プロ野球つながりで・・・大谷翔平の活躍は、漫画やドラマを超えて、もはや異次元か異星人のもので、賞賛を惜しまない者はなく、レジェンドと言われる元・大リーガーも例外ではない。彼が大リーグに挑戦したとき、これほどの活躍を誰が予想しただろう。驚くべきことだ。
日々、私たちに元気を与えてくれる彼の活躍だが、彼の世代はなかなか豪華だ。
数日前のNEWSポストセブンは、「大谷はこれまでにも数多のハードルを乗り越えてきた。その陰には、本人の努力はもちろん、切磋琢磨する『同級生アスリート』たちから得たヒントがあった」と言い、ラグビー日本代表の姫野和樹のほか、野球界では鈴木誠也、サッカーの浅野拓磨、南野拓実、水泳の萩野公介、瀬戸大也、バドミントンの桃田賢斗、奥原希望、スピードスケートの高木美帆、柔道のベイカー茉秋、バスケットボールの渡邉雄太を挙げている。「野球をしている時間以外はずっと寝ているような印象の強い大谷」だが、「そんな彼が顔を出す数少ない機会の1つが、『94年会』」(同)なのだそうだ。その「94年会」に大谷が参加を切望する「最後の大物」が、最近、結婚を発表した羽生結弦だという。なるほど綺羅星の如く・・・である。
そう言えば、チャリティー・ソング「時代遅れのRock’n’Roll Band」を引っ提げて、昨年末のNHK紅白歌合戦・特別企画に登場したのも同級生バンドだった。桑田佳祐が作詞・作曲し、メールのやりとりはあってもなかなか共演する機会がなかったという世良公則と久しぶりにプライベートで顔を合わせて、「同級生で協調して、今の時代に向けた発信をできないか?」という会話がきっかけで話が進み、80年代に共演歴があった佐野元春やChar、かねて桑田佳祐がリスペクトしていた野口五郎が、「今あえて時代遅れなやり方で、我々の世代が『音楽という名の協調』を楽しむ姿を発信し、その中で『次世代へのエール』や『平和のメッセージ』を届けたい」という思いに賛同し、結成が決まったという(2022年12月18日付、日刊スポーツ「桑田佳祐ら“最強の同級生”バンドが紅白に出場 特別企画で『時代遅れの-』テレビ初歌唱」)。こちらもなかなか豪華な顔ぶれだ(1955~56年生まれで、ほかに郷ひろみ、大友康平などがいる)。
かつて「中三トリオ」と呼ばれた山口百恵、桜田淳子、森昌子の年代(1958~59年)には、岩崎宏美、久保田早紀、岡田奈々などがいる。天地真理の年代(1951~52年)には阿川泰子、藤圭子、今陽子(ピンキー)などがいるし、南沙織、太田裕美、竹内まりや、丸山圭子、庄野真代の年代(1954~55年)もなかなか興味深い。
だいたい1950年代生まれは、その前の全共闘世代(あるいは1947~50年に生まれた団塊の世代)が革命の夢に破れたあと、音楽によって自己表現・自己実現することが流行り、その中で物心ついた世代だ(例えば坂本龍一は1952年生まれだった)。とりわけ歌謡界は上手くても下手でも盛り上がった時代で、インフレ気味と言えなくもない。そこから随分下って大谷翔平の世代は、戦後の日本が一応の達成を遂げる過程で、(そのために日本の高度成長が終わらせられたとでも言うべき)欧米スタンダードに合わせることが要請された時代に、野茂英雄が大リーグに挑戦したのを皮切りにスポーツで世界に飛翔することを当たり前に目指した世代と言えるのかも知れない。
「同級生」には独特の響きがある。先日、久しぶりに集った学生時代の友人の中には、入社した会社の社長に昇りつめた者もいれば、子会社の社長という定番におさまって悠々自適の者や、転職して第二ステージで活躍する者もあり、さまざまだが、いざ話を始めれば、あっという間に30年以上の時を超えて、学生時代の当時に舞い戻る。実際に交わっていた時間は長くてもせいぜい4年程度なのに、多感な時代を過ごした重みなのか、かつて同じようなテレビ番組や映画を見て、音楽を聴いて育ち、その後、歩んだ道は違っても、バブル景気やその後の失われたと言われて久しい時代の空気を同じように吸って、肌感覚が合うのだろう。日経・交遊抄に呼ばれることはないだろうけれども(笑)