風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

韓国製

2009-12-19 02:35:54 | 日々の生活
 今朝の日経新聞に、韓国企業の強さの秘密と題する特集記事が出ていました。必ずしも全体をまとめているものではありませんが、印象に残った箇所を引用します。
 韓国企業のキーワードは「ハミョンテンダ(なせばなる)」。立ち止まらず走りながら解を探す。・・・(中略)・・・韓国勢には、国内市場にライバルが少ないという強みがある。94年まで自動車産業への参入を事実上規制。金大中政権下では半導体産業などで政府主導のビッグディール(大型再編)に踏み切った。現代自動車グループの国内シェアは8割に迫り、寡占市場で稼いだ利益を海外につぎ込む。一方、日本は、自動車10社以上、高炉も5社が乱立。国内市場は体力消耗の舞台だ。
 かつて(10年くらい前?)、三星の会長が、「日本人は石橋を叩いて渡る、韓国人は歩きながら考える、中国人は走り出した後で、どちらに向かっていたのか考える」というようなことを言って、日本のビジネスのスピード感を批判したものでした。当時、日本メーカーは半導体世界一の座から陥落し、韓国にその地位を譲った頃で、この発言にはそうした自信が背景にあります。
 私もこれまでずっと、家電製品については日本メーカー製を愛用してきましたが、昨年、オーストラリア赴任時には、ついに三星製の32インチLCDテレビやLG製の洗濯機を購入しました。日本メーカーの価格プレミアムは私にはもはやJustifiableではないと思われたからです。これら韓国製家電は一年で手放したので何とも言えませんが、どうやら品質に大きな問題はなさそうです。しかし車は依然日本製でした。生産品質の積み重ねがまだ活きていると思ったからですが、マレーシア・ペナンでは、品質が劣るマレーシア国産車と、高品質の日本車との間にあって、価格・品質ともにそこそこ良いと言うべきか、そこそこ悪いと言うべき韓国車KIAが静かにシェアを伸ばしていますので、この分野でも、日本メーカーが新興国の追い上げを食うのはいずれ時間の問題でしょう。
 こうして、ここ10年以上、日本経済が不況に喘いでなかなか離陸出来ないでいるのは、韓国、さらには中国、そしてベトナムなど、人件費が安い新興国に生産拠点が移り、日本のエレクトロニクスを中心とした輸出産業が価格競争で太刀打ちできなくなるという真の意味でのグローバリゼーション環境にあるからです。確かにここ5年ほどは円安で輸出が上向きましたが、規模は多少拡大しても恐らく収益性は上がっていなくて、実際に私の身の回りでは、年収が過去5年間で増えておらず、その結果、消費が盛り上がらず、景気の足を引っ張ったり、更にはデフレを惹き起こしているわけです。これに年金問題等の将来生活への不安が輪をかけて、消費の足を更に引っ張ったのでした。
 これには、記事で触れられている通り、日本では依然、分野によっては競合会社が多いことも影響しています。例えば、かつて半導体業界や銀行業界にさえも再編劇が続き、今、携帯電話機業界でもプレイヤーが集約されつつあるように、日本のパソコン業界でもメーカー数が多過ぎるのでいずれ淘汰されるだろうと、随分前から証券アナリストに指摘され続けてきましたが、まだ動きはありません。先ほどの三星の会長の言葉にあったように、日本メーカーは、他社との提携や事業撤退に関して、思った以上に日本的なウェットな感情に引き摺られてか決断が遅いことが原因だと思います。太平洋戦争で、大方の予想を越えて日本人及び日本軍が武器弾薬が尽きても頑張り抜いたのは、日本人の美徳と考えて良い一方で、特攻にまで突き進むなど、被害を大きくした罪からは免れ得ません。同様に、資本の論理によって自然淘汰が進んである健全なレベルへと収斂する市場メカニズムが働かないとすれば、ガンバリズムは結構ですが、体力を消耗し続ける現実は、やはり社会に対する罪と呼ぶべきではないかと思います。
 上の写真はペナン大橋。これも韓国製です。
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