かたつむり・つれづれ

アズワンコミュニテイ暮らし みやちまさゆき

新たな再会

2012-10-24 06:26:04 | アズワンコミュニテイ暮らし

 箕輪省吾・奈々子夫妻がブラジルから来日した。

 省吾はブラジル人。奈々子は日本から嫁に行った。

 もう、何年になるのだろう。

 

 省吾とは6年ぶり、奈々子とは3年ぶり?だいたいだけど。

 今回、再会してみて、新たな出会いを感じた。

 奈々子はずいぶん落ち着いていた。長いトンネルを抜けて

きたのかなあ。

 省吾は奈々子を丸ごと受けとめようとしている。

 奈々子は心から省吾をたよりにしている。

 えーっと、まぶしいくらい。ふーっ。

 

 そうそう、ぼくも住む世界がかわってしまった。

 

 ちょっくら、感傷に耽りたい気持ち。

 10年ぐらい前だったか、奈々子からなにか「わかってほしい」と

切羽詰まっている様子が伝わってきた。

 じぶんになにができるだろう。日本の反対側ブラジル・・・

 じつは、鬱屈していた、そのころのじぶん。

 

 茨木のり子の詩を読んでいた。

 じぶんが気に入った詩、何篇か書き写して奈々子に送ったことが

ある。

 

 「自分の感受性ぐらい」という詩は、亡くなった母上がいつも

奈々子に語っていたものだと返信があった。

 

  「自分の感受性ぐらい」

  ぱさぱさに乾いていゆく心を

  ひとのせいにはするな

  みずから水やりを怠っておいて

 

  気難しくなtってきたのを

  友人のせいにはするな

  しなやかさをうしなったのはどちらなのか

 

  苛立つのを

  近親のせいにするな

  なにもかも下手だったのはわたくし

 

  初心の消えかかるのを

  暮らしのせいにするな

  そもそもが  ひよわな志にすぎなかった

 

  駄目なことの一切を

  時代のせいにはするな

  わずかに光る尊厳の放棄

 

  自分の感受性くらい

  自分で守れ

  ばかものよ

 

 その後、奈々子から、送った詩のなかから、一遍、毛筆で

書写したものが送られてきた。

 詩の内容も、その字も、なにか心地よかった。

 以来、ずっと部屋に掲げてきた。飽きないのだった。

 

  「言いたくない言葉」

  心の底に 強い圧力をかけて

  蔵ってある言葉

  声に出せば

  文字に記せば

  たちまちに色褪せるだろう

 

  それによって

  私が立つところのもの

  それによって

  私が生かしめられているところの思念

 

  人に伝えようとすれば

  あまりにも平凡すぎて

  けっして伝わってはゆかないだろう

  その人の気圧のなかでしか

  生きられぬ言葉もある

 

  一本の蝋燭のように

  熾烈に燃えろ 燃えつきろ

  自分勝手に

  誰の眼にもふれずに

 

 今回の来日がそれぞれに、そして二人にとって、より豊かな

世界が開かれていけるよう、なけなしの気持ちで、ねがっている

かな。