哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

週めくり池田晶子 52

2012-04-17 07:20:00 | 哲学
 『14歳からの哲学』を再読してみて、この本には、池田晶子さんの言いたいことのエッセンスがすべて詰まっていることを再認識した。大人向けならば『残酷人生論』の方がインパクトが強いのだが、池田晶子さんの通常の文章はあくが強いので、万人向けとなれば、子供向けにかかれたこの本がもっとも良いといえる。週めくりの最後は故事成語だが、池田晶子さんがこの本の終りの方で、この言葉を人生の標語にするように書いている。




52 天網恢恢疎にして漏らさず


 天の網は広くて粗いようだけれども、悪事は必ず露見する、悪人には必ず天罰が下るという意味だ。むろん、天罰を下すのは天じゃない。自分の内なる善悪だ。自分が為した悪事の罪を、自分のために罰するんだ。因果応報、罪の罰は、必ず自分に帰ってくる。なんのためかって、自分のためだ。それより自分が悪くならないように学ぶためだ。悪を為さずに善を為し、よりよくなろうと学ぶこと、それが、存在することに意味のない人生を生きることの、本当は、意味なのかもしれない。(『14歳からの哲学』「28 人生の意味[2]より)