ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

スタンリー・クラーク・バンド

2010-06-10 18:06:57 | ジャズ
STANLEY CLARKE / THE STANLEY CLARKE BAND

上原ひろみの活躍振りには本当にワクワクさせられます。昨年リリースされたスタンリー・クラーク・トリオの「JAZZ IN THE GARDEN」に続いての共演作「THE STANLEY CLARKE BAND」が先日リリースされました。ただし「JAZZ IN THE GARDEN」が、スタンリー・クラーク(b)、レニー・ホワイト(ds)、上原ひろみ(p)というトリオの作品だったのに対し、今作はスタンリー・クラークのバンドにスペシャル・ゲストとして何曲か上原ひろみが参加したというもの。なので全編で上原ひろみのピアノが聴ける訳ではないのがちょっと寂しい感じも。ですが前作がアコースティックなジャズ作品だったのに対し、今作はエレクトリック・バンドによるフュージョン的な作品と言うこともあり、前作とはまた違ったコラボレーションが楽しめます。しかしエレクトリックとは言え、上原ひろみはあくまでもピアノで参加です。(ちなみに上原ひろみとはバークリー時代の同期だったというルスラン・シロタがシンセ等で参加しています。)

注目は何と言っても上原ひろみが提供した、美しくも緊張感のある曲「Labyrinth」。イントロから上原節が満開な感じですが、その後のエモーショナルな曲展開や、ピアノ・ソロも素晴らしい。さらに後半になってドラムスとベースがまるで上原ひろみに触発されたかのようにどんどん熱を帯びていく様子が堪らなく良いですね。ちなみに今作のドラムスはレニー・ホワイトではなく、ロナルド・ブルナーJRです。(レニー・ホワイトはプロデューサーにクレジットされています。)しかしこのロナルド・ブルナーJRというドラマーも凄いですね!

彼の凄まじいドラム・ソロから始まる「Larry Has Traveled 11miles And Waited A Lifetime For The Return Of Vishnu's Report」。恐ろしく長~い曲名ですが、そこにはエレクトリックなジャズ・ロック/クロスオーヴァーの偉大なバンド達がいくつも織り込まれています。まあ、とにかく空間を切り刻むかのようなロナルド・ブルナーJRのドラムスに痺れます。もちろん上原ひろみのソロも抜群です。

軽いタッチのトロピカル・ファンクな「Sonny Rollins」。こういう曲調も上原ひろみにはあまり無いと思いますので、かえって面白い。控えめではありますけど上原ひろみらしい表情が伺える軽やかなソロが良いですね。この曲でのソロをもっと聴きたくなります。そして日本盤のみのボーナス・トラックとなる「Somewhere」。上原ひろみのソロ作に収録されていたあの曲ですが、ここでは新たな息吹が吹き込まれています。上原ひろみはバックに徹する感じですが、中盤のベースとピアノの対話はため息が出る程に素晴らしいですね。

もちろん、上原ひろみ参加曲以外でも、全編でエレクトリック・ベースの大家であるスタンリー・クラークの素晴らしいプレイを堪能出来ますし、アコースティックに持ち替えてのソロ曲「Bass Folk Song No. 6 (Mo Anam Cara)」も味わい深いです。とは言え、実はフュージョン的なサウンドが苦手な私にとっては、やはり上原ひろみが参加した後半の楽曲に耳が行ってしまいますね。ソロや自身のバンドではない上原ひろみのプレイも、バンドとの調和の中でキラリと個性が光り、演奏の一体感や楽曲の輝きに大きく貢献していると思います。

で、となると何としてもライヴが観たい! 前回のスタンリー・クラーク・トリオでのツアーは、海外では好評だったようですが日本では実現しませんでした。そして今回、このスタンリー・クラーク・バンドは上原ひろみをフューチャーして既にツアーを始めているようです。そのキック・オフはかの「NEW ORLEANS JAZZ & HERITAGE FESTIVAL」。いわゆるニューオーリンズ・ジャズ・フェスティヴァル。ニューオーリンズ音楽が大好きな私にとってはまだ見ぬ聖地です! このフェスの“WWOZ Jazz Tent”というステージで、4月30日に Stanley Clarke Band feat. Hiromi としてトリを務めたんです。

おそらく、歴史あるこのジャズ・フェスにおいて、タイム・スケジュールのメインの時間帯に日本人の名前が刻まれたのって初めてじゃないですかね? 特に調べた訳ではありませんが…。ま、それはともかく、私の憧れのニューオーリンズ・ジャズ・フェスティヴァルで、メイン・ステージではないとは言え、さらにフューチャーリング・アーティストだったとは言え、あの上原ひろみがトリを務めたという事実には、興奮せずに居られません。しかもオールスタンディングになるほど熱狂的に終わったとか。ちなみにこの日のメイン・ステージではアレサ・フランクリンがトリを務める予定でした。しかし土壇場でキャンセルになり、アース・ウィンド&ファイアがその代役を務めました。本来なら、メインでアレサが歌ってる裏で、上原ひろみがテントを熱狂させていた訳ですよ。何という贅沢!想像するだけで鳥肌モンですよね! ま、そのステージの主役はスタンリー・クラークなんですけどね…。

う~ん、それでもやっぱり生で観たい! 果たして、今回はスタンリー・クラーク・バンドと共に日本をツアーしてくれるのでしょうか? 東京JAZZとか怪しい気もするんですが、出来れば単独で来て欲しいです!!!!!