哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

外国人選挙権

2010-03-10 00:20:00 | 時事
 ちょっと話題がKYなのかもしれないが、一時期批判続出だった永住外国人の選挙権に関する話題は、内閣の支持率低下と小沢幹事長の辞任問題などで消え入りそうな雰囲気もする。


 そもそも、民主主義制度における選挙権について池田晶子さんはどう書いているかというと、例えば『さよならソクラテス』では、選挙権は権利なのかと問い、その行使をするように強制されるのであれば、権利ではなく義務となるとする。権利であれば投票するしないも自由だし、そもそも多くの国民が投票に行かないのは、ただでもらったものにありがたみもないからだという。

 この辺りの話でよく思い出すのは、ローマ帝国末期において、全ての属州民にローマ市民権を与えた愚策だ。属州民は、特権のあるローマ市民権を得るべく日々軍務に励むなど努力をしたわけだが、時の皇帝は大衆の人気をとるためか不満を解消するためか、全ての属州民にローマ市民権を与えるとした。しかし、タダでもらったものは、有難みが失せる。ローマ市民権がステイタスでなくなってしまうと、ローマ帝国を支える根幹が揺らいでしまう事態となっていった。


 選挙権を権利として、皆が真剣に考えて1票を投じるようにさせるには、うんと選挙権取得のハードルを課せばよい。大事な1票であることをしっかりと自覚させるためだ。外国人どころか日本人の選挙権取得も、相当の努力を要するようにする。例えば、税金を一定額以上納めて初めて取得できるとか。だがそうすると、お金の力で権力を動かすことになってしまうし、そもそも選挙権の取得を制限したら、民主主義理念に反してしまうのだろう。

 池田晶子さんの嘆息が聞こえてきそうである。