ブルーシャムロック

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西方残務録_1

2009-03-22 18:12:11 | 菊の名前異聞
「今日も忙しかったな。」
そう、言いながら最寄り駅から自宅までの道を進んでいた。
以前済んでいた山がちの町より平坦な場所が多くて
此處は快適だ。
女房とは共働きである。
そんなことはどうでもいい。
それよりも自分たちの生活やお金を守るための手段だから。
電話がかかってきた。
「フォックストロット君、今日も遅くなるから、御飯を作っておいてね。」
女房の声である。
肯定だ。と言うべきなのだろう。
稼ぎは女房の方がいいのだ。
帰り際、電車の中吊り広告で見たけれども、女房と俺が知り合った演劇サークルで
一緒で、あっという間に作家デビューした細倉路美が、これまでの作風
を覆し、最近歴史・時代小説を何本も執筆しているのだ。
その最新作、「菊の名前」である。南北朝時代が舞台らしいのだ。
南北朝時代というところと、題名が彼女が愛読していたウンベルト・エーコの
作風を彷彿とさせる。あの小説というか映画の舞台はほぼ日本の南北朝時代
だったような気がする。
西洋の舞台を日本に移し替えたような。
程なくして、自分の家に着いた。
シャワーをすませ、程なくして炊事を始めた。
女房はどのくらいで、歸ってくるのかな。
Radioをつけていたので、その音が聞こえる。
いつも聴いている音楽番組が終わり、著名人の会談番組が始まった。
「細倉さん、最新作の"菊の名前"ですが、内容は鎌倉末期から南北朝時代の
寺で起こる、殺人事件がモチーフなのですね。」
Radioのインタビュアーが細倉女史に質問していた。
「そうですね。そのなかで、あの古典でも知られる太平記などに
登場する著名人が絡む作品なのです。」
やはりなぁ。
つづく
コメント
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