哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

日めくり池田晶子 45

2011-08-20 00:15:00 | 哲学
 今回は私=自分とは何かについて、根本的な疑問の、スタート地点の言葉である。池田晶子さんの著作をあまり読んだことのなかった人は、最初一体何を言っているのかわからなかったのではなかろうか。しかし、この根源的な疑問を疑問と思わなければ、池田晶子さんのいう哲学のスタート地点には立てない。



45 あなたが「私」と言うときのその「私」を指示してみてほしい。どのって、このですよ、と鼻の頭を指す以外の仕方で、示してみてほしい。


 人の世のいざこざとは、だいたいにおいて自己主張のぶつかり合いであることは、認めますよね。でも、ーどの自己? どの自己のことを人は、他人を蹴飛ばしてでも主張したいほど確実な自己であると信じているのか。
 「私は」「私は」と、声高に主張し合う人々もじつは、主張している「私」の何であるかを、鼻の頭を指す以上の確実さで知っているわけではないのである。(『残酷人生論』「「私」とは何か」より)