さて、フジロックが終わって2週間が経とうとしております。
「ルーツな日記」もそろそろフジロックを振り返ってみたいと思います。
という訳で、お待たせいたしました!
フジロック2022、「ルーツな日記」的ベストアクト第1位は、DAWES でーす!!!!
初日金曜日、フィールド・オブ・ヘヴンが闇に包まれる頃、場内に響いた「苗場音頭」と共に登場したDAWESの面々。まさか「苗場音頭」をSEに持ってくるとは粋な計らい。ヘヴンに集まった我らはこの瞬間、すでに彼らの術中にはまっていたのかもしれません。
フロントにはヴォーカリスト/ギタリストのテイラー・ゴールドスミス。その左奥にキーボーディストのリー・パルディーニ。右にベーシストのワイリー・ゲルバー、その奥にドラムスのグリフィン・ゴールドスミス。彼はテイラーの弟。そしてサポートギタリストを一人加えた総勢5名。7月にリリースされたばかりの最新作「Misadventures of Doomscroller」のオープニングを飾った「Someone Else's Cafe / Doomscroller Tries To Relax」でそのステージは幕を開けました。
広大なアメリカの土壌をたっぷりと感じさせる芳醇なサウンドに、どこか物悲しいメロディーと琴線を刺激する歌とギター。懐かしさと温かさに満たされるようなその楽曲の良さもさることながら、ライヴならではの激熱な展開や、長尺化するギターソロを含め、その卓抜とした演奏能力に、かの地で培われたライヴバンドとしての力量をまざまざと見せつけられ、そんな彼らの世界にただただ飲み込まれていく、その喜び!!
そう、コロナのせいで久しく、音楽に浸かる”喜び”から遠ざかっていた者にとって、フジロックはまさにそんな”喜び”であり、そしてこのドーズこそ、私にとっての最大の”喜び”だったのです。あ~、音楽っていいなー!!ライヴっていいなー!!って心の底から思いましたね。今年もフジロックが開催されたこと、そしてこのドーズを呼んでくれたことに心底、感謝しました。
私がこのドーズを知ったのは、2014年にジョナサン・ウィルソンがフジロックに出演決定した時でした。私は予習のつもりで彼の周辺を漁っているうちに、このドーズにたどり着いたのです。ジョナサン・ウィルソンと言えば、当時はファーザー・ジョン・ミスティのコラボレータ―としても話題になっていた人ですが、実はLAを拠点にしたローレル・キャニオン系のアーティストでもあり、かなり興味深い人脈を持っている人だったりしたんです。で、今回の主人公であるドーズは、2009年にジョナサン・ウィルソンのプロデュースでデビューしているんです。
ドーズのサウンドは、一言でいえば、やはりローレル・キャニオン系、つまりウエスト・コースト周辺のアメリカン・ロックなわけでして、曲と歌を大事にするようなフォーキーな感覚が印象的。ですがその奥底から、ブルースやカントリーなど米ルーツの旨味が滲んでくるような、そんな奥深さがある。しかもライヴでは、その奥深い部分がより前へ出てくるから堪らない!!
「Someone Else's Cafe / Doomscroller Tries To Relax」後半のコーラス・ワークの見事さ、「From a Window Seat」での土っぽさを感じさせるグルーヴ感。そして序盤のハイライトはデビュー作からの「When My Time Comes」。 テイラー・ゴールドスミスの飾らない真摯な歌声が高々と森に響いた感覚が今でも忘れられない。まるで我々観客達を鼓舞するような。あのサビの高揚感は半端無かった!!本当ならシンガロングしたかったんですけど、それが出来なくても、会場の一体感を感じられた美しい瞬間でしたね。
また「Somewhere Along the Way」でのテイラーのスイートなギターソロも堪らなく良かった。ラブリーなフレーズを巧みに重ねていく、そのニュアンスの違いだけで聞くものを魅了していく。音程の上げ下げだけで引き込まれる瞬間が何度もありました。 テイラー・ゴールドスミスというギタリストの魅力に打ちのめされましたね。音色がまた良いんですよ。サポートギタリストさんも加わってのツインリードがまた格好良くて!!
「 Feed the Fire」ではテイラーのギターと、エレピとオルガンを弾き分けるリー・パルディーニの絡みが秀逸で、そこにグリフィンがファンキーなビートでぐいぐい迫ってくるなど、ジャム・バンド的な気質がヘヴンの夜を熱くしましたし、この夜、唯一のストレートなアップテンポ曲だった「Who Do You Think You're Talking To?」では観客たちの手拍子に後押しされるような圧巻の疾走感で、まるで西海岸の風がヘヴンを駆け抜けたかのようでした。
そして「When the Tequila Runs Out」。そもそもファンキーな感覚の濃い曲ではありましたが、ライヴで聞くとさらにアメリカン・ルーツの深いところが浮き彫りになるような圧巻の演奏でしたね。そもそも私が愛聴していたライヴ盤のテイクとはアレンジがまるで違いましたし、グリフィンとワイリー・ゲルバーのリズム隊を軸にメンバーそれぞれのグルーヴが有機的に絡み合うような、これぞライヴな演奏には興奮しっぱなしでした。
いやはや、リズム、歌、ギターソロ、鍵盤ソロ、それぞれの聞かせどころを存分に抑えつつ、それぞれが変幻自在に混ざり合いながら、随所にプログレッシヴでジャムバンド的な展開を見せ、アメリカン・ロックの王道とその深みを、フィールド・オブ・ヘヴンという森の中で聞かせてくれたドーズ。
最後はスローナンバー「All Your Favorite Bands」で感動的に締めくくってくれました。
いやほんと、素晴らしいライヴでした!!
ドーズ、また来日してほしいな。
01. Someone Else's Cafe / Doomscroller Tries To Relax
02. From a Window Seat
03. Comes in Waves
04. When My Time Comes
05. Didn't Fix Me
06. Somewhere Along the Way
07. Roll with the Punches
08. Feed the Fire
09. Who Do You Think You're Talking To?
10. When the Tequila Runs Out
11. If I Wanted Someone
12. All Your Favorite Bands
最新作からの曲と、過去作からの曲もまんべんなく選ばれたセットリストでした。いい曲ばっかり!!
さて以上、私のフジロックベストアクト、単なる個人的な感想ではありますが、いかがでしたか?
ちなみに第2位は、ネイ・パームです。今年はドーズとネイ・パームの2組がずば抜けてよかった印象です。その他は、フォールズ、KIKAGAKU MOYO、TOM,MISCH、SUPERORGANISM、BLACK COUNTRY, NEW ROADも印象に残っています。あ、あと鈴木雅之さんね。あれは最高でしたね!
さて、当ブログのフジロックを振り返る企画、5回連載を予定しています。
という訳で、次回も読んでいただけると嬉しいです。
よろしくお願いいたします。
「ルーツな日記」もそろそろフジロックを振り返ってみたいと思います。
という訳で、お待たせいたしました!
フジロック2022、「ルーツな日記」的ベストアクト第1位は、DAWES でーす!!!!
初日金曜日、フィールド・オブ・ヘヴンが闇に包まれる頃、場内に響いた「苗場音頭」と共に登場したDAWESの面々。まさか「苗場音頭」をSEに持ってくるとは粋な計らい。ヘヴンに集まった我らはこの瞬間、すでに彼らの術中にはまっていたのかもしれません。
フロントにはヴォーカリスト/ギタリストのテイラー・ゴールドスミス。その左奥にキーボーディストのリー・パルディーニ。右にベーシストのワイリー・ゲルバー、その奥にドラムスのグリフィン・ゴールドスミス。彼はテイラーの弟。そしてサポートギタリストを一人加えた総勢5名。7月にリリースされたばかりの最新作「Misadventures of Doomscroller」のオープニングを飾った「Someone Else's Cafe / Doomscroller Tries To Relax」でそのステージは幕を開けました。
広大なアメリカの土壌をたっぷりと感じさせる芳醇なサウンドに、どこか物悲しいメロディーと琴線を刺激する歌とギター。懐かしさと温かさに満たされるようなその楽曲の良さもさることながら、ライヴならではの激熱な展開や、長尺化するギターソロを含め、その卓抜とした演奏能力に、かの地で培われたライヴバンドとしての力量をまざまざと見せつけられ、そんな彼らの世界にただただ飲み込まれていく、その喜び!!
そう、コロナのせいで久しく、音楽に浸かる”喜び”から遠ざかっていた者にとって、フジロックはまさにそんな”喜び”であり、そしてこのドーズこそ、私にとっての最大の”喜び”だったのです。あ~、音楽っていいなー!!ライヴっていいなー!!って心の底から思いましたね。今年もフジロックが開催されたこと、そしてこのドーズを呼んでくれたことに心底、感謝しました。
私がこのドーズを知ったのは、2014年にジョナサン・ウィルソンがフジロックに出演決定した時でした。私は予習のつもりで彼の周辺を漁っているうちに、このドーズにたどり着いたのです。ジョナサン・ウィルソンと言えば、当時はファーザー・ジョン・ミスティのコラボレータ―としても話題になっていた人ですが、実はLAを拠点にしたローレル・キャニオン系のアーティストでもあり、かなり興味深い人脈を持っている人だったりしたんです。で、今回の主人公であるドーズは、2009年にジョナサン・ウィルソンのプロデュースでデビューしているんです。
ドーズのサウンドは、一言でいえば、やはりローレル・キャニオン系、つまりウエスト・コースト周辺のアメリカン・ロックなわけでして、曲と歌を大事にするようなフォーキーな感覚が印象的。ですがその奥底から、ブルースやカントリーなど米ルーツの旨味が滲んでくるような、そんな奥深さがある。しかもライヴでは、その奥深い部分がより前へ出てくるから堪らない!!
「Someone Else's Cafe / Doomscroller Tries To Relax」後半のコーラス・ワークの見事さ、「From a Window Seat」での土っぽさを感じさせるグルーヴ感。そして序盤のハイライトはデビュー作からの「When My Time Comes」。 テイラー・ゴールドスミスの飾らない真摯な歌声が高々と森に響いた感覚が今でも忘れられない。まるで我々観客達を鼓舞するような。あのサビの高揚感は半端無かった!!本当ならシンガロングしたかったんですけど、それが出来なくても、会場の一体感を感じられた美しい瞬間でしたね。
また「Somewhere Along the Way」でのテイラーのスイートなギターソロも堪らなく良かった。ラブリーなフレーズを巧みに重ねていく、そのニュアンスの違いだけで聞くものを魅了していく。音程の上げ下げだけで引き込まれる瞬間が何度もありました。 テイラー・ゴールドスミスというギタリストの魅力に打ちのめされましたね。音色がまた良いんですよ。サポートギタリストさんも加わってのツインリードがまた格好良くて!!
「 Feed the Fire」ではテイラーのギターと、エレピとオルガンを弾き分けるリー・パルディーニの絡みが秀逸で、そこにグリフィンがファンキーなビートでぐいぐい迫ってくるなど、ジャム・バンド的な気質がヘヴンの夜を熱くしましたし、この夜、唯一のストレートなアップテンポ曲だった「Who Do You Think You're Talking To?」では観客たちの手拍子に後押しされるような圧巻の疾走感で、まるで西海岸の風がヘヴンを駆け抜けたかのようでした。
そして「When the Tequila Runs Out」。そもそもファンキーな感覚の濃い曲ではありましたが、ライヴで聞くとさらにアメリカン・ルーツの深いところが浮き彫りになるような圧巻の演奏でしたね。そもそも私が愛聴していたライヴ盤のテイクとはアレンジがまるで違いましたし、グリフィンとワイリー・ゲルバーのリズム隊を軸にメンバーそれぞれのグルーヴが有機的に絡み合うような、これぞライヴな演奏には興奮しっぱなしでした。
いやはや、リズム、歌、ギターソロ、鍵盤ソロ、それぞれの聞かせどころを存分に抑えつつ、それぞれが変幻自在に混ざり合いながら、随所にプログレッシヴでジャムバンド的な展開を見せ、アメリカン・ロックの王道とその深みを、フィールド・オブ・ヘヴンという森の中で聞かせてくれたドーズ。
最後はスローナンバー「All Your Favorite Bands」で感動的に締めくくってくれました。
いやほんと、素晴らしいライヴでした!!
ドーズ、また来日してほしいな。
01. Someone Else's Cafe / Doomscroller Tries To Relax
02. From a Window Seat
03. Comes in Waves
04. When My Time Comes
05. Didn't Fix Me
06. Somewhere Along the Way
07. Roll with the Punches
08. Feed the Fire
09. Who Do You Think You're Talking To?
10. When the Tequila Runs Out
11. If I Wanted Someone
12. All Your Favorite Bands
最新作からの曲と、過去作からの曲もまんべんなく選ばれたセットリストでした。いい曲ばっかり!!
さて以上、私のフジロックベストアクト、単なる個人的な感想ではありますが、いかがでしたか?
ちなみに第2位は、ネイ・パームです。今年はドーズとネイ・パームの2組がずば抜けてよかった印象です。その他は、フォールズ、KIKAGAKU MOYO、TOM,MISCH、SUPERORGANISM、BLACK COUNTRY, NEW ROADも印象に残っています。あ、あと鈴木雅之さんね。あれは最高でしたね!
さて、当ブログのフジロックを振り返る企画、5回連載を予定しています。
という訳で、次回も読んでいただけると嬉しいです。
よろしくお願いいたします。