ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

テデスキ・トラックス・バンドの新譜が楽しみ!

2019-01-12 00:11:15 | ルーツ・ロック
Tedeschi Trucks Band - "Hard Case"



テデスキ・トラックス・バンドが今年2月にニューアルバムを発表するそうです。タイトルは「SIGNS」。総勢12名という相変わらず大所帯なメンバーに、ウォーレン・ヘインズ、オリヴァー・ウッド、ドイル・ブラムホールⅡ世といったゲストも参加しているそう。楽曲はメンバーとゲストによる共作など、オリジナル曲が11曲(日本盤にはボーナス・トラック1曲が付く)。

これは楽しみですね。

しかも6月には来日公演も予定されているとか。2016年の前回は日本武道館でしたからね。今回は何処でやるんでしょう。あまり広くないところがいいな、なんて思いつつ、それはもう無理なんでしょうね。デレク・トラックス・バンドをリキッドルームで見た頃が懐かしい…。

でも私、前回は武道館の後にもう少し狭いところで追加公演が出るんじゃないかと踏んでいたものの、その読みは見事に外れてしまい、結局ライヴを見逃してしまっているので、今回は久々に観に行きたいですね〜。


とはいえ、まだ来日の詳細は未定とのことですので、早く決定して、発表してくれないかな〜。

ジェフ・エメリック 安らかに

2018-10-04 23:54:20 | ルーツ・ロック
THE BEATLES / REVOLVER

2018年10月2日、ザ・ビートルズのエンジニアとして知られる、ジェフ・エメリックが亡くなられました。享年72歳。長く心臓病を患い、ペースメーカーを使用していたこそうです。

ジェフ・エメリックがビートルズのエンジニアに昇任したのは、1966年4月、「REVOLVER」の録音からでした。それは4月6日、「Tomorrow Never Knows」から始まりました。

エンジニアとしての初仕事が「Tomorrow Never Knows」って、いきなり荒れる大海原に投げ出された感じだったでしょうね。なにせ翌日には、あのテープループの録音をしてますから!もちろん、それまて前任者ノーマン・スミスのアシスタントとして経験を積んでましたけどね。(ちなみに、ノーマン・スミスはプロデューサーに昇格し、ピンク・フロイドを手掛けます)。それでも、アシスタント・エンジニアとチーフ・エンジニアでは雲泥の差でしょうし、何よりその時ジェフはまだ二十歳でしたから!

*海外版のWIKI によりますと、ジェフ・エメリックの生年月日は1945年12月5日とのことで、「REVOLVER」録音時の1966年4月は20歳になりますが、日本語版のWIKI ですと、生年月日が1946年12月5日になっていますので、こちらですと19歳ということになります。ですが、2018年10月2日で72歳なら、1945年が正しそう。


それにしても二十歳のジェフ・エメリックが、かのビートルズのエンジニアを任されるというのも運命的ですよね。ただ、そのジェフの若さが、当時、急速に新しいサウンドを求め始めたビートルズに合っていたというのは、よくいわれる話。つまり、経験が浅いがゆえに、型通りの録音方法にとらわれない柔軟な発想が可能だったと。例えば、「Tomorrow Never Knows」ではジョン・レノンの声をレズリー・スピーカーに通してみたり。またリンゴのバスドラムにウールのジャケットを詰め、うんとマイクを近づけて録音し、さらにリミッター&コンプレサー処理したり。ありとあらゆる手でビートルズの要求する革新的サウンドを実現していきました。

ジェフ・エメリックは、「REVOLVER」から「THE BATLES」(通称ホワイトアルバム)まで、彼らが最も実験的だった時代にエンジニアを務めました。ビートルズのサウンド的先鋭さに果たした彼の貢献は計り知れないでしょう。しかしそんな彼も、ホワイトアルバム製作中、現場の雰囲気の悪さに愛想を尽かし、去っていきます。

でもそれがビートルズとの分かれになった訳ではなく、「ABBEY ROAD」ではエンジニアとして復帰していますし、アップル・スタジオにも関わっています。ポール・マッカートニー&ウイングスの作品でもエンジニアを務めています。ビートルズの彼に対する信頼が伺えますね。

ビートルズ以外にも、エルヴィス・コステロ、ジェフ・ベック、チープ・トリック、アート・ガーファンクルなど、様々なアーティストと仕事をしています。





また、ジェフ・エメリックは、ビートルズと共に過ごした時代を、1冊の著書に纏めています。それは日本でも発売されている「ザ・ビートルズ・サウンド最後の真実」。これがビートルズのレコーディング風景が伺えるとても面白い本なのです。例えばジョン・レノンとポール・マッカートニーの共作による「A Day In The Life」ですけど、ポールの自伝的な著書「PAUL McCARTNEY MANY YEARS FROM NOW」からは、中間のオーケストラ・パートについて、その構成やアイデアも含め、ほぼポールが一人でやった様な印象を受けますが、ジェフ・エメリックの本では、当初は空白だったあのパートに、ジョンは「ものすごく小さい音から次第に大きな音になり、ついにはそれが全てを飲み込んでしまう」という抽象的なイメージを持っていて、それに対して「オーケストラを入れたらどうだ?」とポールが提案した、そんないきさつが現場にいた彼の目から生き生きと描かれているんです。ジョン・レノンのファンとしては、ちょっと嬉しかったですね。

あと「Revolution」のシングル・ヴァージョンの録音。あのジョン・レノンの激しいギター・サウンドについて、ジョンの無茶振りと、それに辟易しながらも応えるジェフ・エメリックっていう。現場の雰囲気というか、あの頃の緊張感がひしひしと伝わってきて大変興味深い。しかもそのサウンドは後世に影響を与えるほど斬新なものだったんですから、凄いですよね。でもその軋轢が、ジェフが出て行く原因になっている訳ですから、ちょっと複雑な思いですけどね…。



ジェフ・エメリックの成してきた仕事は、いわゆる縁の下的なものですので、これまで彼について語られることはあまり無かったかもしれませんが、ビートルズの快進撃に無くてはならない、天才的なエンジニアでしたね。


ジェフ・エメリックさん、安らかに。

ポール・マッカートニー 両国国技館 発表!!

2018-09-28 20:49:50 | ルーツ・ロック
ポール・マッカートニーの追加公演が発表になりました。なんと両国国技館です! 昨年は日本武道館で驚かせてくれたポールですが、今度は両国国技館ですよ!面白いですね〜、ポール・マッカートニー!!

日程:2018年11月5日(月)
時間:開場17:30 開演 18:30(予定)
料金:全席指定 38,500円(税込)



でも武道館はビートルズ来日の伝説の舞台へ帰還という特別な意味がありましたけど、今回の国技館はどうなんでしょうね? なんか手を替え品を替え、って感じがしないでもありませんが…、でも武道館の翌年に国技館っていうのは、やっぱり面白いですよね。それに武道館より若干キャパも少なそうですし、ほぼドーム公演しかやらないポールですから、プレミアムなライヴになることは間違いないでしょう。ポールは来日時に相撲観戦したり、懸賞金を出したりするほどの相撲ファンでもありますしね、なにか特別な趣向に期待したりも…。

しかしチケ代は、一律38,500円なんですかね? 最前列も最後列も同じお値段ですか? とは言え、たとえ一番後ろでも取れたらラッキーな争奪戦になるんでしょうけどね…。



それにしても最近のビートルズ周辺は賑やかですね。まず10月5日にジョン・レノンの名作「イマジン」の究極ボックス「イマジン:アルティメイト・コレクション」がリリースされます。スーパー・デラックス・エディション(4CD+2ブルーレイ収録、豪華本付ボックス・セット)は12,000円(税別)。さらにHDリマスターが施された「イマジン/ギミ・サム・トゥルース」のブルーレイが4,600円(税別)。10月9日には書籍『イマジン~ジョン&ヨーコ~』5,800円(税別)も出ます。


そして11月9日には、ビートルズの通称「ホワイト・アルバム」の発売50周年記念スペシャル・エディションがリリースされます。スーパー・デラックス・エディション(6CD +1ブルーレイ(音源のみ)収録豪華本付ボックス・セット)は19,500円(税別)です。

いやはや、嬉しい悲鳴といいますか、勘弁してくれって感じですよね。

個人的には、「ホワイト・アルバム」のボックスは欲しいな〜。

ポール・マッカートニー の配信ライヴを見た!

2018-09-08 14:51:27 | ルーツ・ロック
今日は朝からポール・マッカートニーのニューヨークでのライヴがYouTubeで生中継されていたんですけど、私、すっかり忘れてまして、たまたまツイッターを見て気が付いたんですけど、慌ててYouTubeを開いたら、なんとポールが観客に囲まれながら、一人でアコギを弾き語っているではありませんか!

え!こんな感じのライヴなの?って驚きましたね~。曲は「Blackbird」。ポールの歌はいい感じに枯れていて、若いころとはまた違った味わいが何とも言えず良い塩梅でしたね。おそらくこれは、中盤のアコギ・コーナーだったんでしょうね。そのあとはステージに戻り、バック・バンドを従えた演奏に。

最新作「Egypt Station」から「Who Cares」をやってましたね。そしてジェット機の音に導かれるように「Back In The U.S.S.R.U.S.S.R.」ですよ! 「Blackbird」では枯れた魅力を感じさせてくれましたが、いやいや、まだまだ元気! 年を重ねてもロックンローラーですよ!そして「Ob-La-Di, Ob-La-Da」、「Birthday」、「Lady Madonna」、「Let It Be」、「Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band (Reprise)」、「Helter Skelter」と、ビートルズ時代の名曲を連発。オルゴールで始まり、観客たちが蝋燭?をかざした「Let It Be」は感動的でしたね~。そして最後は「Abbey Road」からの必殺メドレー「Golden Slumbers」~「Carry That Weight」~「The End」です。私、このメドレー、大好きなので、聴けて良かったです。

もちろん観客たちも幸せそうな顔をして盛り上がってました。狭い会場だけあって親密な雰囲気が良かったですね。



それにしてもポール・マッカートニー、最近はアビーロード・スタジオでライヴをやったり、キャバーン・クラブでもライヴをやったり、そして今度は配信生ライヴですか!新作も出しましたし、来日もします。次から次へと驚かしてくれますね~。いやはや、ポール・マッカートニーって、どうなってるんでしょうね? ま、それはそうですよね、なにせあのビートルズを動かしていた人ですからね。


ちなみに生配信が終わった後もリピートがあり、「A Hard Day’s Night」から始まったこのライヴを、また初めから見ることが出来ちゃったり。ライヴの始まり方が、洒落てて良いんですよ!



ちなみにNME JAPAN によりますと、セットリストはこんな感じだったようです。

A Hard Day’s Night
Hi, Hi, Hi
Can’t Buy Me Love
Letting Go
I’ve Got a Feeling
Come On to Me
My Valentine
Nineteen Hundred And Eighty Five
From Me to You
Love Me Do
FourFiveSeconds
Blackbird
Dance Tonight
Who Cares
I Saw Her Standing There
Fuh You
Back In The U.S.S.R.
Ob-La-Di, Ob-La-Da
Birthday
Lady Madonna
Let It Be
Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band (Reprise)
Helter Skelter
Golden Slumbers
Carry That Weight
The End




いつまでリピートしているか分かりませんが→ Paul McCartney: Live from NYC

ポール・マッカートニー 来日決定!!

2018-08-08 20:41:23 | ルーツ・ロック
昨年は武道館公演で日本を騒然とさせたポール・マッカートニーでしたが、今年も来日公演が決定いたしました!!!

現在発表されているのは、10月31日(水)と11月1日(木)に東京ドーム、11月8日(木)にナゴヤドームの3公演。チケット価格はいずれも S席:18,500円、A席 :16,500円、 B席:14,500円 だそう。

意外にもポールが名古屋公演を行うのは今回が初めてだとか。でもそれ以上に大阪を飛ばしていることがSNS上で話題になっていたり。

今年9月には5年ぶりとなるニュー・アルバム「Egypt Station」をリリース予定のポール。今回の来日はその新作を引っさげてのワールドツアー「FRESHEN UP TOUR」の一環だそうですね。つい先日の7月26日にはビートルズの聖地であるリバプールのキャバーン・クラブでサプライズなライヴを行ったとかで話題になってましたね。日本に来る直前にはオースティン・シティ・リミッツでヘッドライナーを務めているはず。現在76歳だそうですが、まだまだ現役バリバリです。新作も楽しみ!!


日本でもぜひ、フェスにも出てもらいたいものですが…。来年20周年を迎えるサマソニ辺りは狙ってたのでは?なんて思ったり。ま、ドーム公演を数回やるようなアーティストですから、キャパ的に難しいですかね。でもフジにボブ・ディランが出ちゃいましたから、それに対抗するとなると、ポールぐらいしかいないんですけどね〜。



ま、それはそうと、今回の来日公演も、盛り上がりそうですね!!!

行きたいな〜。









JET @新木場STUDIO COAST

2018-03-10 11:01:49 | ルーツ・ロック
3月7日、新木場STUDIO COAST にて、JETを観てまいりました!! 昨年のフジロックでも観ているので、その余韻が脳裏に残っている状態での単独公演。あの興奮が再びって感じですが、やはり野外と、ライヴハウスではまた違った盛り上がりでした。

セットリストは以下のような感じだったらしいですが、代表曲は全て網羅されているような完璧なセトリですね。序盤からオージー産ロックン・ロール全開でした。「She's a Genius」のような、ダンサブルな曲も強力でしたが、「Skin And Bones」のようなアーシーなノリの曲での、肩の力が抜けた、リラックスしたグルーヴがまた最高でした。中盤にスロー・テンポな曲を固めた展開も素敵。そして後半の「Are You Gonna Be My Girl」から本編ラストまでは圧巻のテンションで突っ走る感じで、会場も大盛り上がり。アンコールでのドラマーのクリスが前へ出てきてのアコースティック「Move On」がまた良い塩梅でしたね。案外こういう曲こそ、ジェットの真骨頂だったり。あと、ニックのヴォーカルが最高なのはもちろんですが、クリスの歌声も味があっていい感じでしたね。そしてラストはキラーチューン「Cold Hard Bitch」。冒頭、ニックのシャウトから最後の祝祭へ。天晴でした!! 全般、ちょっとギターの音が小さめに感じたのが、唯一残念ではありましたが、途中からそんなことも忘れてしまうほど、格好良いステージでした! 

まだまだ現役ですよ。ぜひぜひ新作をリリーして完全復活して頂きたいものです。


01. Get What You Need
02. She's a Genius
03. Rollover D.J.
04. Lazy Gun
05. Black Hearts (On Fire)
06. Skin and Bones
07. Shiny Magazine
08. Seventeen
09. Walk
10. Look What You've Done
11. Kings Horses
12. Come Around Again
13. Bring It On Back
14. Are You Gonna Be My Girl
15. Put Your Money Where Your Mouth Is
16. Take It or Leave It
17. Get Me Outta Here
18. Rip It Up

Encore:
19. Shine On
20. Move On
21. Last Chance
22. Cold Hard Bitch


セットリストはネットから拾いました。間違ってましたらごめんなさいね。

モット・ザ・フープル 復活

2018-02-11 11:21:04 | ルーツ・ロック
MOTT THE HOOPL / THE HOOPLE

モット・ザ・フープルが何度目かの再結成をするようです。これまでは、イアン・ハンターはもちろん、ミック・ラルフス(g)、ヴァーデン・アレン(key)などオリジナル・メンバーを中心にしたリユニオンでしたが、今回はミック・ラルフス、ヴァーデン・アレンに代わり、アリエル・ベンダーことルーサー・グロヴナー(g)、モーガン・フィッシャー(key)が参加するとのことで、これはそそられますね〜。

モット・ザ・フープルと言えば、デヴィッド・ボウイが提供した名曲「All the Young Dudes」が有名ですが、その名曲を収録したアルバム「ALL THE YOUNG DUDES」や、次作「MOTT」をリリースした72年、73年はまさに絶頂期で、そのさなかに、ヴァーデン・アレン、ミック・ラルフスが脱退してしまいました。

そして彼らの後釜に入ったのがルーサー・グロヴナー(g)、モーガン・フィッシャー(key)だったのです。なので、今回のリユニオンは、全盛期のメンバー変遷をなぞっているようで、これはなかなか興味深いですよね〜。

そして74年に彼らが発表したアルバムが、写真の「THE HOOPLE」。邦題は「ロックンロール黄金時代」です。

実は私、こう見えて若い頃、モット・ザ・フープルの大ファンだったのです。まさにフェイヴァリット・バンドでしたね。いや本当、モット・ザ・フープルには入れ込みましたね。中でも最も好きだったアルバムが「THE HOOPLE」だったのです。1曲目の「The Golden Age Of Rock 'n' Roll」から、これぞグラム・ロックな名曲目白押しです。そしてルーサー・グロヴナーのおよそロックンロールらしくない、個性的なギター・ソロが格好良いんですよ!憧れましたね〜。

このルーサー・グロヴナーというギタリストは、60年代後半からスプーキー・トゥースの創設メンバーの一人として活躍していたギタリストで、モット・ザ・フープル参加当時は、契約の問題でアリエル・ベンダーと名乗っていました。

残念ながらルーサー・グロヴナーは、この後すぐにモット・ザ・フープルを脱退してしまい、バンドも失速してしまいます。このメンバーで、もっと活動を続けていれば良かったのに〜!なんて思いますが、そういう意味でも、今回のリユニオンは嬉しいですね!

7月に英国で開催される「Ramblin' Man Fair」というフェスにヘッドライナーとして出演するそうです。日本にも来てくれないですかね〜。サマソニとかどうですかね?






MOTT THE HOOPLE - The Golden Age Of Rock And Roll (1974 UK TV Appearance) ~ HIGH QUALITY HQ ~

グレッグ・オールマン R.I.P.

2017-05-31 00:58:35 | ルーツ・ロック
GREGG ALLMAN / ONE MORE TRY : AN ANTHOLOGY

5月27日、オールマン・ブラザーズ・バンドのグレッグ・オールマンが、米ジョージア州サバンナにある自宅で亡くなられました。肝臓ガンの合併症のためだそう。享年69歳。



2014年にウォーレン・ヘインズとデレク・トラックスが脱退を発表し、グレッグ・オールマンの体調問題もあって、これまでメンバーの死を乗り越え、解散と再結成を繰り返しながら、綿々と続いてきたオールマン・ブラザーズ・バンドの長い歴史も、いよいよ終止符が打たれることになりそうだと覚悟はしていました。ですが実際にグレッグ・オールマンの訃報に接すると、やはりその喪失感は半端ありませんね。

70年代のサザンロックを代表するグループであることはもちろん、現行ジャム・バンド・シーンの元祖的存在でもあったオールマン・ブラザーズ・バンド。自身が築いた栄光はもちろん、後続へ与えた影響も計り知れません。テデスキ・トラックス・バンドやガヴァメント・ミュールなどABBチルドレンはもちろん、今年フジロックに出演予定のマーカス・キング・バンド辺りは、ABB のグランドチルドレンと言ったところでしょうか。その他、ブルースをベースにした南部系ロック・バンドは全て、オールマン・ブラザーズ・バンドの影響下にあると言っても過言ではない程です。そしてその精神的支柱であり、象徴的存在だったのがグレッグ・オールマン。あの土っぽく、ざらついた歌声を、もう聴くことが出来ないなんて、哀し過ぎます。


グレッグ・オールマンさん、安らかに。

David Hidalgo & Marc Ribot Duo @渋谷クラブクアトロ

2017-05-22 23:08:06 | ルーツ・ロック
5月18日、渋谷クワトロにて、デヴィッド・イダルゴ&マーク・リーボウのデュオ公演を観てまいりました。方やレジェンダリーなラテン・ロック・バンド、ロス・ロボスの中心的ギタリスト/シンガー、方やフリー・ジャズからアメリカーナまであらゆる音楽をその唯一無比なプレイで股にかける鬼才ギタリスト。この2人の競演なんてなかなか観れるもんじゃありませんからね。会場には、双方の熱狂的なマニア、ルーツ音楽ファン、そしてプロのミュージシャンの方々まで、色々な人が集まり、熱気に溢れていました。

さて、主催のトムス・キャビン代表、麻田浩さんの挨拶に続いて、いよいよデヴィッド・イダルゴとマーク・リーボウが登場。ステージ向かって右側にデヴィッド・イダルゴ、左側にマーク・リーボウが座る。サポートメンバー無しの、文字通りのデュオ公演です。

序盤はイダルゴがラテン・プレイボーイズ、ロス・ロボスでやっていた曲を、リーボウがセラミック・ドッグの曲をという、双方の持ち曲を披露。イダルゴが歌う「Manifold de Amour」の枯れたラテンの味わいで始まり、リーボウの「Ain't Gonna Let Them Turn Us Round」は前半こそ大らかなカントリー・ロック的なアレンジでしたが、終盤はピッチを上げ、早口に吐き捨てるようなリーボウのヴォーカルはパンキッシュ! って言うか、セラミック・ドッグの曲をやること自体が意外でしたね。てっきりリラックスした趣味的なアメリカーナに終始するのでは?というこちらの予想を早くも覆してくる。イダルゴのブルージーなフィーリングが秀逸だった「Chinese Surprize」では、リーボウの掻きむしり系ギター・ソロも炸裂!!

セットリストは、双方のヴォーカル曲を交互に進行。2人はアコースティック・ギターとエレキ・ギターを持ち替えながら歌いますが、続く「Dos Traficantes」では、リーボウは大きめのウクレレのような楽器を弾いたり、1曲目の「Manifold de Amour」ではイダルゴがチェロを指弾きしたりもしていました。こういう曲ごとの楽器の使い方も面白いですね。

その「Dos Traficantes」(おそらくメキシコの民謡か何かでしょうか?)や、ロル・ロボスの「La Pistola Y El Corazon」ではラテンの香りを強く感じさせてくれる。特に「La Pistola Y El Corazon」での艶やかで張りのあるイダルゴの歌声が素晴らしかったですね。60歳を超えてるとは思えない瑞々しい響き。そしてラテンの哀愁たっぷり。

私は恥ずかしながら、今回のライヴに際して、このデュオの過去映像をYouTubeで片っ端から予習しまくったのですが、意外と、その予習に引っかからなかった曲も多くて、次にリーボウが歌った曲もそんな曲でした。アップテンポでヒリヒリとした緊張感に溢れるフォーク。初期のボブ・ディランが歌いそうなトーキング調のブルースの様でもあり、やさぐれ口調で言葉を畳み掛ける感じは、パティ・スミスのポエトリー・リーディングを想像させられたりも。何かを訴えかけるような、その陰影と、尖ったフィーリングは、多分にアート的であり、何やらニューヨークのアンダーグラウンドな雰囲気を感じさせられたり。このデュオでこういう曲をやるリーボウが、私は大好きです!! ちなみに、そのリーボウの歌に並走するようなイダルゴのブルース・ギターがまた最高でした!

今回のライヴには、古き良きカントリー/フォークへのオマージュのような裏テーマがあったようにも思われます。イダルゴはレフティ・フリーゼルの「I Never Go Around Mirrors」や、マール・ハガードの「The Running Kind」を取り上げていました。どちらもゆったりとした麗しのカントリー調で、おおらかなイダルゴの歌声が味わい深かったですね。そしてまたリーボウの微妙にいびつなカントリー・ギターが、とてもラヴリーで最高でした。特に「The Running Kind」では、それまでのゆったり調から一転して、つんのめるようなチョーキングを連発する、そのギラついた鳴りと鋭利なタイム感に震えましたね。またフリーキーに逸脱するギリギリのところでカントリーの枠内に納める絶妙な塩梅にニヤニヤが止まりませんでした。

そのマーク・リーボウは、「That’s Why I’m Walkin」や、「The Dying Cowboy」を。前者は、これも古い曲で、リッキー・スキャッグスやエルヴィス・コステロもカヴァーしている曲ですが、ぐっとテンポを落としてスローに弾き語るリーボウのこの曲は、まるで物悲しい子守唄のような味わいが秀逸でした。「The Dying Cowboy」は、バディ・ミラーのアルバム「THE MAJESTIC SILVER STRINGS」の中で、マーク・リーボウが「Bury Me Not On The Lone Prairie」のタイトルでフィーチャーされていた曲で、アメリカの古いトラディショナルでしょうね。私は「THE MAJESTIC SILVER STRINGS」が大好きで、なかでも特に「Bury Me Not On The Lone Prairie」の醸す彼流アメリカーナの独特な雰囲気に感銘を受けていたのです。まさかここで生で聴けるとは思っていなかったので、これは嬉しいサプライズでした。カントリーの魅力をストレートに演奏するイダルゴに対し、一歩踏み込んだアレンジで深遠な世界へと引き込むリーボウ。両者の対比も面白いですね。

本編最後は客席にリクエストを募ってのグレイトフル・デッド「Bretha」。もちろロス・ロボスのレパートリーでもあるこの曲は流石に盛り上がりましたね。そしてリーボウがしっとりと「Bella Ciao」で締める。元々はイタリアのパルチザン・ソングなんですけど、哀愁溢れるリーボウの歌声が滲みましたね。

もちろん、これで終わらない。熱狂的な拍手歓声に応えたアンコールはまさかの「What's Going On」。とは言え、事前にアンコールでこの曲をやることはツイッターで知ってたんですけどね。それにしてもイダルゴの歌うマーヴィン・ゲイ、気持ちよかったですね〜。またリーボウのソウルフルなギターも素敵でした。そしてそのリーボウは「Hanky Panky」。レインドロップス 〜トミー・ジェームス&ザ・ションデルズのカヴァーですね。これは思いっきりガレージ&パンキッシュなノリ。リーボウの歌も弾けてましたが、さらにギター・ソロがアグレッシヴで最高でした!

これで終わりと思いきや、鳴り止まない拍手にさらなるアンコール。なんとウィルソン・ピケットの「In the Midnight Hour」。リーボウが歌うこれもソウルと言うよりニューヨーク・パンク的な荒々しいカヴァー。曲想の違いもありますけど、イダルゴの「What's Going On」との違いがやっぱり面白い。

ラテンを交えながら、カントリー&ブルージーな魅力で、弾き語りによるアメリカーナをどっしりと聴かせてくれたデヴィッド・イダルゴ。そしてそれを崩すかのように独特の感性で切れ込むマーク・リーボウ。しかし決してアヴァンギャルドへ傾斜しないのは、リーボウのさじ加減というより、イダルゴの絶対的な存在感と懐の深さの成せる技。2人の個性の違いが弾け合い、混ざり合う、その瞬間に醸成される極上の音楽。

およそ1時間40分の極上ライヴ。最初に浅田さんが、「リタイアしたミュージシャンが昔を思い出して演奏しているような緩いライヴ」みたいなことをおっしゃっていましたが、いやいやいや、これほど深遠なライヴは、そうそう観れませんよ!!



この日のセットリストはこんな感じだったかな? 抜けがありますし、既に記憶が曖昧ですので、間違ってましたらごめんなさいね。


01. Manifold de Amour
02. Ain't Gonna Let Them Turn Us Round
03. Chinese Surprize
04. Dos Traficantes
05. La Pistola Y El Corazon
06. ???
07. I Never Go Around Mirrors
08. Rata de dos Patas
09. ???
10. That’s Why I’m Walkin (Angel on My Mind)
11. The Running Kind
12. The Dying Cowboy
13. Bretha
14. Bella Ciao
------------------
15. What's Going On
16. Hanky Panky
------------------
17. In the Midnight Hour


9曲目は、イダルゴが歌った曲で、初期のロス・ロボスが得意そうな、ロカビリー・テイストのロックンロールでした。

→5月27日追記:9曲目はジミー・マクラクリンのカヴァー「Georgia Slop」と、親切な方にコメント欄で教えて頂きました。ロス・ロボスの「NEIGHBORHOOD」に入ってる曲ですね。



*David Hidalgo と、Marc Ribot のカタカナ表記について、私はデヴィッド・ヒダルゴ、マーク・リボーが馴染み深いのですが、どうやらデヴィッド・イダルゴ、マーク・リーボウが正しい、もしくは近い、そうですので、今回はそのような表記で書かせて頂きました。

マーク・リボーのルーツな良い仕事 2010〜

2017-05-17 23:27:20 | ルーツ・ロック
デヴィッド・ヒダルゴとのデュオ公演のため来日中のマーク・リボー。東京公演は明日18日と言うことで、直前特集です。タイトルに2010~と謳っといて、その直前にどうしても外せない1枚があるので、それもしれっと入れせて頂きました。



ALLEN TOUSSAINT / THE BRIGHT MISSISSIPPI
ジョー・ヘンリーがプロデュースしたアラン・トゥーサンのニューオーリンズ・ジャズ作品。2009年作。トゥーサンのソロ作と言うより、ジョー・ヘンリーがトゥーサンを素材に彼流のニューオーリンズ・ジャズ解釈を形にした作品と言った方が良いかも。そういう意味ではジェイ・ベルローズ(ds)、デヴィッド・ピルチ(b)のリズム隊と共に、数曲でフィーチャーされるマーク・リボーの一筋縄ではいかない枯れたアコギのトーンが、ジョー・ヘンリー独特の世界観を語るよう。



MARC RIBOT / SILENT MOVIES
マーク・リボーが、無声映画にインスパイアされて作ったギター・アルバム。2010年の作品。難解な中にも陰影と叙情性が滲みる逸品。ちなみに、吉祥寺にあった映画館バウスシアターが、2014年に惜しまれつつ閉館した際、最後の爆音映画祭のプログラムの中に、マーク・リボーによる「無声映画ライヴ」と言うのがありまして、私も見に行きました。私が見たのはチャップリンの映画「キッド」。映画上映にマーク・リボーがギターのライヴ演奏を付けるのですが、流石の味わいでしたね。チャップリンとリボーの世界が溶け合った、ライヴならではのアートでした。



JOHN MELLENCAMP / NO BETTER THAN THIS
メンフィスのサン・スタジオを中心に、ジョージア州サバンナのファースト・アフリカン・バプティスト教会や、さらにはロバート・ジョンソンが伝説の録音をしたというサン・アントニオのGunter Hotel 414号室でレコーディングされたという、ジョン・メレンキャンプの渾身作にして、麗しきカントリーへの愛情溢れる傑作。プロデュースはT・ボーン・バーネット。ギタリストはマーク・リボーだけではなく、曲ごとの詳しいクレジットも無いので何ともいえませんが、半数以上に聞こえる、良い具合にいびつさを感じさせるエレキ・ギターは、おそらくリボーのものでしょう。「No One Cares About Me」の柔らかいのにエッジが立ってる味わいあたり、流石としか言いようがありません。リボーはバンジョーも弾いてます。



TOM WAITS / BAD AS ME
しばしばトム・ウェイツのギタリストと呼ばれることもあるマーク・リボーですが、こちらは2011年の作品。キース・リチャーズや、レッチリのフリーなども参加するなか、特筆すべきは、デヴィッド・ヒダルゴも数曲で参加し、リボーと一緒にギターを弾いてるんです。と言っても派手なギターバトルとか、無いですけどね。ただ、目立った2人の公式録音ってほとんど無いと思うので、今回の来日公演に向けて、このアルバムは少し胸が騒ぎます。



BUDDY MILLER / THE MAJESTIC SILVER STRINGS
バディ・ミラーのソロ作と言うより、ザ・マジェスティック・シルヴァー・ストリングスというグループの作品と考えた方が良いかもしれません。メンバーはバディ・ミラーを中心にマーク・リボー、ビル・フリゼール、グレッグ・リーズという、現代のルーツ音楽シーンにおいて最も個性的で、最も面白く、最も信頼出来るギタリスト達。リズム隊はジェイ・ベルローズ(ds)&デニス・クラウチ(b)。こんなの素晴らしいに決まってるじゃないですか! 2012年の傑作。



DIANA KRALL / GLAD RAG DOLL
おそらくマーク・リボーのセッション参加作として、近年で最も魅力的な作品がこれ。ほぼ全般で、リボーのギターがダイアナ・クラールの歌をバックアップします。微量の毒を感じさせるエレキ・ギターの音色もさることながら、ロマンチックなアコギの響き素晴らしい!特にリボーのアコギのみをバックにダイアナ・クラールが歌うタイトル曲「Glad Rag Doll」は絶品。2012年作。ちなみに、今回は取り上げませんでしたが、旦那様もマーク・リボー大好きです。



MARC RIBOT TRIO / LIVE AT THE VILLAGE VANGUARD
マーク・リボー(g)、ヘンリー・グライムス(b)、チャド・テイラー(ds)のトリオによる2012年のライヴ録音。「ルーツな日記」で紹介するにはあまりにもフリーキーなジャズですが、アヴァンギャルド・ロックな風情のセラミック・ドッグより私はこちらの方が断然好み。全編でエッジの立ちまくったリボーのエレキギターに痺れまくりです。特にいびつなロックンロールなノリから、最後はゴスペルっぽい荘厳さを醸す「The Wizard」の格好良いこと!!



MARC RIBOT THE YOUNG PHILADELPHIANS / LIVE IN TOKYO
マーク・リボー率いるザ・ヤング・フィラデルフィアンズによる、2014年、東京でのライヴ録音盤。フィリーソウル×オーネット・コールマンというリボー流解釈が半端無くスリリング。流麗なストリングスとグルーヴをえぐるように暴走するリボーのギターは流石は鬼才!! 同年のフジロックでの怪演が思い出されます。