事物を正しく把握する手法として、科学というのは重要であり、人類の飛躍的進歩の源泉となった。しかし科学的な考え方というものは、決して唯一最高のものではなく、科学的なものの見方に偏重した考え方は、決して正しいとはいえないことを池田晶子さんは繰り返し指摘している。
46 物質を物質たらしめているものは物質ではない。それは何か。
水とはH2Oであると理解することによって、われわれは水を理解したことになるのだろうか。・・・なるほど、物質として対象化してみれば、水はH2Oであり、私は脳である。その限り、それらは知性による分類と分析の対象となり得る。しかし、それらを対象化するという知性の機能とは、そもそも何か。それらを物質として対象化することができるのは、対象化される以前のそれら自体がそこにあるから以外ではないはずだ。したがって、それらは物質ではない。(『ロゴスに訊け』「理性は知性を越えて」より)
46 物質を物質たらしめているものは物質ではない。それは何か。
水とはH2Oであると理解することによって、われわれは水を理解したことになるのだろうか。・・・なるほど、物質として対象化してみれば、水はH2Oであり、私は脳である。その限り、それらは知性による分類と分析の対象となり得る。しかし、それらを対象化するという知性の機能とは、そもそも何か。それらを物質として対象化することができるのは、対象化される以前のそれら自体がそこにあるから以外ではないはずだ。したがって、それらは物質ではない。(『ロゴスに訊け』「理性は知性を越えて」より)