ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

レヴォン・ヘルム、安らかに

2012-04-20 15:14:39 | ルーツ・ロック
LEVON HELM BAND / @MERLEFEST

4月19日、レヴォン・ヘルムが亡くなられたそうです。もう随分と前から咽頭癌との闘病を続けていたレヴォン・ヘルムでしたが、ついに天国へと旅立ってしまいました。近年は充実したスタジオ作及びライヴ盤を残していただけに、残念でなりません。

ホークスと名乗っていた頃のザ・バンドから始まるレヴォン・ヘルムの歩みはあまりにも長く、その功績はあまりにも大きいので、今ここで詳細に振り返ることは出来ませんが、あの土っぽくファンキーなドラムと歌、どこか人懐っこい愛嬌があり、それでいて寂寞とした味わい、まさに彼にしか成し得ない魅力でした。


長く確執の続いていたロビー・ロバートソンもレヴォンを病院に見舞っていたそうです。彼はレヴォンの死に対し、フェイスブックにこんな愛情溢れる追悼文を載せています。

Levon is one of the most extraordinary talented people I’ve ever known and very much like an older brother to me. I am so grateful I got to see him one last time and will miss him and love him forever.

(全文を読みたい方はこちら→http://ja-jp.facebook.com/j.robbierobertson


レヴォン・ヘルムさん、安らかに。



*上の写真は、2009年にリリースされたライヴ盤「@MERLEFEST」。録音は08年。レヴォンを中心にした大所帯のソウル/カントリー・レヴュー的なライヴ。まさにルーツ・ミュージックの桃源郷。こんなステージを生で観てみたかった! (ちなみに当ブログの2009年度ベスト・アルバム第1位に選ばせて頂いたアルバムです。)




The Band - 1970 - The Weight - Festival Express, Toronto


いよいよボビー・ラッシュ!!

2012-04-20 14:02:58 | ブルース
BOBBY RUSH / SUE

ただ今来日中のボビー・ラッシュ。もう70歳を越えた大ベテランですが、新作をリリースする度に“ブルース界にボビー・ラッシュ有り!”という強烈なインパクトを残し続けている現在進行形ブルースマン。ブルース・ムーヴィー・プロジェクトの「The Road To Memphis」でフューチャーされたあの人と言ったら分かりやすいでしょうか? その音楽はもちろん、チトリン・サーキットを休み無く回るボビーの姿そのものに“ブルース”を感じた方も多かったのでは? そう、やっぱりブルースは人なんです。人間そのものからブルース汁が滲み出るのです。

ちなみにチトリン・サーキットの“チトリン”とは、豚肉の小腸を煮込んだ、いわゆる黒人料理のこと。黒人のクラブを転々とドサ廻りすることを、黒人しか食べない安い料理に例えてチトリン・サーキットと呼ぶそうです。ボビー・ラッシュは女性ダンサーを従え、チトリン・サーキットを毎夜の如く沸かせてきたことでしょう。ボビーの両側にお尻の大きな女性ダンサーが立ち、その女性達が観客席に向かって腰を突き上げながら、その大きなお尻を振る。そのお尻をジーッと見つめながら歌うボビー・ラッシュ。観客は沸きに沸く。これがボビー・ラッシュのステージ!

しかし、今回の来日公演は女性ダンサーを引き連れてないそうなんです。それがメンバー個人の問題なのか、費用の問題なのか、ビルボードという箱の問題なのか、最近はそういうスタイルなのか、その辺はよく分からないのですが、これは少々がっかり。ですがそもそも主役はボビー・ラッシュですからね。ボビーの全身から放たれるディープなブルース臭は変わりないはずです。いや、かえってボビー・ラッシュのブルースそのものをじっくりと堪能出来るかもしれません!!

ビルボード東京でのボビー・ラッシュの来日公演も今日4月20日が最後です。もちろん私も本日の2ndステージを観てきます。楽しみです!


*写真のアルバムはボビー・ラッシュ、81年の作品「SUE」。99年にパークタワー・ブルース・フェスティヴァルのメイン・アクトとして来日した際に会場で購入しました。ライヴ前だったんですけど、空き時間に物販ブースに立ち寄ったら、そのブースの横で黒人さんが退屈そうに座ってるんです。しかしその人がボビー・ラッシュによく似てる。まさかな~と思いながらこのボビー・ラッシュの「SUE」を手に取ってみたのです。もしその黒人さんがボビー・ラッシュ本人であれば、販売のお姉さんが「今買うとボビー・ラッシュさんのサインが貰えますよ!」なんて営業してきそうなものじゃないですか? ですがそのお姉さんはまったく動じない。黒人さんもピクリとも動かない。やっぱ違うのか?と思いながらも私は「コレください」とCDをお姉さんに手渡しお金を払う。するとお姉さんはおもむろにCDのビニールを破り、無言で黒人さんに渡す。黒人さんも無言でマジックを取り出し、CDジャケットにスラスラとサインする。やっぱ本物か!! そしてニコッと握手。良い人だ~。にしてもせっかく本人来てるんだからもうちょっと宣伝すれば良いのにと思ったり。いわゆるサイン会が終わったあとだったんですかね?でもあの時の退屈そうなボビー・ラッシュが妙に印象に残っています。もちろんその後のライヴはまさに白熱。女性ダンサーも出演しましたし、ボビーも観客席に降りるなどの大熱演。猥雑極まりないブルースなエンターテイメントをたっぷり見せつけてくれました。あれはもう12年も前の話なんですね~。




BOBBY RUSH / RUSH HOUR
60年代から細々とシングルを出していたらしいボビー・ラッシュですが、アルバム・デビューを飾ったのは79年、フィラデルフィア・インターナショナル・レコードからでした。ボビー・ラッシュがフィリーからデビューってちょっと意外ですよね。とは言えこの時から既にボビー節は確立されてる感じ。シンプルなビートに野性味溢れる歌と素朴なハープが絡む、独特なファンクネスが格好良い! タイトに纏まったサウンドは流石はギャンブル&ハフ。



BOBBY RUSH / I AIN'T STUDDIN' YOU
デビュー・アルバムは残念ながら商業的成功を収められず、フィリーを離れミシシッピはジャクスンにあるラ・ジャムからリリースされた2nd作が先の「SUE」。ラ・ジャムから数枚のアルバムをリリースした後、同じくミシシッピのアージェントに移籍しての出世作と言われるのがこの「I AIN'T STUDDIN' YOU」。91年作。バックのディスコチックなサウンドとボビーの南部的な泥臭さというミスマッチが妙なブルース臭を醸し、なんともクセになる一枚。天然なのか計算なのかよく分からない、これぞボビー流ファンク・ブルース。



BOBBY RUSH / RAW
数曲でShawn Kellermanのドブロが入る意外、全てボビー・ラッシュによるアコースティック・ギター&ハープ弾き語り。07年リリース。裸にオーバーオールというジャケ写が物語るような、土臭くディープなブルース。こういうボビー・ラッシュも良い!!



BOBBY RUSH / SHOW YOU A GOOD TIME
昨年リリースされた最新作。1曲目なんてゴースト・バスターズみたいですし、スクラッチ音みたいなのも入ってくるし、なのにどうにもこうにも垢抜けないボビー節。ブルースを逸脱すればする程、ブルースなエグ味が濃くなっていく。やっぱり凄いよこの人!と思わせる傑作。スローナンバーも良いんです!