哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

『刑法入門』(岩波新書)

2008-10-16 23:46:10 | 時事
 刑法第一人者の学者が書いた新書版の入門書である。もうすぐ裁判員制度が実施されるということもあるのか、この類の万人向け刑法本の出版も多いようである。


 ところで、池田晶子さんが裁判員制度について書いたものはちょっと見当たらなかったが、もし池田さんが裁判員に選ばれたらどうなっていただろうか。意外と興味をもって参加したあげく、そこで行われる議論の不毛さにはがゆい思いでもしたかもしれない。あるいは、正・不正とは何かなどと議論をリードしたかも。


 さて、この本の内容は、いわゆる刑法総論と言われる分野で、違法性や責任論など、全ての犯罪に共通するテーマを扱っており、個別の犯罪の話はあまりない。新書版らしく極めて平易に書いてあるのが、かえってまどろっこしいかもしれないが、読み終えてみると、理解しやすさは抜群であり、結構お薦めである。ただ、これを読んだら裁判員に選ばれても大丈夫、とは思えないが。例えて言えば、刑法という建物の入り口に立ったくらいだろうか。


 著者には是非、『続・刑法入門』で刑法各論も平易な内容にして出してもらいたいものである。