風来庵風流記

縁側で、ひなたぼっこでもしながら、あれこれ心に映るよしなしごとを、そこはかとなく書き綴ります。

真央ちゃん引退

2017-04-14 00:05:58 | スポーツ・芸能好き
 まるで隣近所か親戚の女の子のように親しげに「真央ちゃん」と呼ばれ、愛されたスポーツ選手は今だかつていなかったのではないだろうか。おっとりとした喋りに華奢な身体つきで真摯に技の高みに挑む姿は感動的で、さながら氷上の妖精のように人々を魅了し、キムヨナが技よりも演技力で勝ちを求めたのとは好対照をなして、2010年のバンクーバーでも、2014年のソチでも、オリンピックで勝てなかったときには、日本中の溜息を誘った。
 昨日、行われた記者会見は、NHKを含むテレビ各局で生中継された。NHKが途中で中断したらネットで批判が相次いだらしい。後からニュースをちらっと見ただけだったが、ペンダントやイヤリングや指輪などの貴金属類は一切身に着けず、白のジャケットに黒いスカート姿というシンプルないでたちに、あらためてこの子のこの飾りっ気のなさと素直さが、日本中の誰をもして「守ってあげたい」「何とかしてあげたい」と思わせたのだと、あらためて感じ入った。日経新聞ですら、スポーツ欄や社会欄で特集記事が連日続いた。
 中京大スポーツ科学部の湯浅景元教授によると、「骨盤の広い女性が3回転半を跳ぶのは、男性より2~3割大変。身長が1センチ伸びただけで感覚もずれる」ものらしい。2005年にグランプリ・ファイナルを初制覇した15歳当時、1メートル58だった身長は1メートル63になり、そんな成長期にぎりぎりの技に挑み続けるのは大変なことだったろうと、今さらながら思う。
 以前にも伊藤みどりや八木沼純子や荒川静香や安藤美姫といったヒロインがいたが、真央ちゃんのお陰で、真の意味でフィギュア・スケートが日本でメジャーになった。真央ちゃんに憧れてスケートを始める子供達が増え、スケート人口の裾野が広がって、有望な若手も登場し、今ではすっかり日本の得意種目になった。連盟はスポンサーやチケットの収入が劇的に増え、真央ちゃんがシニア・デビューした2005年度に約6400万円だった単年度黒字は、13年度には11億円超まで膨らんだという。
 一つの時代の終わりを感じさせる選手はなかなかいるものではなく、胸にこみあげるものがある。
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