ルーツな日記

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フジロック予習:SOUL MUSIC LEGENDS その1、シル・ジョンソン

2014-07-20 12:49:55 | フジロック
フジロックもいよいよ目前に近づいてまいりました。今年も魅力的なラインナップが揃いましたが、個人的な目玉は何と言っても「SYL JOHNSON, BOBBY RUSH & LAVELLE WHITE SOUL MUSIC LEGENDS」ですよ!

第1弾発表の中にその名前を見た瞬間の興奮は忘れられません。「おー!!フジにシル・ジョンソン!!そしてまさかのボビー・ラッシュ!!さらにラヴェル・ホワイトって誰!?」みたいな。まさにディープなソウル/ブルース・ファン狂気の組み合わせですよ! 実際、ラヴェル・ホワイトも私が存じ上げないだけで、マニア垂涎の凄い人のようですしね。そういう知る人ぞ知るレジェンドとの出会いにかえってワクワクさせられたり。まあ、色々な意味で奇跡的なステージになること間違いなしですよ!案外これを観るためだけに苗場までやってくる黒人音楽マニアな方々も結構いらっしゃるのではないでしょうか?


と言う訳で、我がブログでもこのお三方を鋭意ご紹介していきたいのですが、今回はまずシル・ジョンソンから。

1936年ミシシッピ州の生まれ、現在78歳のシル・ジョンソンはシカゴ・ソウルの重鎮。とは言え、メンフィスのハイ録音で有名だったり、ソウルと呼ぶにはあまりにもファンキーな感覚の持ち主である一方でブルース・アーティストとしても認知されていたりと、とても“シカゴ・ソウル”の一言では語れないレジェンドなのです。なにせ、あの夭折のシカゴ・ブルースマン、マジック・サムにブルース・ギターを教えたのは誰あろう、このシル・ジョンソンだそうですから、まさに伝説ですよ。

1950年代、活動最初期のシル・ジョンソンはそのマジック・サムをはじめ、シェイキー・ジェイク、ビリー・ボーイ・アーノルド、ジュニア・ウェルズ、ジミー・リードなどシカゴ・ブルースの強者達と共演を重ね、そのいくつかは録音も残っているようです。そして59年にはフェデラルというレーベルからソロ・デビューを果たし、60年代後半には、トワイライト/トワイナイト・レコードからヒットを量産します。


SYL JOHNSON / CHICAGO TWINIGHT SOUL
トワイライト/トワイナイトからは2枚のアルバムをリリースしているようですが、こちらはその時代のベスト盤。JBファンクからの影響色濃い溌剌としたシル・ジョンソンが楽しめます。彼の代表曲となった「Different Strokes」はこの時代の曲。もちろんウータンクランやデラソウルなど、数多のヒップホップ系アーティストにサンプリングされまくったあの曲です。他にも、得意のフレーズ“サキツミ!”を連発する「Come On Sock It To Me」、シカゴ録音にして南部ソウル的なグルーヴも見事な「Going To The Shack」、シルにとってこの時代最大ヒットにしてJBの「Say It Loud (I'm Black And I'm Proud)」との関連性も興味深いスロー「Is It Because I'm Black」、ダニー・ハサウェイがアレンジを手掛けたという「One Way Ticket To Nowhere」など、若きシル・ジョンソンのファンキー・ソウルがたっぷり。ギラギラとして突き抜けるような瑞々しい歌声が最高です!!



SYL JOHNSON / MUSIC TO MY EARS
トワイナイト時代にもウィリー・ミッチェルがプロデュースで関わっていましたが、その縁あってか、71年にハイ・レコードと契約したシル・ジョンソン。メンフィスの地でかのハイ・サウンドをバックに充実した作品群を残しています。写真はそのハイ時代の編集盤。同レーベルの看板アーティスト、アル・グリーンに感化されたのか、抑制の利いたセクシーな歌声は、トワイナイト時代に比べて渋みと深みを増しています。「Back For A Taste Of Your Love」、「We Did It」など、メンフィス・グルーヴに乗ったシルの歌唱は最高です。極めつけはアル・グリーンのカヴァー「Take Me to the River」。これは本家以上にハマり、シルにとってのキャリア最大のヒットとなりました。


ですが80年代にはシャマというレーベルからアルバムをリリースしたりしているものの、フランチャイズ制のファストフード店を経営しビジネスマンとしての才を発揮するなど、徐々に音楽業界から距離を置くようになっていきました。

そして先ほども触れたヒップホップ勢によるサンプリングネタとして注目を浴びたことが追い風となり、94年に復活を果たします。



SYL JOHNSON / BACK IN THE GAME
こちらがその復活作となった「BACK IN THE GAME」。シル・ジョンソン with ハイ・リズムと刻まれた通り、バックにティーニー、リロイ、チャールズのホッジズ兄弟にハワード・グライムスを招集し、見事に往年のハイ・サウンドを蘇らせております。私にとってはこれがようやくリアル・タイムのシル・ジョンソンでした。このアルバムが当時そうとう話題になっていたのを何となく覚えています。もちろん、その期待を裏切らない傑作です!!



SYL JOHNSON / BRIDGE TO A LEGACY
こちらはその翌年作となる「BRIDGE TO A LEGACY」。若き才能ジョニー・ラングと愛娘シリーナ・ジョンソンをフィーチャーしつつ、新たな全盛期を迎えた勢い溢れるシル節が堪能出来ます。最終曲「Sexy Wayz」では、ヒップホップ勢への返答よろしく自身の「Different Strokes」をサンプリングするという荒技で、衰え知らずな破天荒振りも痛快。

そして97年、復活後の勢いそのままに来日を果たします。パークタワー・ブルース・フェスティヴァルです。もちろん私も観に行きました。この年のパークタワーはメイン級のアーティストのキャンセルが相次ぎ、シルもその代役としての登場だったのですが、そんなことおかまいなしに大暴れ。ステージ狭しと左右に走り回るエンターテイナー振りと、そのファンキーなパフォーマンスに大興奮したのを覚えています。百聞は一見にしかずと言いますか、私にとってのシル・ジョンソンとは、このパークタワーでのエキサイティング極まりないシル・ジョンソンなのでした。あのとき既に60歳を超えてたんですよね。

あれから17年、シル・ジョンソンがフジロックにやってきます。もちろん17年前とは違うでしょう。なにせ78歳ですからね。ですがそのパッションは何ら変わらないでしょうし、彼の生き様が見えるようなステージになるやもしれません。最終日、オレンジコートのトリ、見逃せません!



https://www.youtube.com/watch?v=kXqAQykgp6c
75年のライヴから「Take Me to the River」。

https://www.youtube.com/watch?v=ibuyYhi0l9U
2012年のライヴから「Sock It To Me」。伝家の宝刀“サキツミ!”。

https://www.youtube.com/watch?v=I5FPfowLTfE
そして「Different Strokes」。70代後半、まだまだ行けます!いい味出してます!!




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