哲学とワインと・・ 池田晶子ファンのブログ

文筆家池田晶子さんの連載もの等を中心に、興味あるテーマについて、まじめに書いていきたいと思います。

自殺のすすめ(週刊新潮今週号「人間自身」)

2006-07-29 19:55:25 | 哲学
 池田晶子さんの週刊新潮連載「人間自身」今週号は、「自殺のすすめ」という題でした。何だかますます過激な発言になってきています。大丈夫でしょうか。簡単に言えば、昨今の青少年犯罪の凶悪化について、あまりに「人間」の感じが欠落しているというものです。


「命の大事さがわからないというより、そもそもそれが命である、自分が命であるという認識がないのである。なぜそれが「殺す」というベクトルを持ち得るのか。
 世の中が嫌になった時、以前なら、だから自殺したであって、だから殺したではなかったはずである。自殺する感性は、その意味で内省を知っているから、まだ救いようがある。しかし自分が死ぬことについては吟味せず、他人を殺すことだけは自明であるというこの鈍感さが、たぶん昨今の変質である。
 子供にはとりあえず、これだけは教えておこう。人を殺したくなったら、自分が死ね。それが順序というものだと。」



 以前に「一度死ね」と書かれていた時は、自分が死ぬ=自分がないという事態を一度想像してみなさい、そうすれば生きることがどういうことか少しはわかる、と意味だったと思いますが、今回はまさに「自分が死ね」と言っています。そこまで救いようが無いというわけですね。

 ただ青少年に「殺す前に死ね」と教えてもねぇ。結局は青少年に一人で考えろ、というのは大抵の場合無理があるのでは?と思います。考えること自体は確かに一人でしかできないでしょうが、池田さんほどではないにせよ、身近に指南役の大人が必要ではないですか。それは、親でもあれば、学校の先生でもあれば、近所の誰かさんかも知れません。

 大人の指南役が青少年と共に考えるための道具が『14歳からの哲学』ですし、池田さんが各種媒体を通じて発する言葉でしょう。「自分だけ善ければよい」とばかり言わずに、引き続き頑張ってロゴス(真理の言葉)を発信していただきたいものです。