ブルーシャムロック

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合併Style

2013-03-22 17:51:22 | 信・どんど晴れ
「タクミ電機、中国のライシェと提携。」
この話題に、女将は渋い顔でモニターに張り付いていた。
松本佳奈は、そんな女将に話しかけようにもかけらないものを感じていた。
「タクミ電機って液晶の技術とmp3プレーヤーで有名な会社ですよね。でもなんで
ライシェと提携なんでしょうか。」
松本佳奈は、分かり切った質問をした。実にバカな質問である。
「そうね。ライシェも、タクミの技術でもって高品質なものを開発できると思ったからじゃない
かしら。」
女将は表情を変えなかった。
「先日、ライシェが部品を作った携帯が爆発したと、上海でのことが伝えられたのを
知っています。」
佳奈は些か知ったかぶりをした。
こういうNEWSは、関東に居た頃は、ルームメートがtvやPersonal Computerのモニターに
渋い顔をして情報を見ていたということだけしか思いつかなかった。
「うん。そういう事故を報告した人もライシェにはいたから、それもあってか
日本のタクミと提携を考えた。一つの推理ね」
女将は表情を変えていなかった。
うーんそうかのか。やはり佳奈には其れが分からない。
「ただ、私のようにばかに生きている人間にとって、こうやって合併とか提携とか
政治のせいにしたりする人間ってめんどくさいんですよね。」
佳奈は率直に意見を言った。
「そうかも」
女将は意地悪く笑った。
テレビはなおも続けた。
「今回の提携において、可成りタクミも火の車だったんじゃ無かったんじゃないでしょうか?」
テレビ番組に出席していたパネラーが、違うコメンテーター格のパネラーに尋ねる。
「そうですね。あまり込み入ったことは分からないけれども、おそらくそういう感じでは」
コメンテーター格はそういう風に回答をする。
佳奈は、おぼろげながら關東での思い出を考えていた。
Roommateの一人である高槻久留実がこういう事を言っていたなあ・・・。
「現在飛ぶ鳥を落とす韓國や中國の家電メーカーはかつて日本に技術指導を仰ぐ一方で
日本のハツ何とかなんかの廉価版のテレビやラジオのoemをやっていたっけ。」
と言っていた。
当時部屋にあったmade in taiwanとかかれたぼろいRadioをみて、
「このRadio受信機も、1960/80年代ぐらいに日本が技術指導する一方で
見返りに現在日本を脅かしているメーカーがoemで作っていたんだろうな」
と少し遠い目をしていた久留実の顔がフラッシュバックする。
「技術提携も妥当だ、」
佳奈はいう。
女将は黙って頷いた。
「でも、私みたいな、ahoで良いんですか。経済の提携のことなんて全く分からないしね。
他の仲居は未だに私が貴殿の副官か後継者になることを反対して居るみたいで。」
佳奈は思いきって言う。
女将は
「そうだねぇ。世の中には大儀のためにはならぬことはならぬ。という考えもある
あなたは、堅苦しいかもしれないけれどもならぬことはならぬと私が言ったことだけを
守っていればいい。」
と女将が嵌っている映画シリーズの言葉を引用して佳奈をたしなめた。
誰のための大儀なのか、女将なのか、自分自身なのか、このときの佳奈にはまだ
分からなかった。
おわり
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