ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

ボビー・ラッシュ@ビルボードライヴ東京

2012-04-23 18:57:26 | ブルース
4月20日、ボビー・ラッシュのライヴを観に、ビルボードライヴ東京へ行ってまいりました。私が観たのはその夜の2ndショー。今回の来日公演最終ステージです。前から2列目のテーブル、ド真ん中の席という、個人的に一番好きな席に着席。

ほぼ開演予定時刻にメンバーが登場。バック・バンドはキース・ラフ(Guitar)、デクスター・アレン(Bass)、ブルース・ハーワード(Drums)の3人というシンプルな編成。まずはバンドで1曲。リズム隊の懐の深いグルーヴとキース・ラフのシャープなギターが印象的。ギター・ソロはハード・ロック的に弾き倒し、最後はギターを肩から放り投げるようにグルンと一回転させ客席を驚かせる。そしてブルース・ハーワードの高らかな紹介に促され、ボビー・ラッシュがゆっくりと登場。キラキラとラメの入った真っ白なジャケットを着た姿は流石チトリン・サーキットの王者の風格。

さて、ボビー・ラッシュのステージと言えば、女性ダンサー達を侍らせての下ネタ満載のファンク・ブルースというイメージですが、今回は残念ながらその名物とも言える女性ダンサー達が居らっしゃらない。果たしてどんなライヴになるのか?とちょっぴり心配に思いきや、流石はボビー・ラッシュ!まあ、濃かったですよ! 歌詞なんてほとんど下世話な内容なんでしょうが(偏見ですかね?)、それを濃密に観客に語りかけるように歌う。またこの歌声が独特のエグ味に溢れてる。さらに土臭いハープ! ダンサーが居ない分、ハープを吹きまくってましたね。しかもワン・フレーズ吹く度にドヤ顔&ドヤアクションですよ。やることがいちいち濃い! しかも元気! ステージ狭しと左右に動き回りながら、脂ぎったブルース臭をこれでもかとまき散らしていく。76歳ですか? そんな風には見えませんでしたね~。ここぞという瞬間には「ハッ!!」という掛け声と同時にぴょんと飛び跳ねて華麗な足技も決めたり。いや別に格好良くはないですよ。基本、ガニ股のおっさんですから。でもそれがブルースなんですよ!私らブルース・ファンにとってはそれが堪らなく格好良いのです。

曲は得意のファンキー路線より、もっとブルース調が目立った印象。「Crazy 'Bout You」のどっぷりとしたフィーリングは堪らないものがありましたね。「Hoochie Coochie Man」や「She's Nineteen Years Old」などのカヴァーも良かったです。「My Babe」もやりましたし、意外なところでは「When the Saints Go Marching In」も。

まあ、正直、セットリストはよく分かりませんでした。知らない曲もありましたし、知っているような曲もアレンジが違うしで…。しかもほとんど切れ目無しに次から次へと繋がれていく。「Shake Your Moneymaker」とか「Shake, Rattle and Roll」みたいな曲もやってましたが、あの有名なスタンダード曲とは雰囲気が違うように思いました。やはりボビー・ラッシュほどの歴戦のブルースマンともなると、スタンダード曲も、自身の曲も、その日のフィーリングで自由自在に料理できるんでしょうね。ちなみに「When the Saints Go Marching In」も「FOLKFUNK」というアルバムで「You Gotta Move」と引っ掛けて「Saints Gotta Move」として録音してる曲ですしね。

そんなテンポもリズムも違う様々な曲が繋がれていくディープな展開には、チトリン・サーキットを形成する黒人クラブの雰囲気を垣間みる思いでした。また曲中に好き放題喋るボビーがまたいかにもな感じで。おそらく下世話な内容だと思うのですが(偏見?)、かなり笑いを取ってましたね。最前列のお客さん一人一人に「おまえはビッグ・ファット・ウーマンは好きか?」と聞いてはその反応を楽しむなんていう客いじりもあったり。そんな話術を含めた自由自在な曲展開はホント見事でしたし、それにぴたっと着いてくるバンドも流石でしたね。特にギターのキース・ラフは、ソロこそハード・ロック的でしたが、バッキングではセンス抜群のブルージーなフレーズを連発していて痺れました。

あと驚いたのはボビー・ラッシュが一人、ギターの弾き語りで数曲歌ってくれたこと。07年のアルバム「RAW」はアコギ引き語り作でしたが、それともまた違うエレキ・ギター弾き語り。「Goodmorning Little Schoolgir」とか「Chicken Heads」なんかを挟んでましたが、基本的には似たようなリフでいくつかの曲を繋いでいたような印象。ダラダラとワン・フレーズで引き繋ぐ感じは流石に泥臭い。眼を細めて絞るような表情でギターを弾いていたのも印象的でした。

全体的にファンク曲が少ない印象ではありましたが、終盤になってやっとボビー・ラッシュらしいファンク・ブルースな感じになり、最後はボビーが客席に降りての握手大会。もちろん私も握手しましたよ。驚くことにボビーは1階席の最後列まで行き、一人一人と握手していました。この辺りも流石はチトリン・サーキットの王者! 観客達もスタンディングオベーションでボビー達の熱演に応えていました。アンコールのような形でバンド編成による「Chicken Heads」がまた格好良かった!

いや~、めったに日本では観れない質の濃密さでした。ボビーのハープをたっぷり聴けたのも良かったですしね。でも次回はぜひ女性ダンサー達も引き連れて来て欲しい! という訳で、また呼んでくださいね。



BOBBY RUSH / SHOW YOU A GOOD TIME
終演後のサイン会でサインを頂いた最新作「SHOW YOU A GOOD TIME 」。一人一人自分の隣の席に座らせて一緒に写真を撮ったり、とてもフレンドリーな雰囲気でした。



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 12.04.20 いよいよボビー・ラッシュ!!