には山本精一、31日には伊東篤宏を加えた編成。カヒミ・カリィ、大友良英、ジム・オルークの3人が産み出すロマンチック且つアヴァンギャルドな音像は流石に聴き応え充分。ゲストの山本精一は、最後の曲のギターソロで存在感を発揮したものの、私のような素人耳ではちょっと見せ場が少なかった印象ながら、その渋さが逆に光っていたかも。それに対して伊東篤宏は蛍光灯を楽器に換えた自作のオプトロンを持ち、見た目に光ってるだけでも存在感抜群で、もちろんそのノイズも刺激的でした。

終わってみれば、カヒミ・カリィの存在は色々な意味で光っていたと思いますし、この並びだからこそ、イベントの立体的な面白さを感じました。そしていよいよメイン・アクトのモリアーティ。ですが、長くなったので、こちらはまた次回。

つづく。

*写真は5月29日にタワレコのインストア・イベントでサインを頂いたメリッサ・ラヴォーの「CAMPHOR & COPPER」。


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