哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

『論語物語』(講談社学術文庫)

2009-10-11 00:47:47 | 
この本は大変お薦めである。論語そのものは短い文の集積で、現代語訳に解説を併せて読んでも、その理解は簡単ではない。この『論語物語』は論語のいろんな箇所にある短文をもとに、短い小説を作り上げて、孔子や弟子たちの生き生きとした物語としたため、大変理解のしやすいものになっている。戦前に作られた本と思えないくらい、分かりやすい内容である。

小説の内容は著者である下村湖人氏の創作だから、この本における論語の理解は下村氏の理解する論語となる。しかし、論語のどの短文を取り上げたか、その根拠もいちいち示されており、それらの短文の内容が小説の中心テーマとなるから、論語自体を読んで理解する内容に近いことが実感としてわかる。

池田晶子ファンとしても、言葉に対する理解や生死を越えた精神性など、首肯できる内容も多い。