花山の思い8番札所(観音に振り袖)

 さて、このシリーズの発端になった、徳道(とくどう)上人がいらっしゃったお山、豊山(ぶざん)神楽院(かぐらいん)長谷寺は、現在では第八番の札所。

密蔵院の属する真言宗豊山派(ぶざんは)の総本山。
ご本尊は、今も昔も大きな大きな11面観世音菩薩。

あまりの大きさ(身の丈12メートル)のために、昔の人はこんな戯(ざ)れ歌を…

  長谷(はせ)の観音 振り袖着せて 奈良の大仏 婿(むこ)に取る

 あははは。天晴(あっぱ)れな歌でありますな。

 このお寺で花山法皇が詠んだご詠歌が

 幾度(いくたび)も 参る心は 初瀬寺(はつせでら) 山も誓いも 深き谷川

 この歌は、なんの資料も見ないで私が解説できますので、やってみましょう。

 なんどお参りしても、初めてお参りした時のような敬虔な思いがする初瀬寺(長谷寺をこう書くこともあります)であることだなぁ。
 このお寺の前を流れる初瀬川の渓谷も、観音さまの人々を救うという誓いも、深いことだなあ。ありてぇなぁ

 ……と江戸っ子言葉になったとは思えませんが、まあ意味はそういうこと。

 全国の名字の中に、長谷と書いて(はせ)と読む人あらば、この地がルーツですから、一度はお参りしたほうがいい。
ちょうど普段は入れない足元まで入ってお参りして、有り難い結縁(けちえん)のブレスレットのような「五色線(ごしきせん)」をお坊さんじきじきに手首につけてもらえます(1000円の燈明料が必要ですが、お灯明を代わりにあげてくれるのですから、ホント有り難いことであります)。

 さて、万葉の昔には隠口(こもりく)の初瀬(はつせ)と言われていた聖地を後にして、足を向けるのは奈良盆地。東大寺の横にある興福寺にある9番札所南円堂(なんえんどう)でありまする。
 西国霊場ホームページ⇒http://www.saikoku33.gr.jp/

  ☆    ☆    ☆    ☆

 お彼岸のお参りも一段落。普段の落ち着きをとりもどしつつある密蔵院であります。
 落ち着きをとりもどしたのをいいことに、今日は実家のお寺のご詠歌。
 お葬式や戒名の話に花が咲きまして、お金とお寺や坊さんを結びつけて考えたいという心理が働くのだな、とよくわかる話の流れでした。わははは。
 そういう流れは、子育てにも流用されて「お前を育てるのに、いったいいくらかかっていると思ってるんだ」などという--親子関係を、情ではなく、経済にしてしまう損得人間へとつながっていきます。同じ「ソントク」なら「尊徳」にしたいものですね。
 
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