保健福祉の現場から

感じるままに

過剰診療

2016年05月27日 | Weblog
キャリアブレイン「Choosing Wiselyは医療肯定- 持続可能な医療のために(1)」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/48680.html)では、総合診療指導医の勉強会「ジェネラリスト教育コンソーシアム」が作成した「日本版の過剰診療リスト」には、「無症状の健康な人にPET検診は勧めない」「無症状の健康な人に腫瘍マーカー検査は勧めない」「無症状の健康な人に脳MRI検査は勧めない」「自然に治る非特異的腹痛に腹部CT検査は勧めない」「医学的適応のない尿路カテーテル留置は勧めない」とある。また、日本を含めた17カ国の専門家による国際会議で採択された10の提言は、①風邪に抗菌薬治療はやめよう、②自然に治る腰痛にMRI検査はやめよう、③低リスク患者に術前検査はやめよう、④進行認知症に胃ろう手術はやめよう、⑤医学的適応のない尿路カテーテル留置はやめよう、⑥低リスク患者に冠動脈CT検査はやめよう、⑦エビデンスのないがん検診はやめよう、⑧低リスク患者に毎年の骨密度測定はやめよう、⑨高齢者に鎮静薬や抗精神病薬の長期処方はやめよう、⑩自然に治る頭痛に脳MRI検査はやめよう、である。おそらく、これらが現場で徹底されれば、それなりの医療費適正化につながるのは間違いないであろう。この中で、「風邪に抗菌薬治療はやめよう」は、国際的に脅威となる感染症対策関係閣僚会議(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokusai_kansen/index.html)の「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokusai_kansen/pdf/yakuzai_gaiyou.pdf)(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kokusai_kansen/pdf/yakuzai_honbun.pdf)で、ヒトの抗微生物剤の使用量(人口千人あたりの一日抗菌薬使用量)の2020年(対2013年比)は、全体で33%減、経口セファロスポリン、フルオロキノロン、マクロライド系薬で50%減、静注抗菌薬で20%減の成果指標が設定されており、行政施策として打ち出しやすいかもしれない。
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トモダチ作戦での放射能健康被害の疫学調査が不可欠

2016年05月27日 | Weblog
朝日新聞「小泉元首相、トモダチ作戦の元米軍兵を支援する基金検討」(http://www.asahi.com/articles/ASJ5V5WS0J5VUTFK00N.html)。<以下引用>
<小泉純一郎元首相は26日、東京都内で講演し、東日本大震災の「トモダチ作戦」時に福島第一原発沖で被曝(ひばく)したとして、健康被害を訴える元米軍兵らを支援する基金創設を検討していると述べた。今月中旬の訪米時に元兵士らと面会し、記者会見で「見過ごせない。何ができるか考える」と涙ながらに訴えていた。小泉氏は講演で「元兵士は、こんな体になっても日本が好きだと言った。それを思いだし泣いてしまった」と吐露。「お見舞いのつもりで会ったが、実情を聞き、それだけではすまないなと思った」と基金を構想した経緯を語った。講演後、小泉氏は記者団に、帰国後に日本の外務省幹部と話したものの、「政府として何かすることはできない」と言われたとも明かした。オバマ米大統領の広島訪問については「核廃絶は良いことだが、原発ゼロのほうがやさしいよ。日米が手を組んで原発ゼロをやったら世界が変わる」と注文を付けた。>

朝日新聞「「病に苦しむ人たちに支援を」小泉氏、会見の主な発言」(http://www.asahi.com/articles/ASJ5L5FQFJ5LPTIL02F.html)、朝日新聞「小泉氏が涙 トモダチ作戦の健康被害「見過ごせない」」(http://www.asahi.com/articles/ASJ5K354LJ5KPTIL00B.html)、朝日新聞「トモダチ作戦、称賛の陰で 元空母乗組員ら健康被害訴え」(http://www.asahi.com/articles/ASH9W4TZ7H9WPTIL008.html)と報道されているが、現在進行形である「トモダチ作戦の放射能健康被害」に関する詳細な疫学調査は、わが国の被ばく対策としても不可欠と感じる。それすらできないようであれば、わが国の被ばく医療対策は全くお粗末といわざるを得ないであろう。わが国の高名な疫学者や被ばく医療の専門家の方々は果たしてどういう見解であろうか。東京新聞「福島第一 水素爆発前 テルル漏出」(http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2011060502100004.html)に出ていたように、周辺地域ではかなり早い段階から放射能汚染が起きていたようである。NHK「放射性テルルと銀の拡散状況判明」(http://www3.nhk.or.jp/news/genpatsu-fukushima/20111101/0820_terurutogin.html)の報道もあったが、これまでセシウム137とヨウ素131に関する報道がほとんどであったように感じるのは気のせいであろうか。
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がん知識の普及啓発と保健事業改革

2016年05月27日 | Weblog
国会がん患者と家族の会(http://www.cancer-reg.sakura.ne.jp/index.html)がん対策基本法改正案(http://www.cancer-reg.sakura.ne.jp/revision/pdf/160422_2.pdf)で第23条「国及び地方公共団体は、国民が、がんに関する知識及びがん患者に関する理解を深めることができるよう、がんに関する教育の推進のために必要な施策を講ずるものとする」があることについて、行政関係者は保健センターや保健所による普及啓発事業等が浮かぶかもしれないが、もっと広く捉えたいものである。例えば、様々な学会、病院、医療関係団体では、市民公開講座やシンポジウム等を積極的に行い、専門医のほか、コメディカルや患者団体なども参画することが少なくない。行政としての実績が必要であれば、共催や後援等を活用してもよいであろう。行政側の強みとして、健康づくりボランティアをはじめ、住民に広く参加を呼びかけてもよい。「学会、病院、医療関係団体の事業には製薬企業等が協賛するのでダメ」という話を聞くことがあるが、朝日新聞「医師への謝礼公開 製薬企業に義務づけ 厚労省方針」(http://www.asahi.com/articles/DA3S12284402.html)とあったように、経理の透明性が高くなっていることを踏まえたい。この際、ルールを確立した上で、行政の保健事業に民間活力を積極的に活用すべきと感じる。行政は、平素から、学会、病院、医療関係団体との意思疎通をもっと図る必要があるかもしれない。これもソーシャル・キャピタルの一環であろう。
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