永(なが)の暇(いとま)


 私が密蔵院に入った時からお世話になった、和室用の木製の照明器具。自宅で使っていたものを、新しい客殿ができた時に、もったいないから住職室で使っていました。29年もの間、よくがんばったと思います。ついに点灯しなくなりました。
「こんだけ、がんばりました。そろそろお暇(いとま)を頂戴します」--そんな声が聞こえる。
 この照明の下で、鍋を囲み、昼寝をし、テレビを見た。住職室に取り付けてからも、この明りの下で、どれほど法要の打ち合わせをしたり、塔婆を書き、写仏を描いたかわからない。点灯しないまま三日間。名残りを惜しんだので、今日近所の電気屋さんに電話した。
 まもなく新人の登場である。
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