妻のメモ書き

机の片隅に、家内の字で、紙片に書かれたメモ書き。そこには、こうあった


芳彦 ○○さま、△△さま、本日はお日柄も良く、まことにおめでとうございます。ふつつがらご両家のご結納を取り次がせていただきます。本来ならば私どもがご両家に持参するはずのものでございますが、略儀をもちましてこの場で、幾久しくご結納をお納め願いたく存じます

×子 ○○さまからのご結納の品でございます。幾久しくお納めください。
△△さまからのご結納の受書でございます。

芳彦 これで、ご両家のご婚約はかたくととのいました。本日は、まことにおめでとうございます。

「現代マナー辞典」、結納中の口上である。

家内は、今日の結納の仲人の大役を真摯に受け止めて必死である。かわいいと思う。

それに比べて、私は仲人の口上くらいはどうということはない、両家に礼を尽くし、お祝いの真心をもって臨めば、大丈夫だと知っているから、のんびりモードなのだ。

夕べ、住職室へ「マナー辞典」の結納のページにしおりを挟んでもってきて言った。

「あなた、ちゃんと、これ読んで頂戴よ。いろいろ、あなただって言わなくてはいけないことがあるよの」

がはははは。こういう時の生返事は危険だということは26年一緒にいるからよく分かる。

そこで、娘を呼んで、両家の代役にさせ、和室でリハーサルと相成った。

私は大意をつかんで、その場の雰囲気で口上を述べようと思うが、家内はそうはいかないらしい。
セリフを一言一句間違えないように、小学生の学芸会並の言い回しである。すごく、初々しくて良かった。

今日をかぎりに離婚届に印を押す夫婦もいるだろう。

そして、今日、晴れの日本伝統の婚約式を迎えるカップルもいる--そういう話である。
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コメント
 
 
 
我が家の場合 (プラケア)
2010-07-17 19:47:30
11月の3日が私たちの結婚記念日です。
25回目ともなると特に何をするわけではありませんが、私の好きなこの詩のようになりたいなと思っています。

『祝婚歌』
二人が睦まじくいるためには、愚かであるほうがいい。
立派すぎないほうがいい。
立派すぎることは長持ちしないことだと気づいている方がいい。
完璧をめざさないほうがいい。
完璧なんて不自然なことだと嘘ぶいているほうがいい。
二人のうちどちらかがふざけているほうがいい。
ずっこけているほうがいい。
互いに非難することがあっても、非難できる資格が自分にあったかどうかあとで疑わしくなる方がいい。
正しいことを言うときは少し控えめにするほうがいい。
正しいことを言うときは相手を傷つけやすいものだと気付いているほうがいい。
立派でありたいとか、正しくありたいとかいう無理な緊張には、色目を使わずゆったり、ゆたかに光りを浴びている方がいい。
健康で、風に吹かれながら生きていることの懐かしさに、ふと、胸が熱くなる。そんな日があってもいい。
そして、なぜ胸が熱くなるのか、黙っていても二人にはわかるものであってほしい。

吉野弘

この詩は吉野さんが嫁ぐ姪に贈ったそうです。
和尚さんのブログ見てたら思い出しました。
 
 
 
いいですね。 (和尚)
2010-07-18 22:34:42
プラケアさん>うんうん、そうそう。痛いほど納得です。わはは。
 
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