ブルーシャムロック

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出来杉英才暗殺計画_05

2010-03-01 05:23:30 | 逆襲の藤隆
「亡命してきたんですか。たしかに貴殿の言葉遣いも道行く人と違うなと
思っていました。」
私は窓の外をみてまた久米さんをみた。
「おう。何も今の時代は關東だけが日本じゃないからだ。」
久米さんは安心したような顏をした。
「そういう人間がゲリラ的に出版していれば、關東の出版界に皮肉が言えるかも。」
私は苦笑した。
「出来杉という人はつくづく、甘チャンだねぇ。暗殺されるとは思っては井内だからな。
もし、暗殺されるような敵を沢山作っている人間は用心深くなる物だ。
彼の暗殺の首謀者は、発作的に彼を暗殺したなと俺っちは思っているよ。」
久米さんの言葉に私は一瞬凍り付いた。
「でも、何のために文章を持ってきたのか・・・。」
私はいたたまれない氣持ちになっていた。
「まあ、あんたの話題も話題だ。あんたの証言をみれば、それこそ出来杉英才暗殺計画
が立体的に見えてくる。」
と、言って、久米さんは電話をかけ始めた。
「誰に電話ですか?」
私は久米さんに聞く。
「俺が念頃にしている富山県の印刷業者だ。今夜印刷に回す。」
久米さんは受話器を置いた跡、そう告げた。
「解りました。私の本が無事出版されることに安堵感があります。」
私はそう言った。これまで福岡に住んでいたときも本は沢山出版してきたのだから。
かくして、私の書物「出来杉英才暗殺計画」は世に出ることになった。
おわり
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