保健福祉の現場から

感じるままに

療養病床から施設への移行

2015年12月25日 | Weblog
ミクスオンライン「介護療養病床など転換先の新類型を提示 住まいに医療併設の“医療外付型”も」(https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/53560/Default.aspx)。<以下引用>
<厚生労働省は12月25日、療養病床の在り方等に関する検討会に、介護療養病床、医療療養病床(25対1)の転換先として、長期療養を行う医療提供施設、住まいの機能を強化し居住スペースに病院・診療所を併設する“医療外付型”の新たな施設類型を提案した。介護療養病床や医療療養病床は、2017年度末で廃止されることが決まっている中で、新施設類型が認められれば、転換先として、医療療養病床(20対1)や介護老人保健施設、有料老人ホームなどの既存の類型に加え、新たな選択肢ができることになる。療養病床をめぐっては、独居老人や認知症患者などで長期療養がやむをえない患者が入院しており、転院先を見つけるのが難しいことも指摘されている。一方で、在宅療養がすべての受け皿となることも難しく、これら病床の転換先となる新たな施設類型の設置が求められていた。新施設類型は、▽長期療養を行う医療提供施設である“医療内包型”▽医療を外から提供する、住まいと医療機関の併設類型――。医療内包型は、医療必要度、介護必要度に応じて2つのモデルを提示した。医療必要度が高く、容体が急変するリスクがある患者については、特別養護老人ホームと同程度の介護機能に加え、喀痰吸引や経管栄養を中心とした日常的・継続的な医学管理を求めた。医療提供体制も、24時間の看取り、ターミナルケアに加え、医師の当直体制・オンコール体制を求める。一方で、比較的容体が安定した患者については、医師の当直体制を求めず、オンコール体制による看取り・ターミナルケアを行うこととした。医療外付型は、併設する病院・診療所からのオンコール体制による看取り・ターミナルケアを求める。検討会は、年明けにも議論をまとめる予定。社会保障審議会医療保険部会、介護保険部会での審議を経て、2017年度通常国会に医療法など関連法の改正案を提出する見通しだ。>

朝日新聞「医療と介護の療養病床14万床再編へ 厚労省」(http://www.asahi.com/articles/ASHDT24YLHDTUBQU002.html)。<以下引用>
<厚生労働省は、高齢者らが医療機関で長期入院するベッドの「療養病床」のうち、5割強の14・3万床を療養病床から転換させる案をまとめた。治療の必要性が少ない「社会的入院」が問題化している療養病床を減らす狙い。25日に開かれる療養病床のあり方を議論する有識者検討会に、転換後の施設案を示す。療養病床は介護保険が適用される介護型(6・3万床)と医療保険が適用される医療型(20・8万床)がある。医療型はさらに、患者25人に看護師1人を配置する「25対1」(8万床)と患者20人に看護師1人の「20対1」(12・8万床)の2種類に分かれる。厚労省案では、比較的治療が必要な患者が多い「20対1」を存続させる。一方、2017年度末に廃止する方針が決まっている介護型と「25対1」の計14・3万床は転換を求める。病床はそのままでも介護老人保健施設や有料老人ホームの扱いとしたり、医療サービスを受け続けられる新施設型にしたりすることに加え、より治療が必要な「20対1」に移す案を示す。>

キャリアブレイン「新たな選択肢」のたたき台案で大筋合意-療養病床の在り方検討会」(http://www.cabrain.net/management/article/47734.html)。<以下一部引用>
<厚生労働省の「療養病床の在り方等に関する検討会」(座長=遠藤久夫・学習院大教授)は25日、6回目の会合を開いた。厚労省は、これまでの議論を踏まえ、介護療養型医療施設(介護療養病床)や「療養病棟入院基本料2」を算定する医療療養病床の転換先となりうる「新たな選択肢」のたたき台案を提示した。「医療を内包した施設類型」(医療内包型)と「医療を外から提供する『住まい』と医療機関の併設類型」(医療外付型)のそれぞれについて、おおよその患者像や医療・介護に関する機能が示されている。この日の議論の後、遠藤座長は、たたき台案は大筋で合意が得られたと判断。今後、厚労省は、委員からの指摘などを踏まえ、たたき台案に低所得の利用者への対応を盛り込むなどの修正を加え、年明けの同検討会に改めて示す。その後、同検討会の取りまとめに基づき、社会保障審議会医療部会や介護保険部会で、療養病床の「新たな選択肢」に関する具体的な議論が開始される見通しだ。>

「療養病床の在り方等に関する検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=282014)の資料「療養病床・慢性期医療の在り方の検討に向けて~サービスを提供する施設の新たな選択肢について(たたき台案)~」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000108169.pdf)をみておきたい。経済財政諮問会議(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/)(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2015/1224/agenda.html)の「経済・財政再生アクション・プログラム ―“見える化”と“ワイズ・スペンディング”による「工夫の改革」―」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2015/1224/shiryo_01-1.pdf)p8「療養病床の効率的なサービス提供体制への転換について関係審議会等において検討し、2016年末までに結論を得て、その結果に基づいて必要な措置を講ずる(法改正を要するものに係る2017年通常国会への法案提出を含む)。」とあり、具体的な法案や関連事業が注目である。「病床はそのままでも介護老人保健施設や有料老人ホームの扱い」とあることから、厚労省通知「病院又は診療所と介護老人保健施設等との併設等について」(http://www.hospital.or.jp/pdf/15_20070730_01.pdf)は一部修正されるかもしれない。そうなれば、キャリアブレイン「公立病院が病床の一部をサ高住に転換- 北海道・奈井江町、来年11月めど」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/47534.html)のような事例は増えてくるであろう。中医協総会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo.html?tid=128154)の「 入院医療(その5)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12404000-Hokenkyoku-Iryouka/0000102535.pdf)p23~「慢性期入院医療について」の行方も気になるところである。2025年の都道府県別医療需要推計(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/shakaihoshoukaikaku/chousakai_dai5/siryou1.pdf)(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/shakaihoshoukaikaku/chousakai_dai5/siryou2-1.pdf)p8~11では「将来、介護施設や高齢者住宅を含めた在宅医療等で追加的に対応する患者数(2025)(千人)」が出ていたが、在宅医療「等」であって、居宅がすべてではない。地域医療構想策定ガイドライン(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000080284.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000088511.pdf)p15、p21の図6「慢性期機能及び在宅医療等の医療需要のイメージ図」には「在宅医療等とは、居宅、特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、介護老人保健施設、その他医療を受ける者が療養生活を営むことができる場所であって、現在の病院・診療所以外の場所において提供される医療を指し、現在の療養病床以外でも対応可能な患者の受け皿となることも想定。」とある。在宅医療等の「等」を意図的に無視してはならない。しかし、気になるのは、介護保険財政への影響である。「介護療養病床⇒介護老人保健施設」は介護保険枠内の移行であるが、「医療療養⇒介護老人保健施設」は医療保険から介護保険への切り替えとなる。無論、医療保険と介護保険の合計給付額は下がるであろうが、介護保険財政への影響は小さくないであろう。厚労省「第6期計画期間・平成37年度等における介護保険の第1号保険料及びサービス見込み量等について」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000083954.html)(http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12303500-Roukenkyoku-Kaigohokenkeikakuka/shuukei.pdf)では、今年度からの65歳以上の介護保険料は平均で月額4972円→5514円と大幅にアップし、平成37年には月額8165円が推計されているが、新たな介護施設への移行は、さらに介護保険料アップにつながる。また、療養病床の転換は、看護師需給にも影響が出てくるであろう。看護職員需給見通しに関する検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=231904)の「看護職員需給見通しの今後の進め方について(案)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000107368_11.pdf)p2「看護職員の需給見通しについては、新たに開催する「医療従事者の需給に関する検討会」の「看護職員需給分科会」において、地域医療構想における2025年の医療需要等を踏まえて今後検討する。これに伴い、平成28、29年の2ヵ年の看護職員需給見通しは策定せず、「看護職員需給見通しに関する検討会」は、「看護職員需給分科会」へ検討事項を引き継いで終了する。」とあり、「「医療従事者の需給に関する検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=315093)の看護職員需給分科会も注目である。
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