鈴鹿に滞在して三日目。カラッと晴れた。
サイエンズスクール研修所から、鈴鹿サーキットのコースの下をくぐって、約10分。
徳居町(とくすい)にある里山に出かける。
こうした里山におりさえすれば、しあわせという、物好きな男がずっと開墾してきた。
彼の名前は、高崎広。(右端)
写真は、6月23日”てっらこや”の子どもと、筍掘り。
韓国メンバーは、里山というコトバがはじめ、ピンとこないようだった。
林のなかに入ったら、トタンに童心に帰った。
里山のあとは、”静”でお茶会。片山弘子さんがお点前。
弘子さんは、一人ひとりに、ふさわしい茶碗を用意した。
イーナンゴクさんには、”青い苔”、若い人には”龍”といったように。
ドースンジャさんには、はじめ”黄昏(たそがれ)”という名の茶碗と紹介された
らしい。がっくりきた。あとで、よーく聞いてみると、じつは”曙(あけぼの)”だった。
「それ聞いて、明るい気持ちになったのよ」と子どものようにはしゃいでいた。
サイエンズ研究所メンバーとの懇談会があった。
熱がこもっていたようだ。
お昼ごはんは、コミュニテイー食堂江口宅。
うどんと山盛りの天ぷら。大満足。
江口夫妻が、どんなところで、自宅を地域の人たちに開放しているか。そんな気持ちを
聞かせてもらった。
午後は、鈴鹿ベルシテイーでショッピングや温泉。
イーナンゴクさんは、「一人になりたい」と研修所にもどる。
イースンヒョップくんは、若者たちから声がかかり、寄合いへ。
それぞれの過ごし方・・・
この夜も、食事のあと、懇談会があった。
三日目で、少し疲れ気味かなと心配していた。どうも、杞憂だったようだ。
一人ひとりのなかから湧いてくるように出てくる話を聞きながら、スンヒョップくんの
通訳を介しながらっだったけど、その人それぞれの人となりが伝わってくるような、
しみじみとした時間だった。
〇最近、こころに残ったこと
懇談会には、スンヒョップくんと同世代の谷藤俊幸くんも参加。
「どうだい、俊幸くん?」
「どうだいといっても、うーん」となかなかコトバにならない。
そのうち「最近、なんでかしんないけど、心配がなくなったというのがあるかなあ」
そこで、また口ごもる。
「どんなことがあって、心配がなくなったの?」とだれか。
また。「うーん」とうなっている。
やっと、口を開く。
「お金に執着がなくなったのがあるかな・・・。それと家族、周りの仲間や人たち
・・・・」
彼は、いま鈴鹿ファームで野菜づくりをしている。
要領を得ない。なにか伝わってくるものがないではない。
岸上典子さん「きょう、わたし、韓国の方と温泉に入ったんです。コトバも分からないし
いっしょに入れないかと聞いたとき、”できない”と出てきた。”なにがやりたい
の?”とじぶんに聞いて、じぶんの気持ちを見てみた。
コミュニテイーの暮らしでは、リンカのマイナスが20万にあるときがあった。
はじめ、うしろめたいうような気持ちがあったが、検討会などでしらべていく
うちに、このマイナスというのは、、周囲の人たちから愛情を受けてるんだと
感じるときがあった。
それから、そのじぶんにはなにが出来るか、なにがしたいか、楽しく考えられる
ようになった」
中野敏美さん「そうねえ、最近というのでは、周りから愛されているなあと・・・
大事にしてもらtっているなあと・・・誰から、というのではなく、なんといえば
いえばいいか、コミュニテイーよね。
家計のことで、じぶんも稼がなくては、というときがあった。いま、じぶんは
子どもが3人いて、それぞれゆったり見てやりたいとおもっている。
そのとき、なんとはなしに、じぶんの家計をオープンにして、誰かに
話をしてみたいとおもったの。
小野さんに聞いてもらった。聞き終えて、小野さんが”本当の気持ちは
子どもとゆったり向き合いたいということじゃないかな”と言った。
じぶんより、周りの人がじぶんのことを大事に見ていてくれている。
よくわからないけど、ふわっと包まれている感じ・・・・」
〇それぞれじぶんの今の気持ちに耳を澄ませて
ドスンジャさん「韓国映画「ウェルカム・トンマコリ」という映画のこと、おもいだして
いる。朝鮮戦争が舞台、アメリカの兵隊、北や南の兵隊、それぞれ戦って、
お互い憎しみ合っているけど、トンマコリの村に滞在すると、おたがい
溶け合って、仲よくなってしまう。
いまの3人の話を聞きながら、これから”たたかう”心配しなくていいの
かなあと・・・・
30年アメリカにいて、最近韓国に戻り、さびしい気持ちでいた。
(涙がこみあげてきているようだった)
韓国には、一昔前にあった、こういうコミュニテイーが無くなっている。
コミュニテイー食堂の江口さんのところで、気軽に上がって、食べて、
昼寝した。なんともいえない心地よさ・・・」
ペーキッチュイさん「きょう、ぼくは、温泉に入らなかった。子どものころ火傷して、
身体にケロイドがある。
敏美さんから、”それを解決しようというのではなく、それをオープン
にしたかった”というのを聞いて、ぼくも気持ちを出したなった。
温泉に行かなかったことで、なぜか重い気持ちがずっとある。
他人の視線がこわい、そういうもを避けたい、逃げたい。
そういう気持ちを言わないではおれなくなった・・」
ユーキマンさん「はじめて、そんな話聞いた! 温泉というスケジュールは、
キッチュルさんのこと、考えないで立てていた・・・」
イーナンゴクさん「じぶんの出来ていないことを越える、とかいうのではなく、
無理なくやれていくようなもの・・
きょうの午後、”一人になりたい”と研修所にいたが、眠れなかった。
散歩した。歩きながら、”安心できる社会”って、どんなものか、新しく
考えることができた。
温泉に行かないというじぶんの気持ちを周りが理解してくれている。
それでも、一人でいると、さびしいものが出てきた。これは、安心とは
違う。
目には見えない、地域の人ともこころ開いているコミュニテイー、これは
新しい実験だろう」
〇今夜は最後の懇談会、いろいろ出してみないかな・・
イースンヒョップくん「若い人たちといろいろ話してきた。なんか、ふるさとに帰って
きた感じ。”鈴鹿のコミュニテイーに入るには・・・?”って、、みんなに
聞いてみた。みんな、はっきり言えない。”サイエンズスクールに参加したら
入れるのか?” ”いや、違う” ”リンカの会員になったら、入れるのか?”
”違う” ” じゃあ、なんだ”、となったら、”入り方なんてないぞ”となって
しまった。
じゃあ、コミュニテイって、なんだ?となって、みんな分からない。
カベがないし、だいいちトビラもない、でも、そこに・・・」
イーナンゴクさん「新しいかたちがある・・・」
ジョンダヒさん「ありのままに生きていけるし、それができるというのがいいわ。
わたしも、そういう人になりたい!」
ウオンソンジェさん「スンジェさんが涙した、そういう姿にふれて感動している。
一人、海を見つめているような気持ち(?) 教育や社会の変革を
考えてきたが、今回それは見直す。人の変化、どんな人にじぶんが
なっていくか、なっていきたいか?
サイエンズ研究所の懇談のとき”あなたにとって、なにが一番大事
ですか”と問われて、ここを宿題にしていきたい」
ユーキーマンさん「イーナンゴク氏の論語の講義を受けたとき、とても楽しかった。
それから、人文学校に参加しつづけている。なにがいいのだろう?
昨年、韓国で開催されたマイライフセミナーのとき、スタッフの
小野みゆきさんが”わたしは、コミュニテイーに受け入れられている”
と言っていた。どういうことかな?とおもっていたが、じぶんが言った
こと、じぶんそのものをそのまま受け入れてもらっている、それが
あるからかと、気づいた」
〇おしまいに
イーナンゴク氏一行は、7月1日昼、名古屋セントレアから韓国に向けて、日本を
離れた、
韓国では、8月26日からマイライフセミナーの開催が予定されている。
また、サイエンズ研究所発行の「やさしい社会」と言う本と、「サイエンズについて」
という本が、近々、韓国語で出版される。
その出版社の方が、その出版物の内容に関心をもたれ、8月中旬にアズワン
コミュニテイに来訪されると聞いている。
つくづくおもったことがある。
論語の「有朋(とも)遠方より来る、亦た楽しからず乎」
これは、桑原武夫の解釈では「学友が遠いところからやってくる。そして談笑の
うちに真実をさぐる。なんと楽しいことではないか」というのである。
長々と、あるいみダラダラと書いてしまったけど、このような学友が日本に
かぎらず、世界各地に出来たらいいなあ。
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