風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

スペース・イシュー

2009-12-23 15:42:57 | 時事放談
 日米当局者は、普天間基地の移設先や時期を巡って迷走する日本政府の元凶としての、「宇宙人」の異名をとる鳩山さんの意味不明・理解不能な言動を「宇宙問題」と呼んでいるそうです。
 15日、鳩山さんは結論を先送りすることに決め、現地時間17日、COP15の晩餐会で隣に座ったクリントン長官に、現行計画に代わる新たな選択肢を検討する方針を説明し、結論を暫く待ってもらうよう要請し、基本的に理解してもらえたと記者団に語っていました。ところが昨日(現地時間21日)になって、駐米大使がクリントン長官に呼びつけられ、日米関係の現状についての米政府の見解、すなわち普天間基地はキャンプ・シュワブ沿岸部への移設という日米合意の早期履行を求めたと見られることから、またしても鳩山さんの独りよがりに終わったことが明らかになりました。
 普天間基地移設問題に関して、15日の前後で、NYタイムズやワシントン・ポストでどのように報じられていたか紹介します。
 結論先送り前の12月10日付のNYタイムズでは、信頼できるパートナー(Reliable Japan)が今や御しにくく(restive Japan)、対等な関係(“equal partnership”)すなわち言いなりにならない(less subservient)関係を口にするようになったのは、冷戦後の政治変動の中では正常なことだと、要所要所の言い回しには引っ掛かりますが、一定の理解を示しています。かつてのドイツのように、アメリカの庇護の下を離れようとする日本を取り巻く環境が、かつてのドイツと違うのは、核武装した北朝鮮という冷戦の遺物や軍拡を続ける中国の存在が目と鼻の先にある点であり、その意味でも日米同盟の重要性は変わらず、鳩山民主党の本質として折々に滲み出る「友愛世界」という絵に描いた餅の説教(the pie-in-the-sky “world of fraternity” musings of elements in Hatoyama’s party)に学んで苛立ちをぐっと堪えるのが良かろうと皮肉り、普天間問題には柔軟に対処する一方で、日米の戦略的な結束は堅持するのがよいと主張しました。翌日のワシントン・ポスト紙はもっと手厳しく、中国の躍進の陰で、日本経済は立ち往生し、人口は痩せ衰え、かつては軍事大国として、その後は経済大国としてアメリカを脅かした過去一世紀と比べると、今は見る影もないと貶しながら、それでも日本は世界における経済的なプレゼンスが依然重要なだけでなく非西欧圏における最大の民主主義モデル国としても重要だと指摘し、更に、自民党の敗北以来、日米関係は危機的状況にあるが、民主党が自己主張を始めたことよりも、日本が重要かどうかが曖昧になることの方がもっと懸念すべきことであり、日本経済が回復し自信を取り戻すためにも、日本は重要であるという風に遇すべきだと主張しました。
 ところが、結論先送りを知った12月15日付のNYタイムズは、鳩山首相が決定を先送りしたことで、米国との同盟関係に既に生じている緊張関係がさらに高まること、そしてインド洋での給油を継続しないことを引き合いに出しながら、今回の基地を巡る騒動で、オバマ政権にとって、やや左寄りの鳩山政権と同じ土俵に立つことが困難であること(difficulties in finding common ground with Mr. Hatoyama's slightly left-leaning Democratic Party government)を益々際立たせることになったと突き放しました。翌日のNYタイムズとワシントン・ポストは、サンフランシスコ・クロニクル紙の記者の記事を載せ、米国政府は鳩山新政権に対して辛抱強く対応するサインを送ってはいるものの、日本の対応が遅れていることに苛立ちを隠せず、忍耐にも限度があるという米国政府高官の声を引用し、警告しました。
 12月11日のNYタイムズが、オバマ大統領来日時のことに触れ、鳩山さんがTrust me!とアピールし、オバマさんがSure!と応えたのは事実だけれども、それぞれ何を意識していたのか、鳩山さんにとっては将来に向けた日米関係のことだったようですし、オバマさんにとっては基地移転合意の実行を明確に意図していたようですが、いずれにせよその意味するところが曖昧ですれ違いの可能性があることがお互いに不幸だと指摘していたのは、今の日米関係を象徴するようでもあり、印象的でした。
 沖縄の米軍基地問題ひいては日米同盟は、今の日本の国益に沿い、日米同盟を通した日米双方の利害であるにとどまらず、北東アジアの安全保障上も重要な存在であり、朝鮮半島有事の際に沖縄駐留米軍(海兵隊)の出動を期待する韓国でも注視されています。日本国首相としての関心の在り処がそこここにないとすれば、まさに宇宙的(ゆめゆめミクロな連立政権維持の政局を見ているだけとは言いません)と言えるかも知れません。
 上の写真はバリ島で見せられた絵です。インドネシア語なのでよく理解できませんが、人の身体が頭部・胴体・脚部の三つに分かれるように、家も、柱も、また庭の平面的なつくりも、頭部(最も大事な部分)・胴・脚(土台、床)の三つの構成からなる、宇宙にも繋がる全体性、調和を感じます。
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