車は葉山の方を走行中だった。
「慥かあれが、新しくできた博物館だったな。」
助手席から暢気なことを彰に言う。
「博物館?美術館の間違いじゃないの?」
彰はそう訂正する。
「そうだったな。私はそういうものには矯味がないから・・。」
車窓に相模灘を望む。
「夏だったら泳げるよね。佳奈ちゃん。」
彰がそういう。
「ああ。」
私は、海の近くを通ると不思議と、町の方がいいなと考えるときがあって
しらけた目で、海を眺めていた。
「そんなに、故郷のシマ嫌いなんだ。私は秋田が好きだよ。」
彼女の癖である猫口に成っていた。
「彰、その口になると、皮肉を言っている信号だ。」
意地悪く彰に、言った。
「佳奈ちゃん・・・。」
彰の顏はむっとした顏になった。
「佳奈ちゃんは嫌いなものが多そうだね。納豆は食べられるようになった?」
表情を変えた、彰が質問を切り出した。
「そんなに嫌いじゃないよ。ビックリしたのは關東では納豆の種類が多いな。」
私は即物的に質問した。
「食べ物の、好き嫌いはないんだ。私は動物であれば蛇が嫌いなんだ。」
いつも強がっていて男の子のような彰がそう言った。
「蛇だと。私のシマじゃしょっちゅうハブがでるぞ。」
私はBlackな笑みをたたえた。
「うわっ。それじゃあ・・・。」
彰の問いに対して、
「死んじまうかもしれねぇな。でも、私はこうして生きて、關東の道路を走っているんだよ。」
彰は、
「そんな簡単に遭遇することばっかりじゃないよね。」
彰はそう苦笑した。
「今度、私の実家にあんたを案内したい。」
私は、にやにや笑っていた。
「でも、山が深い・・。」
彰はそう言った。
「言われてみればそうだな。私自身カーナビや地図で調べていっているから・・。」
と助手席から、山側の風景をのぞいた。
地名を顕す表示板が横須賀市に表示が変わっていた。
続