ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
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上原ひろみ「ALIVE」発売記念イベント

2014-06-05 11:17:26 | ジャズ
6月4日、上原ひろみさんの新作「ALIVE」発売記念イベントに行ってまいりました。渋谷duo MUSIC EXCHANGEにて、限定500人のプレミアム・イベント。これは「ALIVE」購入特典の応募抽選に当たったもので、倍率はおよそ10倍だったとか。いや~、くじ運の悪い私ですが、よく当たったものです。

私の整理番号は101番だったのですが、会場に入ると、前方3列だけ用意された座席はほぼ全て埋まっていたものの、まだ立ち見は誰も居ない状況でして、何所からでも観れる状態。迷わず立ち見一番前の上原さんの表情から身体全体、手先と鍵盤まで全部見える最高の場所をキープ。いや~、思いのほか良い場所から観れて超ラッキーでした!

まずは新作からタイトル曲「Alive」スタジオライヴ映像の上映からスタート。高鳴る期待と共に固唾を飲みつつ映像に食い入り、終了後に拍手が巻き起こる中、今回の司会進行役である棚橋和博さんが登場。この方、「CAST」の編集長さんで、ことあるごとに、上原さんの超ロングインタヴューをなさってまして、その内容の濃さから、上原さんのインタビューと言えば棚橋さん!みたいな印象の方なのです。私もいつもそんなインタビューを読んでは、この人どんな人なんだろうと興味津々だったので、初めて、生棚橋さんを目撃出来て、ちょっとお得な感じでした。誌面でのインタビュー以上にざっくばらんな面白い方でした。

さて、いよいよ上原さんが登場。今回のイベントには、南は沖縄、北は釧路からはるばるやってきたファンの方もいらっしゃるということで、それを聞き上原さんも信じられないという表情で恐縮しつつ、棚橋さんに「今回のイベント、どうですか?」的に意気込みを聞かれても、「しゃべっているのが申し訳ない」みたいな感じで、早くピアノが弾きたそうな上原さん。

じゃあ、もう弾いてもらいましょう的に盛り上がるなか、まずは新作から「Seeker」。椅子に座り、上方を仰ぎ、目をつむり精神統一。そして始まった新作随一の名曲「Seeker」。もう素晴らしいの一言!そしてソウルフル!!CDやテレビで見る以上にソウルフル!後半のどんどん感情が高鳴って押さえきれないソウルが溢れ出していく様は圧巻でしたね。途中ガーシュインを引用したりの遊び心も上原さんらしかった!

ここ数日、テレビ出演でこの曲を演奏することが多かった上原さんですが、やはりテレビでは時間的な制約があるそうで、今回は思う存分弾けたと本人も満足そうでしたね。

さて、仕切り直してトークの時間。棚橋さん曰く、上原さんはトークに関してははなはだネガティヴで、話し相手としては非常に困るといった雰囲気でしたが、そこは棚橋さん、上原さんをリラックスさせ巧みに言葉を引き出してくれました。上原さんがオフの一日をどう過ごしているかを時系列で探ってみたり、おやつは三連プリンだとか、、フランクザッパやマイルスデイヴィスのビデオで疑似セッションを楽しんでるとか、矢野顕子さんから教わった大根すきやきのレシピとか、海外ツアーに待ち受ける数々のトラップとか、朝まで続く地獄のゆる~いセッションの話とか、甲本ヒロトさんとの出会いとか、その他色々。敢えて語り尽くされた新作の話ではなく、ただ興味のある話へ向かう感じが、とてもアットホームな感じで楽しかったです。上原さんも楽しそうに沢山しゃべってくれましたしね。それにしてもピアノを弾いている時と落差の激しいこと。そこがまた魅力的なんですけどね。

そうこうしているうちに、あっという間にイベントも終わりの時間に近づいてくる。最後は新作から続けて2曲を披露。まずはスロー・ナンバー「Firefly」。これは本当に美しい曲。上原さんの弾く音色もエモーショナルの極地。鍵盤を優しく撫でるような繊細なタッチが生み出す至極のメロディーは、柔らかく流れるようでも有り、一音一音に深い魂が込められてるようでもある。嗚呼もう、ず~っと聴いていたい!!

最後は「Spirit」。これも名曲ですよね。そしてソウルフル!これまでに無いほど“間”を生かした感情移入はブルージーこの上ない。いやその高揚感はゴスペル的と言った方が良いかも。「Seeker」もそうですけど、この曲での感情表現における上原さんの黒さっていうのは、彼女の留まるところを知らない進化を感じさせられますよね。そしてインプロではその黒さに上原さんならではのアバンギャルド性が弾け合う訳ですから堪りませんよ!

割れんばかりの拍手に送られ上原さんがステージを後にする。もちろん拍手は鳴り止まない。まったく鳴り止まない。再び登場する上原さんですが、もう新作から一人で出来る曲は全てやってしまったと…。なので今マイブームの曲をやると言って弾き始めたのは「PLACE TO BE」のオープニングを飾った「BQE」。と言っても、初めは何の曲だか解りませんでしたけどね。いきなり難解な変態的音階を弾き続け、そんななか突如「BQE」のイントロが姿を現した瞬間、オー!!みたいな。その後は怒濤の前衛プレイの応酬。驚異的な緊張感でただただ指を酷使するかの如くストイックなプレイは、まるでトンネルのなかでもがいているかのよう。そして一気に視界が開けるカタルシス。この曲も間違いなく進化しています。

短い時間でしたが、天晴なほど、ピアノと戯れ、そして弾き倒し、晴れ晴れとした表情の上原さんでした。表情と言えば、毎度のことながら、ピアノを弾く上原さんは良い顔してましたね。もちろん立ち上がったり、肘で叩いたりという、アグレッシヴな姿も見れましたし、唸りっぱなしでしたし、ホント最高でした。

ちなみに、この夜、斜め向かいのClub Asiaでは東京スカパラダイスオーケストラがライヴをやっていまして、上原さんは自身のイベント終了後そちらに飛び入りし、「水琴窟」を共演したそうです。そっちも観たかった~!!





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