第1位
HIROMI THE TRIO PROJECT FEATURING ANTHONY JACKSON & SIMON PHILLIPS / ALIVE
はい、栄えある第1位は私の大好きな上原ひろみさんです! また上原さんか?と思われるかもしれませんが、当ベストアルバム企画で上原さんの作品をトップに選ぶのはこれが初めてなんです。上原さんの場合、あまりにもライヴが良すぎるばかりにアルバムに対してはどうしても辛口になりがちだったんですけど、これは文句無しに素晴らしい作品!「ALIVE」というタイトル通り、まさにライヴ感横溢、そして生き生きとしている。これはこのトリオがツアーにツアーを重ね、リハからリハへと身を削るように精進してきた賜物でしょう。まさに三位一体の演奏。これぞ最強トリオ!そしてもう一つ、上原さんがソウルフルなんです!これまでの作品では、どちらかというと情景描写な印象が強かったのですが、この作品は上原さんの内からのスピリッツをビンビンに感じさせられる。それも「ALIVE」な魅力。傑作!!!
第2位
SAM AMIDON / LILY-O
これまでにもアイスランドのBedroom Communityからリリースされた作品が好事家の間で話題になっていた米バーモント州出身のシンガー・ソング・ライター、サム・アミドンによる最新作。冒頭、彼の爪弾くバンジョーの音色と朴訥とした歌声から引き込まれます。本作はノンサッチからのリリースながら全編アイスランド録音で、プロデュースはBedroom Communityのヴァルゲイル・シグルズソン(ビヨークやムームのプロデュース等で知られる方)。現代的なアメリカーナを描きつつも何処か内省的な美しさを湛えているのはアイスランドの空気故でしょうか?またギターにビル・フリーゼルが参加しているのも特筆もの。彼のフリーキー且つ幽玄に響くギターは、まるでサム・アミドンの音世界の深いところをえぐり出すかのよう。
第3位
SHAKEY GRAVES / AND THE WAR CAME
第3位はこの人、シェキー・グレイヴス!と読むのでしょうか? 実は第3位に選んでおいて、この人のことを私よく知らないんです…。テキサスのシンガー・ソング・ライターらしいのですが、YouTubeなんかにはドラムを踏みながらギターを弾き語る映像が沢山あがっているので、そういうスタイルを得意とする人なんでしょうね。フォーク、ブルース、カントリー等、米ルーツ・ミュージックの現代的な咀嚼振りとロックに破綻したフィーリングが、プリミティヴ且つオルタナティヴなアメリカーナを描き出していく。Wikiで見るかぎり、これが3枚目のアルバムのよう。これからの活躍が楽しみなシンガー。
第4位
FIRST AID KIT / STAY GOLD
北欧スウェーデンの若き姉妹によるフォーク・デュオ、ファースト・エイド・キッドによる3rdアルバムにしてメジャー・デビュー作。楽曲の良さに以上に、その美しいメロディを大切に歌う2人のハーモニーが素晴らしい。朗々とした美声は聴けば聴く程その響きに吸い込まれていくよう。
第5位
MIKE AULDRIDGE, JERRY DOUGLAS, ROB IKES / THREE BELLS
マイク・オウルドリッジ、ジェリー・ダグラス、ロブ・イックスという3人のドブロ名手による共演盤。ドブロならではの響きが紡ぐアメリカーナ。それはまるで広大な大陸を駆け巡るようでもあり、静かに語りかけてくるようでもある。彼らの妙技と、その美しくも深淵な音色にただただ陶酔させられる。まごうことなき名盤。しかし残念ながら、この作品がマイク・オウルドリッジの遺作になってしまいました。
第6位
FUNKADELIC / FIRST YA GOTTA SHAKE THE GATE
ファンカデリック名義ではなんと33年振りという最新作は、次から次へと異形のファンカデリック・サウンドが溢れ出てくる驚異の3枚組。新旧勢揃いの豪華メンバーもさることながら、圧倒的なヴォリュームとその濃さにやられます。そして聴く者の咀嚼力が試される。もちろん一筋縄で噛み砕ける代物ではありませんが、それこそこのアルバムの凄みなのであります。しかも現行ブラック・ミュージックとしてなお存在感を増すジョージ・クリントン、恐るべし。
第7位
CHRIS THILE & EDGAR MYEYER / BASS & MANDLIN
クリス・シーリ(マンドリン)、エドガー・メイヤー(コントラバス)という2人の鬼才によるデュオ作。かの「ゴート・ロデオ・セッションズ」を経て、さらに自由に、さらに深遠な世界を描くに至った印象の快作。シャキシャキとしたマンドリンのフレーズと、弓弾きによるコントラバスの音色。プログレッシヴに絡み合う両者の音像は、ブルーグラスでもない、クラシックでもない、異次元のストリングス・ミュージック!!
第8位
OTIS BROWN III / THE THOGHT OF YOU
いわゆる現代ジャズというものに今ひとつ積極的になれない私でしたが、このアルバムは格好良かった!! エスペランサやジョー・ロヴァーノ等のバックでも知られる注目のドラマー、オーティス・ブラウン三世による初ソロ作。とにかくプリミティヴなリズム表現とクロスオーバーするブラック・フィーリングが素晴らしい。もちろんデリック・ホッジやロバート・グラスパーなどの全面強力も特筆もの。
第9位
D'ANGELO & THE VANGUARD / BLACK MESSIAH
現行ソウル界屈指のカリスマ、ディアンジェロによる、なんと15年振りの3作目。このリリースはリリース自体が大事件。正直、この作品をどう評価していいのか私にはよく分かりません。振り返れば過去2作品もリリース当時はよく分からなかったんですよ私には。ですがそれがディアンジェロの凄みでもある訳で。なので一層サマーソニックが楽しみなのです!
第10位
HENRY BUTLER & STEVEN BERNSTEIN & THE HOT 9 / VIPER'S DRAG
ニューオーリンズのピアニストの中でも特異な存在感を放つ鬼才ヘンリー・バトラー、そしてラウンジ・リザーズ、セックス・モブでの活躍でも知られるニューヨークの奇才トランぺッター、スティーヴン・バーンスタイン。二人のコラボレーション・アルバムは、意外にもトラディショナルに根ざしつつ、やはり一筋縄にはいかない多彩な魅力。オリジナル曲はもちろん、ファッツ・ウォーラーやジェリー・ロール・モートンのカヴァーも秀逸。
第11位
LEONARD COHEN / POPULAR PROBLEMS
前作「OLD IDEAS」は当ブログにおいて2012年のベストアルバムに選ばせていただいたレナード・コーエン。その延長上にあると言えそうな本最新作ももちろん大傑作!! 心にしみる楽曲群。ブルージーながらどことなく不思議なポップ感を感じさせるアレンジも秀逸。そしてそれらを包み込むような深遠なるコーエンの歌声に酔いしれます。
第12位
プリシラ・アーン / あなたのことが大すき。
まさかのジブリ主題歌を射止めたプリシラ・アーン。プリシラの喜びがこちらに伝わってくるようでとても嬉しい。ですが個人的にはあまりジブリに染まって欲しくないという思いもあったり。なんだかんだで映画も観に行きませんでしたし…。でもこのアルバムは素晴らしい。映画のストーリーを知らなくても、プリシラの歌声と、その独特の雰囲気に身も心もトロトロです。
第13位
LUCINDA WILLIAMS / DOWN WHERE THE SPIRIT MEETS THE BONE
60歳を超えたルシンダ・ウィリアムスの最新作は2枚組の意欲作。2枚組という時間の流れの中で、無駄のない演奏と含蓄力横溢なルシンダの歌声が、1曲ごとに深みを積み重ねていく。グレッグ・リーズ、ビル・フリーゼル、トニー・ジョー・ホワイトなど、ゲスト・ミュージシャンがまた良い仕事しています。
第14位
REBIRTH BRASS BAND / MOVE YOUR BODY
近年のリバース・ブラス・バンドの充実振りは頼もしい限り。ゲストにトロンボーン・ショーティ、グレン・デヴィド・アンドリュース、トラヴィス・ヒル等も参加した、まさにニューオーリンズ・ブラス・バンドの粋が楽しめる逸品です!
第15位
ベン・ハーパーが実の母君様とコラボ作を作ったと聞いた時はホント驚きましたが、さすが、この子にしてこの親あり!な感じで、この母君様がまた良い声してるんですよ!ハートウォーミングな素晴らしい作品。このデュオのライヴが観てみたい!
第16位
Eric Bibb / Blues People
相変わらず、聴き易さの中にもねっとりとしたブラック・フィーリングが素晴らしいエリック・ビブの最新ソロ作。フォーク・ブルースがたどり着いた一つの境地と、それだけでは終わらない彼ならではのヴァラエティ豊かな作風が聴くものを飽きさせません。
第17位
ROYAL SOUTHERN BROTHRHOOD / HEARTSOULBLOOD
シリル・ネヴィル、デヴォン・オールマン、マイク・ジト達によるロイヤル・サザン・ブラザーフッドの2作目。前作より格段にバンドグルーヴが強固になったブルース・ロックに舌鼓。個人的にはシリルによるスワンピーなロックンロール、その名も「Rock And Roll」が嬉しい!!
第18位
BOBBY RUSH WITH BLINDDOG SMOKIN' / DECISIONS
ブラインドドッグ・スモーキンというバンドとの共演盤となるボビー・ラッシュの最新作。失礼ながらブラインドドッグ・スモーキンがどのようなバンドなのか私はよく知らないのですが、こういう変化球も面白い。なんだかんだでボビー節全開!
第19位
NICKEL CREEK / A DOTTED LINE
ショーン・ワトキンス、サラ・ワトキンス、そしてクリス・シーリーによるトリオ、ニッケル・クリークの9年振りの再結成アルバム。ブルーグラスをプログレッシヴに進化させつつも、ポップに纏める手腕に脱帽です。
第20位
Old Crow Medicine Show / Remedy
雰囲気的に攻撃性が増した感じがするオールド・クロウ・メディシン・ショウの最新作。フォーク、ブルーグラス、ヒリビリー、ありとあらゆるカントリー・ミュージックを飲み込みつつ、ロックやパンクのスピリッツを感じさせてくれる会心の一枚。
第21位
Marcia Ball - Tattooed Lady & The Alligator Man
ルイジアナ臭たっぷりにピアノがローリングするご機嫌な作品。謎のアリゲーターマンもインパクト大ですが、タトゥー・レディに扮するマーシャ・ボールの姿も相当なもの。こういうセンス大好き!
第22位
ARETHA FRANKLIN / SINGS THE GREAT DIVA CLASSICS
女王、アレサ・フランクリンによるソウルの名曲かヴァー集。今昔のマッシュアップを含めた演出も見事なれど、何よりも現在のアレサならではの味わい深い歌声に魅了されます。
第23位
THE EARLES OF LEICESTER / THE EARLES OF LEICESTER
ドブロの名手、ジェリー・ダグラスを中心にカントリー/ブルーグラス界で活躍するつわもの達が集まり、ブルーグラス界の伝説フラット&スクラッグスをトリビュート。これぞブルーグラス!
第24位
Magnolia Sisters / Love's Lies
ルイジアナと言えばケイジャン。ローカル色豊かな鄙びたグルーヴに、土っぽいフィドル、素朴な歌声、そして女性グループらしいポップな感覚が愛らしい1枚。
第25位
G.LOVE & SPECIAL SAUCE / SUGAR
メジャー・デビュー20周年、そして8年ぶりにオリジナル・メンバー集結となったGラヴ&スペシャル・ソース名義による最新作。彼らならではのラグ・モップ満載の快作!
第26位
RUTHIE FOSTER / PROMISE OF A BRAND NEW DAY
ミシェル・ンデゲオチェロがプロデュースしたルーシー・フォスターの最新作。人間のぬくもりを感じさせるオーガニックな質感と、ナチュラルなブラック・フィーリングが素晴らしい!
第27位
SHARON JONES & THE DAP-KINGS / GIVE THE PEOPLE WHAT THEY WANT
大病から見事カムバックを果たしたシャロン・ジョーンズ。ダイナマイトソウル健在の最新作。The Dap-Kingsの演奏も脂がのってて最高!!
第28位
JENNY LEWIS / THE VOYAGER
ジェニー・ルイスのソロ名義としては3作目となる作品。ドリーミーでポップなソフト・ソウル的な風味が気持ち良い。もちろんカントリー・フレイバーも。プロデュースはライアン・アダムス。
第29位
BLOODEST SAXOPHONE feat. JEWEL BROWN / ROLLER COASTER BOOGIE
日本が誇るジャンプ・バンド、ブラッデスト・サキソフォンと、ルイ・アームストロング楽団出身の大ベテラン・シンガー、ジュウェル・ブラウンのコラボ作。両者の相性がこれほどまでに良いとは!
第30位
GLEN DAVID ANDREWS / REDEMPTION
かのジェシー・ヒルの孫であり、トロンボーン・ショーティやジェイムス・アンドリュースとは従兄弟に当たるトロンボーン奏者、グレン・デヴィッド・アンドリュース。これぞニューオーリンズ。野太い歌声にも痺れます。
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