GEOFF MULDAUR & AMOS GARRETT / GEOFF MULDAUR & AMOS GARRETT
10月8日、ジェフ・マルダー&エイモス・ギャレットを観に、渋谷クアトロに行ってまいりました! その数日前辺りから私のツイッター上のフォロワーさん達による「明日のジェフ&エイモスが~」みたいなつぶやきが増え始め、主催のトムス・キャビンさんからは「チケットのソールド・アウトと、多くの方が立ち見になる」という内容のメールが来るなど、なんか異様な雰囲気というか、この手の音楽が好きな方々が本当に待ち望んだライヴなんだ、という空気を濃密に感じずには居られませんでした。
ジェフ・マルダーは63年に、戦前フォーク・ブルースを歌ったデビュー作「SLEEPY MAN BLUES」により、ボストン/ケンブリッジのフォーク・シーンから登場。そしてジム・クウェスキン・ジャグ・バンドでの活躍を経て、60年代末にはウッドストックへ移り住みます。かの地で奥方マリア・マルダーとの夫婦名義による名作を作り、ポール・バターフィールズ・ベター・デイズに参加し、さらにはソロ作としての傑作「GEOFF MULDAUR IS HAVING A WONDERFUL TIME」を残しています。そしてこのジェフ・マルダーのウッドストック時代を彩ったのがエイモス・ギャレットの流麗なギター。ジェフ&マリア・マルダー「Lazybones」、ベター・デイズ「Please Send Me Someone To Love」、ジェフ・マルダー「Gee Baby Ain't I Good To You」などなど。そして78年には満を持してジェフ・マルダー&エイモス・ギャレット名義のアルバム「GEOFF MULDAUR & AMOS GARRETT」をリリースしています。日本には77年と79年の2度、二人揃っての来日公演が実現しているそうですが、今回はそれ以来31年振りだそうです。
*ここからはネタバレになりますので、これからジェフ&エイモスのライヴを観に行かれる予定の方は読まれないことをお勧めいたします。
さて、この日の渋谷クアトロ。最前列に2列だけ椅子席があり、残りはスタンディングという状態。私はその椅子席のすぐ後ろ度真ん中で立ち見でした。トムスキャビンの麻田さんによる挨拶の後、いよいよジェフ&エイモスが登場! 私はそれぞれ別のコンサートで二人を観たことがありますが、二人揃ってのステージはこれが初めてだったので、やはり二人が並んだ姿には感慨がありましたよね~。バックには日本人のドラマー、ベーシスト、キーボード奏者の3人が付きます。そしておもむろに始まったのは「My Tears Came Rolling Down」。ジェフの声が良いんです!この艶とハリ!60代の後半とは思えません! ジェフ特有の暖かくもピリッとしたブルース・フィーリングがまた良いですね。続いてエイモスが歌うジミー・ロジャースの「Carolina Sunshine Girl」。今回、エイモスはほとんどエレキ・ギターを弾いてましたが、この曲ではアコギを弾いてましたね。そしてキーボード奏者がアコーディオンを持つ、そんなカントリー・フレイヴァーに和みました。またエイモスのバリトン・ヴォイスが素敵なんですよね。そこにジェフがハーモニーを付ける。う~ん堪りません。
そして序盤のハイライトは「Gee Baby Ain't I Good To You」。ナット・キング・コールで知られるジャズ・ブルース。ジェフのしっとりとした歌声に続くエイモスのギター・ソロ! なんかフレット上の運指を観てると結構危なっかしいんですけど、繰り出されるフレージングはまるで宇宙のよう。エイモスにしかあり得ない音階で、独特のタメを効かせつつ流れるように切れ込んでくる。儚くも美しく散っていくような音色に酔いしれました。この曲は「GEOFF MULDAUR IS HAVING A WONDERFUL TIME」に収録されている曲ですが、エイモスの名演として知られてるんですよね。観客達もみんなこのソロを楽しみにしていたのか、エイモスが弾き終わるやいなや、ドッ!と拍手が沸き上がりましたからね。素晴らしかった!
そしてホーギー・カーマイケル「Hong Kong Blues」、パーシー・メイフィールド「River's Invitation」、とエイモスお馴染みのレパートリーが続き、待ってましたの「Small Town Talk」。ボビー・チャールズとリック・ダンコによる共作曲。これはボビー・チャールズの代表曲というばかりでなく、ウッドストック・シーンを象徴する名曲ですよね。麻田さん曰く、今回31年振りに実現したジェフ&エイモスの来日ツアーなので、何か特別なことしたいということで、ボビー・チャールズにも声をかけたそうなんです。ですが体調が悪いと言うことで実現しなかったとか。そしてボビーは今年の1月に亡くなられてしまったんですよね…。そんなボビーへの思いを感じずにはいられない「Small Town Talk」。ジーンと来ちゃいましたね。ジェフの歌うこの曲がまた良いんですよ! ゆったりとしていながらも何処か切な気で。ベター・デイズでもやってますしね。
で、次の曲なんですけど。よく覚えてません…。今回はいい加減なメモをとりながら観ていたのですが、そのメモにはチャック・ベリーとしか書かれていない…。ジェフ&エイモス関連でお馴染みの曲だったことは間違いないので、おそらく「Havana Moon」か「La Juanda」のどっちか? 順番的にはエイモスが歌ってそうなので「La Juanda」だったのかな? しかしまったく思い出せません…。すいません、いいかげんで…。続いて「Tennessee Blues」。これもボビー・チャールズの曲ですけど、これが本当に素晴らしかった! ゲストの中村まりのハーモニーも良かったですね。うっとりするような極上のフォーク・ソング。「GEOFF MULDAUR IS HAVING A WONDERFUL TIME」では奥方マリアと愛娘ジェニーがハーモーニを付けてたな~なんて思いながら。そして間奏ではあまりにも見事すぎるソロをエイモスが披露。それに対し観客は大きな拍手で、ジェフはすかさず「サンキュー、エイモス!」と答える。
それにしてもジェフ&エイモスが楽しそうで、見ているこっちもニヤけてしまいました。エイモスは割りとしっかり曲紹介をして、曲ごとにチューニングに熱心だったり急がしそうでしたが、一方のジェフは余裕しゃくしゃくでエイモスにちゃちゃを入れたり。例えば、エイモスがジミー・ロジャーズの曲と紹介すると、すかさず有名なシカゴ・ブルース(「スウィート・ホーム・シカゴ」だったかな?)を歌い出して、エイモスに違う!みたいに突っ込まれたり。またエイモスが他の曲を紹介中に、いきなり次はこれ演ろうか?みたいな顔で名曲「Brazil」のようなギター・リフを弾き始めて、すかさずエイモスに“ノー!!”と遮られたり。そしてそんな二人の醸す和やかな雰囲気がそのまま芳醇なアメリカン・ミュージックに溶け込んでいくような、まさにかのウッドストックの片鱗を伺わせてくれる極上空間ですよ。しかしそんな夢のようなステージも早くも折り返し地点に。前半ラストは、確か“ゴスペル”と紹介されたブラインド・ウィリー・ジョンソンの「Trouble Soon Be Over」。ジェフが「PASSWORD」で取り上げている曲ですね。この曲も中村まりがコーラスを付けて、観客との一体感を感じさせるハッピーなヴァイヴで終了。拍手喝采の中、「休憩の後、また戻ってくるよ!」的なことを言いつつジェフ&エイモスは去っていきました。
そして、ブラック・ボトム・ブラス・バンドが「わっしょい!」と客席を盛り上げ、彼らをバックにまるでビック・バンドのジャンプ・ナンバーの如くジェフが弾けた「Let's Have A Natural Ball」や、ブラスが入ったおかげで、まるでベターデイズの再現のようだった涙の「Please Send Me Someone To Love」、さらにエイモスの脅威的なベンディングの美しさにため息連発な「Sleepwalk」など、あまりにも素晴らしすぎた怒濤の後半は、次回につづきます。
曲目等、間違いがありましたらごめんなさいね。
*写真は78年リリースのジェフ&エイモス名義による唯一のスタジオ作「GEOFF MULDAUR & AMOS GARRETT」。「My Tears Came Rolling Down」、「Carolina Sunshine Girl」、「La Juanda」、「River's Invitation」などを収録。
→ジェフ・マルダー&エイモス・ギャレット@渋谷クラブクアトロ その2
10月8日、ジェフ・マルダー&エイモス・ギャレットを観に、渋谷クアトロに行ってまいりました! その数日前辺りから私のツイッター上のフォロワーさん達による「明日のジェフ&エイモスが~」みたいなつぶやきが増え始め、主催のトムス・キャビンさんからは「チケットのソールド・アウトと、多くの方が立ち見になる」という内容のメールが来るなど、なんか異様な雰囲気というか、この手の音楽が好きな方々が本当に待ち望んだライヴなんだ、という空気を濃密に感じずには居られませんでした。
ジェフ・マルダーは63年に、戦前フォーク・ブルースを歌ったデビュー作「SLEEPY MAN BLUES」により、ボストン/ケンブリッジのフォーク・シーンから登場。そしてジム・クウェスキン・ジャグ・バンドでの活躍を経て、60年代末にはウッドストックへ移り住みます。かの地で奥方マリア・マルダーとの夫婦名義による名作を作り、ポール・バターフィールズ・ベター・デイズに参加し、さらにはソロ作としての傑作「GEOFF MULDAUR IS HAVING A WONDERFUL TIME」を残しています。そしてこのジェフ・マルダーのウッドストック時代を彩ったのがエイモス・ギャレットの流麗なギター。ジェフ&マリア・マルダー「Lazybones」、ベター・デイズ「Please Send Me Someone To Love」、ジェフ・マルダー「Gee Baby Ain't I Good To You」などなど。そして78年には満を持してジェフ・マルダー&エイモス・ギャレット名義のアルバム「GEOFF MULDAUR & AMOS GARRETT」をリリースしています。日本には77年と79年の2度、二人揃っての来日公演が実現しているそうですが、今回はそれ以来31年振りだそうです。
*ここからはネタバレになりますので、これからジェフ&エイモスのライヴを観に行かれる予定の方は読まれないことをお勧めいたします。
さて、この日の渋谷クアトロ。最前列に2列だけ椅子席があり、残りはスタンディングという状態。私はその椅子席のすぐ後ろ度真ん中で立ち見でした。トムスキャビンの麻田さんによる挨拶の後、いよいよジェフ&エイモスが登場! 私はそれぞれ別のコンサートで二人を観たことがありますが、二人揃ってのステージはこれが初めてだったので、やはり二人が並んだ姿には感慨がありましたよね~。バックには日本人のドラマー、ベーシスト、キーボード奏者の3人が付きます。そしておもむろに始まったのは「My Tears Came Rolling Down」。ジェフの声が良いんです!この艶とハリ!60代の後半とは思えません! ジェフ特有の暖かくもピリッとしたブルース・フィーリングがまた良いですね。続いてエイモスが歌うジミー・ロジャースの「Carolina Sunshine Girl」。今回、エイモスはほとんどエレキ・ギターを弾いてましたが、この曲ではアコギを弾いてましたね。そしてキーボード奏者がアコーディオンを持つ、そんなカントリー・フレイヴァーに和みました。またエイモスのバリトン・ヴォイスが素敵なんですよね。そこにジェフがハーモニーを付ける。う~ん堪りません。
そして序盤のハイライトは「Gee Baby Ain't I Good To You」。ナット・キング・コールで知られるジャズ・ブルース。ジェフのしっとりとした歌声に続くエイモスのギター・ソロ! なんかフレット上の運指を観てると結構危なっかしいんですけど、繰り出されるフレージングはまるで宇宙のよう。エイモスにしかあり得ない音階で、独特のタメを効かせつつ流れるように切れ込んでくる。儚くも美しく散っていくような音色に酔いしれました。この曲は「GEOFF MULDAUR IS HAVING A WONDERFUL TIME」に収録されている曲ですが、エイモスの名演として知られてるんですよね。観客達もみんなこのソロを楽しみにしていたのか、エイモスが弾き終わるやいなや、ドッ!と拍手が沸き上がりましたからね。素晴らしかった!
そしてホーギー・カーマイケル「Hong Kong Blues」、パーシー・メイフィールド「River's Invitation」、とエイモスお馴染みのレパートリーが続き、待ってましたの「Small Town Talk」。ボビー・チャールズとリック・ダンコによる共作曲。これはボビー・チャールズの代表曲というばかりでなく、ウッドストック・シーンを象徴する名曲ですよね。麻田さん曰く、今回31年振りに実現したジェフ&エイモスの来日ツアーなので、何か特別なことしたいということで、ボビー・チャールズにも声をかけたそうなんです。ですが体調が悪いと言うことで実現しなかったとか。そしてボビーは今年の1月に亡くなられてしまったんですよね…。そんなボビーへの思いを感じずにはいられない「Small Town Talk」。ジーンと来ちゃいましたね。ジェフの歌うこの曲がまた良いんですよ! ゆったりとしていながらも何処か切な気で。ベター・デイズでもやってますしね。
で、次の曲なんですけど。よく覚えてません…。今回はいい加減なメモをとりながら観ていたのですが、そのメモにはチャック・ベリーとしか書かれていない…。ジェフ&エイモス関連でお馴染みの曲だったことは間違いないので、おそらく「Havana Moon」か「La Juanda」のどっちか? 順番的にはエイモスが歌ってそうなので「La Juanda」だったのかな? しかしまったく思い出せません…。すいません、いいかげんで…。続いて「Tennessee Blues」。これもボビー・チャールズの曲ですけど、これが本当に素晴らしかった! ゲストの中村まりのハーモニーも良かったですね。うっとりするような極上のフォーク・ソング。「GEOFF MULDAUR IS HAVING A WONDERFUL TIME」では奥方マリアと愛娘ジェニーがハーモーニを付けてたな~なんて思いながら。そして間奏ではあまりにも見事すぎるソロをエイモスが披露。それに対し観客は大きな拍手で、ジェフはすかさず「サンキュー、エイモス!」と答える。
それにしてもジェフ&エイモスが楽しそうで、見ているこっちもニヤけてしまいました。エイモスは割りとしっかり曲紹介をして、曲ごとにチューニングに熱心だったり急がしそうでしたが、一方のジェフは余裕しゃくしゃくでエイモスにちゃちゃを入れたり。例えば、エイモスがジミー・ロジャーズの曲と紹介すると、すかさず有名なシカゴ・ブルース(「スウィート・ホーム・シカゴ」だったかな?)を歌い出して、エイモスに違う!みたいに突っ込まれたり。またエイモスが他の曲を紹介中に、いきなり次はこれ演ろうか?みたいな顔で名曲「Brazil」のようなギター・リフを弾き始めて、すかさずエイモスに“ノー!!”と遮られたり。そしてそんな二人の醸す和やかな雰囲気がそのまま芳醇なアメリカン・ミュージックに溶け込んでいくような、まさにかのウッドストックの片鱗を伺わせてくれる極上空間ですよ。しかしそんな夢のようなステージも早くも折り返し地点に。前半ラストは、確か“ゴスペル”と紹介されたブラインド・ウィリー・ジョンソンの「Trouble Soon Be Over」。ジェフが「PASSWORD」で取り上げている曲ですね。この曲も中村まりがコーラスを付けて、観客との一体感を感じさせるハッピーなヴァイヴで終了。拍手喝采の中、「休憩の後、また戻ってくるよ!」的なことを言いつつジェフ&エイモスは去っていきました。
そして、ブラック・ボトム・ブラス・バンドが「わっしょい!」と客席を盛り上げ、彼らをバックにまるでビック・バンドのジャンプ・ナンバーの如くジェフが弾けた「Let's Have A Natural Ball」や、ブラスが入ったおかげで、まるでベターデイズの再現のようだった涙の「Please Send Me Someone To Love」、さらにエイモスの脅威的なベンディングの美しさにため息連発な「Sleepwalk」など、あまりにも素晴らしすぎた怒濤の後半は、次回につづきます。
曲目等、間違いがありましたらごめんなさいね。
*写真は78年リリースのジェフ&エイモス名義による唯一のスタジオ作「GEOFF MULDAUR & AMOS GARRETT」。「My Tears Came Rolling Down」、「Carolina Sunshine Girl」、「La Juanda」、「River's Invitation」などを収録。
→ジェフ・マルダー&エイモス・ギャレット@渋谷クラブクアトロ その2