哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

国境付近の島の購入

2012-05-21 00:05:05 | 時事
尖閣諸島の島を地方自治体が購入するという話が出て来ているが、何だか不思議な話だ。地方自治体が購入するその理由が、他国との領土問題から守るためらしいが、そもそも既に国内の個人が所有しているという。国内で売買できるということは、日本の領土であることが前提であろうが、その前提が不安定ということが売買の動機だというから、どうしても論理的に矛盾を感じる。ましてや、領土を守るという国防については、これは国家の専権事項であり、自治体はそもそも担えない話であるから余計に矛盾している。この矛盾だらけの行為が、一体どういう結果を招くのか。

北方領土もかつては日本人の個人が所有する土地もあったことだろうから、戦後は一方的にその所有権を剥奪されてしまったのだろう。尖閣諸島の島の所有権をどうやって個人が取得したのかは知らないが、歴史的な経緯において幸いにも北方領土と異なって所有権を守られてきたということか。そう考えてくると、土地を所有するということの不確実さを改めて感じる。所有権絶対というのが民法上の基本概念だが、ちっとも絶対的な権利ではなく、たまたま偶然な表象にすぎないように思えてくる。


それにしても、さらに不思議に感じるのは、尖閣諸島の島の購入費として既に何億円もの寄付が集まっているということだ。増税がこれだけ政治問題になっている一方で、この寄付金の多さは何であろうか。むしろ、増税という言い方をやめて、国家財政を救うために寄付するという意味で、税金をすべて寄付金という名称に変えてはどうか。もし、国家の領土を守るために寄付できても、国家の財政を守るためには一銭も出さないというのであれば、そのような態度も矛盾しているとしか言いようがない。