哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

明日、辻井伸行さんETV特集再放送

2010-01-10 06:45:45 | 音楽
 明日朝9:30から、以前紹介した辻井伸行さんのETV特集が再放送されるので、是非ご覧いただきたい。

 なお、以前紹介したときに指揮者と息づかいでタイミングを合わせる所としたのは、「ピアノから始まる章」ではなく「ピアノとオーケストラが同時に始まる章」であった。
 このことは、avexから発売されたコンクールドキュメントDVDを視聴して気づいた。このDVDの映像は、かなりの部分がETV特集と同じ映像であったが、全く同じ内容ではない。DVDの方は外国人の監督が製作したとうたっているが、映像としての作品性を重視したのか、テレビ番組としてのETV特集よりは、少し説明が足りないように思う。例えば、ピアニストの横山幸雄氏が駆けつけた理由を、DVDでは説明していなかったが、ETV特集では、ファイナルに進むことができたため急遽ファイナル用の曲の特訓のために来たことが説明されていた。
 DVDの方は、ETV特集を見てから視聴したほうが良いだろう。


 そもそも、盲目のピアニストが海外のコンクールで優勝したという報道に初めて接したとき、何か特別扱いを受けたのだろうか、と少し疑いの気持ちを持った。今回の優勝者が二人いたということも、そんな疑いに拍車をかける。しかし、そんな生易しいものではないことは、番組を見ればわかる。

 耳から聞いただけで全ての音符を記憶し、ピアノで弾くことができるというだけで、大変驚きだが、このコンクールはもちろんそんなレベルを超えて、アンサンブルやオーケストラとの協調性、そして芸術家としての表現性まで問われている。
 さらにいえば、辻井さんがもう一人の優勝者と共通していたのは、周りに対して謙虚であったように思われるところだ。コンクールの挑戦者たちは皆若いが、皆自信を持っており、番組中でそれが行き過ぎているでは?と見受けられる者も中にはいた。


 話は変わるが、障害を乗り越えて活躍している人を見るたび、高校の英語の授業でヘレン・ケラーの言葉として教えられた「Who is not handicaped?」を思い出す。障害を持っていない人なんて居るだろうか?というのである。たとえ目や耳など身体に障害を持っていなくても、心の病もあれば、社会環境や経済環境など、多くの人はいろんな障害を抱えてすごしているではないか、というわけだ。

 確かに自殺者が日本に何万人もいることを考えると、障害を乗り越える気概と勇気が必要なのは、いわゆる身体障害者に限る話ではない。辻井さんの活躍に元気をもらうという話は、決して身体障害者だけではなく、いわゆる健常者であっても全く同じなのだろう。