保健福祉の現場から

感じるままに

職域がん検診の質をしっかり考える必要がある

2016年05月12日 | Weblog
NHK「働く世代のがん検診 部位によって受診率に差」(http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160512/k10010518221000.html?utm_int=news_contents_news-genre-culture_001)。<以下引用>
<働く世代のがん検診の受診率は、最も高い肺がんでおよそ70%に上った一方で、子宮頸がんや乳がんは30%余りにとどまることが分かり、厚生労働省は検診を受けやすい環境を整備し受診率の向上を目指すことになりました。12日は、厚生労働省の検討会が開かれ、全国およそ1200の企業の健康保険組合から回答を得たがん検診に関する調査結果が公表されました。それによりますと、法律で市町村に実施するよう定められている5つのがんの検診については、80%以上の組合が職場の検診で導入していました。このうち、受診率が最も高かったのは肺がんで72%、次いで、大腸がんが61%、胃がんが57%と半数を超えていたのに対し、子宮頸がんでは32%、乳がんは35%と女性のがんの検診率が低くなっていました。また、検診でがんの疑いがあるとして精密検査を受けるよう指摘された人のうち、実際に受けたのは胃がんや肺がん、大腸がんでは40%余りにとどまっていました。がんは、日本人の死因で最も多く働く世代では毎年26万人がかかると推計されていますが、職場の検診については自主的な取り組みに任されているのが現状です。厚生労働省は、企業に勤務時間の配慮を求めるなど、検診を受けやすい環境を整備し受診率の向上を目指すとしています。>

キャリアブレイン「厚労省検討会、職域がん検診指針策定へ-科学的根拠に基づかない検診の扱い焦点」(http://www.cabrain.net/management/article/48728.html)。<以下一部引用>
<厚生労働省の「がん検診のあり方に関する検討会」(座長=大内憲明・東北大大学院医学系研究科外科病態学講座腫瘍外科学分野教授)は12日に会合を開き、職域でのがん検診の指針の策定に着手する方針を決めた。職域のがん検診については、厚労省の指針に基づかない検診を実施している保険者も少なくないため、指針以外の検診の扱いが焦点になりそうだ。>

「がん検診のあり方に関する検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kenkou.html?tid=128563)の資料「がん検診に関する実施状況等調査集計結果」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000124103.pdf)p1「がん検診受診者数を把握 していない」59.0%、p3「がん検診要精検者数を把握していない」96.0%、p4「精密検査の受診勧奨を行っていない」57.4%、p5「乳がん検診を行っていない」17.9%、「子宮頸がん検診を行っていない」16.9%などとあるが、この調査対象は「健康保険組合」で、基本的に大企業であることを認識すべきである。果たして中小企業ではどういう状況であろうか。がん対策基本法改正案(http://www.cancer-reg.sakura.ne.jp/revision/pdf/160422_2.pdf)第14条2項、3項のがん検診の質の向上の規定新設が注目される。昨年12月のがん対策加速化プラン(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000112903.pdf)p5「職域においても、検診受診率のみならず、精密検査受診率等に関する目標値を設定する。」とあった。「保険者による健診・保健指導等に関する検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=129197)の資料「保険者インセンティブの検討状況」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000121285.pdf)p2「保険者の予防・健康づくり等の共通指標」には、「【指標②】特定健診・特定保健指導に加えて他の健診の実施や健診結果等に基づく受診勧奨等の取組の実施状況;具体例) がん検診や歯科健診などの健(検)診の実施、健診結果等に基づく受診勧奨や精密検査の必要な者に対する働きかけ、歯科のリスク保有者への保健指導等の取組の実施状況」があることは認識したい。
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食鳥肉リスク

2016年05月12日 | Weblog
FBS福岡放送「『肉フェス2016FUKUOKA春』における食中毒の疑いのある事案の発生、および相談窓口開設のお知らせ」(http://www.fbs.co.jp/nikufes/)が出ているが、イベントでの「ハーブチキンささみ寿司」についてどうなのか、と感じる方が少ないないであろう。そういえば、食品衛生分科会食中毒部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-yakuji.html?tid=127886)では「食鳥肉におけるカンピロバクター汚染のリスク管理に関する研究」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000116568.pdf)、「食鳥肉における微生物汚染低減策の有効性実証事業について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000116570.pdf)が出ていた。食肉等の生食に関する調査会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-yakuji.html?tid=171431)は平成26年6月のとりまとめ(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/0000051628.html)以降、開催されていないが、やはり最大の注目は食鳥肉であろう。生食に係る食肉等の種別ごとの対応方針(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/houkokugaiyo.pdf)では鶏肉は公衆衛生上リスク「中」とされるが、平成27年食中毒発生状況(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000116566.pdf)p29「主な病因物質別にみた事件数の推移」ではカンピロバクターはノロウイルスと同様、他に比べてダントツに多いことは認識したい。
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病院-ケアマネ連携と保健所

2016年05月12日 | Weblog
経済財政諮問会議(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/)の「経済・財政再生計画改革工程表」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2016/0511/sankou_01-2.pdf)p32社会保障別紙3「医療と介護の連携の推進ケアマネジャー等が退院前から医療従事者等と連携しつつ高齢者の様々な生活上の課題を把握し、退院後に必要なサービスを利用できるようにすること等、病院からの退院時等における多職種連携による要介護者等の支援の体制を構築する」が目にとまった。医療介護連携に関する介護報酬には、入院時情報連携加算(http://www.pref.niigata.lg.jp/HTML_Article/242/447/02-11-14nyuuinnjijyouhourennkei.pdf)、退院退所加算(http://www.pref.niigata.lg.jp/HTML_Article/345/867/02-15-21taiinntaisho.pdf)、地域連携診療計画情報提供加算(http://rehatora.net/%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E9%80%A3%E6%90%BA%E8%A8%BA%E7%99%82%E8%A8%88%E7%94%BB%E6%83%85%E5%A0%B1%E6%8F%90%E4%BE%9B%E5%8A%A0%E7%AE%97%E3%81%AE%E7%AE%97%E5%AE%9A%E8%A6%81%E4%BB%B6%EF%BC%88%E8%80%81%E5%81%A5/)等があり、一方、診療報酬では、「平成28年度診療報酬改定」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000106421.html)説明会(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000112857.html)医科資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000115977.pdf)p42~45「退院支援加算」「地域連携診療計画加算」「介護支援連携指導料」等がある。医療法に基づく病床機能報告制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)は一般病床、療養病床を有する医療機関について、退院調整加算、地域連携診療計画管理料、介護支援連携指導料の算定件数が出ており、みておきたい。また、国立保健医療科学院の「地域医療構想策定研修(都道府県職員研修)」(https://www.niph.go.jp/entrance/h27/course/short/short_iryo02.html)・「地域医療構想策定研修(専門家連携編)」(https://www.niph.go.jp/entrance/h27/course/short/short_iryo03.html)で各都道府県職員等に対して実践研修が行われた医療計画作成支援データブックでは、地域ごとの分析評価ができる。「医療計画作成支援データブックの中の「電子データブック」では、医療計画において記載することになっている5疾病5事業及び在宅医療に係るおよそ400の指標を見ることができる。」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000115645.pdf)はもはや常識としたい。さて、平成27年度からの第6期介護保険事業計画(http://www.mhlw.go.jp/topics/2015/02/dl/tp0219-06-01p.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000076407.pdf)における地域支援事業の目玉として、「在宅医療・介護連携推進事業」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000102540.pdf)があり、(ア)地域の医療・介護の資源の把握、(イ)在宅医療・介護連携の課題の抽出と対応策の検討、(ウ)切れ目のない在宅医療と介護の提供体制の構築推進、(エ)医療・介護関係者の情報共有の支援、(オ)在宅医療・介護関係者に関する相談支援、(カ)医療・介護関係者の研修、(キ)地域住民への普及啓発、(ク)在宅医療・介護連携に関する関係市区町村の連携の8事業が行われているが、在宅医療・介護連携推進に係る全国担当者会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-rouken.html?tid=190816)の「平成27年度在宅医療・介護連携推進事業実施状況調査結果(速報値)(都道府県別の状況)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/0000102541.pdf)では自治体間の取組格差が非常に大きい。入院・退院は市町村完結とは限らない(特に拠点的な病院がない市町村)ため、「(ク)在宅医療・介護連携に関する関係市区町村の連携」は単独市町村では厳しいように感じる。 在宅医療は医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)の柱の一つであり、在宅医療に係る医療体制構築に係る指針(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/tsuuchi_iryou_taisei1.pdf)では、①退院支援、②日常の療養生活の支援(訪問診療・往診、訪問看護、訪問歯科診療、訪問薬剤管理指導)、③急変時の対応、④在宅での看取りの提供体制が図られている。とにかく、地域において、介護保険事業計画、障害福祉計画、医療計画等が一体的に推進される必要がある。介護保険部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126734)の「在宅医療・介護の連携等の推進」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000112916_1.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000112923_1.pdf)では、都道府県(保健所)と市町村との連携・協働が課題になっているが、圏域連携会議(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000066602.pdf)の「保健所は、地域医師会等と連携して当会議を主催し、医療機関相互または医療機関と介護サービス事業所との調整を行うなど、積極的な役割を果たすものとされている。」を重視したい。在宅医療・介護連携に保健所が関与する主な理由は、①市町村で完結しない広域的医療介護連携システム、②医療計画・地域医療構想との連動、③精神・難病・薬事等との連携である。在宅医療・介護連携推進に係る全国担当者会議(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-rouken.html?tid=190816)の資料「都道府県医療介護連携調整実証事業」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12301000-Roukenkyoku-Soumuka/jitu.pdf)では、二次医療圏単位で、保健所と市町村が連携・協働し、病院とケアマネの連携で退院支援のルールづくりがなされてきたが、広域的に医療介護連携を進める取組の一つといえるであろう。なお、医科資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000115977.pdf)p43「退院支援加算1」の要件である「20以上の連携保険医療機関等」の「等」には、居宅サービス事業者、地域密着型サービス事業者、居宅介護支援事業者、施設サービス事業者等が示されている。介護事業所を含めての20以上の機関との年3回以上との面会について、「診療報酬の算定方法の一部改正に伴う実施上の留意事項について(通知)」(http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=335811&name=file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000114867.pdf)A246 退院支援加算「退院支援加算1については、当該病棟又は退院支援部門の退院支援職員が、他の保険医療機関や介護サービス事業所等を訪れるなどしてこれらの職員と面会し、転院・退院体制に関する情報の共有等を行う。」、「基本診療料の施設基準等及びその届出に関する手続きの取扱いについて(通知)」(http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=335825&name=file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000114881.pdf)p53「面会には、個別の退院調整に係る面会等を含めて差し支えない」とあるが、介護サービス事業所は様々な医療機関とつながっており、それぞれの病院が要件を満たすために、個別面会等を行っていては、地域において混乱するように感じる。事務連絡「疑義解釈資料の送付について(その2)」(http://www.mhlw.go.jp/file.jsp?id=352020&name=file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000122794.pdf)問8「退院支援加算1の施設基準において、当該医療機関の退院支援・地域連携担当者と、20以上の連携保険医療機関等の職員が年3回以上面会することとされているが、他の20以上の連携保険医療機関等の職員と、会合や研修等で一同に会すれば、当該要件を満たすこととなるか。」は「(答)それぞれの連携保険医療機関等の職員と、直接に対面して業務上の意思疎通を行うことが必要であり、会合や研修で一同に会することでは、当該要件を満たすことにならない。なお、退院支援において数か所連携保険医療機関等と退院調整の打ち合わせを行う等の場合には、全ての連携保険医療機関等の職員と相互に十分な意思疎通を図ることができれば、それぞれの連携保険医療機関等の職員と面会したものと扱うことができる。」とされたが、医療機関が協働でグループワーク等による「数か所連携保険医療機関等と退院調整の打ち合わせを行う」ような対応が必要と感じる。そういえば、「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=216011)の「地域医療構想の実現に向けた取組についての留意事項(案)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000111451.pdf)p4「保健所を始めとする公衆衛生を担う人材には、これまで以上に地域の調整を行う役割を拡大していく事が望まれる。」とあった。医療機関協働の取り組みには保健所の支援も期待されるように感じる。
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フレイル対策と保険者インセンティブ

2016年05月12日 | Weblog
経済財政諮問会議(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/)の「経済・財政再生計画改革工程表」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2016/0511/sankou_01-2.pdf)p34社会保障別紙5「高齢者のフレイル対策;健康寿命の延伸、社会参加の促進等の観点から、高齢者のフレイル対策を更に推進する。このため、各広域連合が実施するフレイル対策等の保健事業のためのガイドラインを2016・2017年度中に作成し周知する。また、先駆的・効果的な好事例を、全広域連合に周知するとともに、高齢者の保健事業の在り方を検討するなかで事業の効果検証を実施し、フレイル対策等の保健事業の全国展開を図る。」とある。保険者による健診・保健指導等に関する検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=129197)の資料「保険者インセンティブの検討状況」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000121285.pdf)p8に示すように、後期高齢者医療における保険者インセンティブとして、「特別調整交付金への反映」は今年度からで、固有指標には「指標② 高齢者の特性(フレイルなど)を踏まえた保健事業の実施状況」「指標⑤ 後期高齢者医療の視点からの地域包括ケア推進の取組」があることは認識したい。「全国高齢者医療主管課(部)長及び国民健康保険主管課(部)長並びに後期高齢者医療広域連合事務局長会議」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-hoken.html?tid=252919)の高齢者医療課説明資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000113628.pdf)p17「平成28年度から、後期高齢者医療広域連合において、市町村の地域包括支援センター、保健センター等を拠点として栄養指導等の高齢者の特性に応じた保健事業を実施することを推進。」、p21「高齢者の虚弱(「フレイル」)に対する総合対策[平成28(2016)年度、栄養指導等のモデル事業を実施。食の支援等、順次拡大]」、p23「平成28年度から、栄養、口腔、服薬などの面から、高齢者の特性にあった効果的な保健事業として、専門職による支援をモデル実施。心身機能の包括的なアセスメント手法、効果的な支援方法を検討。※効果検証を行い、平成30年度からの本格実施を目指す。」とあったが、今年度からフレイル対策を積極的に取り組みたいものである。しかし、フレイル対策は、後期高齢者医療に係る保健事業だけではない。経済財政諮問会議(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/)(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2016/index.html#tab0404)の厚労相「経済・財政再生計画に沿った社会保障改革の推進」(http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2016/0404/shiryo_05.pdf)p4「保険者機能の強化~介護予防の横展開~」の検討事項の例に「要介護度、介護費等の分析と課題抽出」「具体的な数値目標の設定・達成度の評価」「市町村の取組へのインセンティブ付け等」とあり、社会保障審議会介護保険部会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=126734)の「保険者等による地域分析と対応」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000122353.pdf)p5「経済財政運営と改革の基本方針2015(平成27年6月30日閣議決定)において、「要介護認定率や一人当たり介護給付費の地域差について、高齢化の程度、介護予防活動の状況、サービスの利用動向や事業所の状況等を含めて分析し、保険者である市町村による給付費の適正化に向けた取組を一層促す観点から、制度的な対応も含めた検討を行う。」とされ、p6「保険者において、要介護認定率や一人当たり給付費等の地域差をはじめとした給付実態等の効果的な分析、課題抽出、活用の促進に向けて、地域包括ケア「見える化」システムを効果的に活用するためにはどのような改善や仕組みが必要か。」とあった。3年毎に全国の市町村が実施している「日常生活圏域ニーズ調査」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/osirase/hokenjigyou/06/dl/s1-1.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/osirase/hokenjigyou/06/dl/s1-2.pdf)をみれば、フレイル対策ニーズが高いことがわかるであろう。また、健康増進計画(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/kenkounippon21_01.pdf)では、「高齢者の健康」に関する目標値として、「介護保険サービス利用者の増加の抑制」「認知機能低下ハイリスク高齢者の把握率の向上」「高齢者の社会参加の促進(就業又は何らかの地域活動をしている高齢者の割合の増加)」等も掲げられており、介護予防・フレイル対策は健康増進計画の推進の一環でもある。国民健康・栄養調査企画解析検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-kenkou.html?tid=128610)の「国民健康・栄養調査の重点テーマについて(案)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000113289.pdf)では、平成29年度の重点テーマは「高齢者の健康・生活習慣に関する実態把握」であり、「食事、身体活動、睡眠、身体状況(筋肉量等)、咀嚼・嚥下に関する実態把握」がポイントとされる。介護保険部局では「地域づくりによる介護予防推進支援事業」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/yobou/3_gaiyo.html)(http://www.mri.co.jp/project_related/roujinhoken/uploadfiles/h26/h26_07_tebiki.pdf)や「介護予防・日常生活支援総合事業」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000074126.html)等が実施されているが、介護予防・フレイル対策は、健康増進部局、国保担当部局、生涯教育担当部局なども含めて組織横断的な取り組みが不可欠と感じる。そういえば、一億総活躍国民会議(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/ichiokusoukatsuyaku/)(http://www.kantei.go.jp/jp/headline/ichiokusoukatsuyaku/)の厚労相資料「子育て・介護の環境整備(保育・介護人材の確保)」(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ichiokusoukatsuyaku/dai7/siryou14.pdf) p10「「タテワリ」から「まるごと」へ⇒対象者ごとに整備されている福祉サービスの一体的な提供の推進。」とあったが、介護予防・フレイル対策といった狭い領域においても「タテワリ」から「まるごと」への転換が不可欠であろう。行政組織内での「譲り合い」「縄張り」ではいけない。後期高齢者医療のインセンティブ、国保のインセンティブ、介護保険のインセンティブの具体的な設定指標が注目される。
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認知症臨時検査と認知症予防

2016年05月12日 | Weblog
東京新聞「運転者への認知症対策で臨時検査 逆走など18の違反が対象」(http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016051201000907.html)。<以下引用>
<高齢運転者への認知機能検査を強化した改正道交法の成立を受け、警察庁は12日、75歳以上が違反すれば原則、臨時検査の対象となる18項目を盛り込んだ道交法施行令などの改正案をまとめた。13日から6月11日まで一般から意見を募集する。改正道交法は2017年3月12日の施行予定。18項目は、逆走などの「通行区分違反」や「信号無視」「通行禁止違反」といった、認知機能が低下すると犯しやすいとされる違反。改正案はさらに、臨時検査の結果が前回より悪化すれば原則、実車指導など計2時間の臨時高齢者講習を義務付け、手数料は5650円と定めた。>

3年毎に各市町村で実施されている「日常生活圏域ニーズ調査」(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/osirase/hokenjigyou/06/dl/s1-1.pdf)(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/osirase/hokenjigyou/06/dl/s1-2.pdf)の結果をみれば認知リスクのある高齢者の割合がかなり大きいことがわかるであろう。道路交通法改正(http://www.jtsa.or.jp/new/koutsuhou-kaisei.html)で認知症対策が強化されているが、昨年6月、「高齢ドライバー免許更新時、「認知症の恐れ」があれば受診義務化へ【道交法改正】」(https://info.ninchisho.net/archives/4559)と出ていたように、新たな改正道交法では、「免許更新時に「認知症の恐れ」と判定された場合に医師の診断を義務づけ、正式な診断が出れば、免許停止か取り消しとなる」ことは認識したい。この際、認知症の簡単チェック(http://fishbowlindex.net/matsudon/sZEbVLn3F7X5TWM6jLzFvQ/menu.pl)を普及させなければならないであろう。朝日新聞「糖尿病と認知症の悪循環を断て」(http://www.asahi.com/articles/SDI201511110830.html?apital)、「認知症患者の脳に糖尿病の特徴が」(http://www.asahi.com/articles/SDI201512074453.html?iref=com_apitop)も出ていたように、生活習慣病予防は認知症予防につながることを認識したい。健康増進計画(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/kenkounippon21_01.pdf)では、「高齢者の健康」に関する目標値として、「介護保険サービス利用者の増加の抑制」「認知機能低下ハイリスク高齢者の把握率の向上」「高齢者の社会参加の促進(就業又は何らかの地域活動をしている高齢者の割合の増加)」等も掲げられており、介護予防は健康増進計画の推進の一環でもある。エストコーポレーション「自宅で出来る物忘れ対策「脳レク」をリニューアル 寂しさ感じるシニアに交流の機会と手軽さをご提供」(http://est-corporation.jp/press/3875/)もあるように、認知症予防は行政サービスだけではない。とにかく、厚生労働省「行方のわからない認知症高齢者等をお探しの方へ」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000052978.html)以前が重要であろう。
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新専門医制度の行方

2016年05月12日 | Weblog
M3「医師の“適正配置”の一歩か、新専門医制 厚労省と機構、3-5年目医師を診療科別、地域別に調査」(https://www.m3.com/news/iryoishin/423531)。<以下引用>
<専門医制度における各基本診療領域の学会を対象とした「卒後3年目から5年目までの常勤医師の在籍状況調査」がこの5月に行われている。内科、外科などの基本診療領域別、専門研修を行う施設別に、卒後3年目から5年目の常勤医師数の報告を求める内容だ。しかし、本調査に対しては、現場の医療者からは、作業負担を問題視したり、専門医の研修定員を都道府県単位で設定する意味を疑問視する声が挙がっている。厚生労働省の社会保障審議会医療部会「専門医養成の在り方に関する専門委員会」で、2017年度開始予定の新専門医制度について、地域医療への影響を軽減するため、「当面、過去3年間の採用実績の1.1倍から1.2倍を全国の定数枠とした上で、都道府県別の定数を、都市部以外の道県に対して、より配慮して決める」という、同専門委員会委員長による“永井私案”が提出された。今回の調査は、その基礎データとするのが目的だ。5月2日付で発送、締め切りは5月16日。「厚労省と日本専門医機構が協力して、各診療領域研修委員会・学会に依頼して実施している」(同機構理事長の池田康夫氏)。調査結果の提出先は、厚労省。新専門医制度については、19の基本診療領域別に専門研修プログラムが4月までに出そろい、現在、審査中だ。今回の調査は、専門研修プログラムの基幹施設および連携施設のほか、それ以外で現在専門医の養成を行っている医療機関が対象。学会を通じて、これらの施設において、基本診療領域に該当する診療科に5月1日時点で在籍している、卒後3年目から5年目の常勤医師数を調査する。独自採用医師と、他の施設からの派遣医師を分けて回答する形式になっている。今後の「専門医養成の在り方に関する専門委員会」などにおいて、施設別ではなく、都道府県別の集計データとして提出される予定だ。専門医数、都道府県単位の設定は妥当か もっとも、本調査に対して、学会関係者や現場の医療者からは、戸惑いの声も聞かれる。そもそも調査期間は、ゴールデンウイークを挟んで、約2週間と短い。また専攻医数ではなく、基本診療領域に該当する診療科の常勤医師数であるため、各学会は基幹施設等に調査をしなければいけない。「ただでさえ、現場は疲弊しているのに、回答をしなければならず、ペーパーワークが増える。そもそも厚労省や機構が学会に対して調査を行う法的根拠はなく、“お願い”ベースでの調査にすぎない」と問う意見もある。さらに調査対象が「卒後3年目から5年目」に限定されるため、(1)卒後2年間の臨床研修を終え、すぐに専門医研修に入るとは限らない、(2)新専門医制度では、3年間の研修による専門医取得が原則だが、現状では4年以上かけて取得する医師もいる――という意見のほか、(3)専門医の養成は、初期研修とは異なり、都道府県で完結するわけではなく、地域を超えた専門研修プログラムもある、(4)年間100人に満たない専門医しか誕生しない診療領域で、都道府県別の定員上限設定は難しい――などの理由から、「調査結果はあくまで目安にすぎない」「都道府県という単位で定員を設定すると、かえって混乱が起きるのでは」との指摘も出ている。新専門医制度は、プロフェッショナルオートノミーを基盤とした、「専門医の質の担保」が目的のはず。しかし、地域医療への影響を懸念する声が出てきた結果、「医師の適正配置」という規制色が強まりつつある。なお、日本専門医機構は、5月9日に第11回理事会などを開催している。同機構のガバナンスの問題も指摘される中、「役員候補者選考委員会」のメンバーや開催時期が注目されるが、現時点では未定だ。>

専門医養成の在り方に関する専門委員会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho.html?tid=339077)の「専門医の養成開始に向けたプロセス(案)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000118580.pdf)では、都道府県が協議会を設置し、都道府県内の偏在の有無について、検証・調整することになっているが、「専門研修プログラムの認定に向けた各都道府県における調整等(4月22日現在)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/201604274.pdf)、「日本医師会都道府県専門医調査結果」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/201604275.pdf)をみれば低調な感じがする。新専門医制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000078482.html)に関して、今年1月に資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000111914.pdf)p41通知「専門研修プログラムの認定に向けた各都道府県の役割について」で都道府県に取り組みが要請され、再度、3月末に厚労省通知「専門研修プログラムの認定に向けた各都道府県における調整等について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/2016042714.pdf)が出ている。「臨床研修医の採用実績(都道府県別)」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/3_1.pdf)が出ているが、都道府県内における各専門医数も評価すべきと感じる。さて、専門医の状況評価については、「医師・歯科医師・薬剤師調査」(http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/33-20.html)や「病院報告」(http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/80-1.html)のあり方を考えられないものであろうか。また、医療法に基づく医療機能情報提供制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)の「一定の情報」(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/10/dl/s1031-6a.pdf)には、各専門医数があり、全国レベルでデータベース化し、医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)の指標の一つとして評価してもよいかもしれない。まずは「地域医療対策協議会」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000065970.pdf)や厚労省資料(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000111914.pdf)p36「地域医療支援センター運営事業」で示す法定化されている各都道府県の地域医療支援センター(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/chiiki_iryou/index.html)を活性化すべきであろう。「医療従事者の需給に関する検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=315093)、「医師需給分科会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=318654)の動向も注目される。
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産科医確保戦略

2016年05月12日 | Weblog
北海道新聞「お産の安心 医師増やす道筋が大切」(http://dd.hokkaido-np.co.jp/news/opinion/editorial/2-0059078.html)。<以下引用>
<地方を中心に、必要な医師を確保できずに休診や閉院する産婦人科が増えている。広い北海道でも、お産ができる医療機関は2014年段階で95カ所しかない。それまでの10年間で23カ所も減った。道は、インターネットを通じて離れた場所から診察する遠隔医療システムの整備、医療機関同士の妊産婦の電子カルテ共有化―などの緊急対策をまとめた。当面は、こうした対策を積み重ねていくことになるだろう。しかし、地方の取り組みだけでは限界がある。少子化対策は政府の重点施策だ。お産の安心を取り戻すため、医師の確保に明確な道筋をつける手だてを求めたい。産婦人科に医師が集まりにくくなった背景として、勤務の過酷さと、医療事故による訴訟リスクへの不安が指摘される。現場では、医師不足が過重労働を招き、事故が懸念される悪循環に陥っているのが実情だ。06年に常勤1人体制の医師が逮捕された福島県立大野病院の妊婦死亡事故を機に、この傾向が強まったと言われる。それを断ち切るには、何よりも産科医の絶対数を増やさなければならない。まず大切なのは、産科医を目指す学生を増やすことだ。一定期間、地域医療に従事することを求める地域枠入試を行う大学医学部が増えている。ここに「産科医枠」を設けることなども検討してよいのでないか。政府は、産科医志望者を増やし、現場を離れた産科医を呼び戻す誘導策に知恵を絞ってほしい。日本産科婦人科学会は昨年、都道府県や地域の基幹病院に、10~20人の産科医を集めるなどの緊急対策を提言した。現在、20~30代の産科医の6割を占める女性医師は、自身の出産や育児を機に現場を離れるケースも少なくない。他の医師がカバーがしやすい集約化を進めることに、一定の効果はあろう。助産師の存在にも着目したい。現在、お産の99%は医療機関で行われており、助産院は減っている。一方で、医療機関内で助産師が対応する助産師外来と院内助産所が徐々に増えてきた。医師との連携に加え、難しいお産は医師、正常なお産は助産師と役割分担を明確にして、医師の負担を減らす利点は大きい。国などはこうした医療機関を増やすことにも目を配ってほしい。>

毎日新聞「都留市立病院 18年度中に分娩再開へ 産科医確保にめど /山梨」(http://mainichi.jp/articles/20160511/ddl/k19/040/231000c)。<以下引用>
<県は10日、2008年4月から都留市立病院で中止していた分娩(ぶんべん)の取り扱いを18年度中に再開すると発表した。産科医を確保する見通しが立ったため。後藤斎知事が同日の記者会見で明らかにした。県によると、同病院では休止直前の07年には年343件の出産を取り扱っていた。しかし、産科医不足から受け入れを休止。都留、大月、上野原市を含む富士・東部地域では、出産が可能な病院が山梨赤十字病院と富士吉田市立病院のみとなっていた。県では、山梨大医学部の学生を対象に、08年度から産科医を目指す研修医への奨励金を設けたほか、県の寄付講座を通じて確保につとめてきた。今年度までに同大で約20人が産科医を選択したことから、県と山梨大、都留市は一つの医療機関で分娩に最低限必要な医師3人を都留市立病院へ派遣できる見通しがたったとして、18年度中の再開を決めた。会見で後藤知事は、「分娩のできる医療機関の偏在状況や、都留市の出産件数が周辺他市に比べ多いことなどから都留市立病院での再開を決めた。今後も県全体でどの地域が次に最も必要かを考えていく」と話した。>

厚労省資料「産婦人科医師の動向と確保について」(http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000101499.pdf)p11都道府県別の「10年後の分娩施設医師数増減の試算」が出ているが、都道府県内でも地域格差が大きいように感じる。この際、産科医の確保には地域枠医師や自治医大卒医師の戦略的活用が図られてもよいのではないか、と感じる。これまでの地域枠医師や自治医大卒医師の進路先(診療科、医療機関)の情報公開があってもよいかもしれない。さて、医療計画(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html)では周産期医療も柱の一つであり、周産期医療の体制構築に係る指針(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/tsuuchi_iryou_taisei1.pdf)では、①正常分娩等に対し安全な医療を提供するための周産期医療関連施設間の連携、②周産期の救急対応が24 時間可能な体制、③新生児医療の提供が可能な体制、④NICU に入室している新生児の療養・療育支援が可能な体制の方向が示されている。医療法に基づく病床機能報告(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)に関して、地域医療構想策定ガイドライン(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000088510.pdf)p50~「公表しなければならない項目」には、助産師数、分娩件数、院内の出生、ハイリスク分娩管理加算、ハイリスク妊産婦共同管理料Ⅱがある。また、医療法に基づく医療機能情報提供制度(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/teikyouseido/index.html)の「一定の情報」(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/10/dl/s1031-6a.pdf)には、標榜科目、人員配置(医師、助産師、看護師等)、産婦人科専門医数、施設設備(NICU、MFICU、新生児搬送車等)、対応可能な措置・疾患(正常分娩件数、選択帝王切開術件数、緊急帝王切開術件数、卵管鏡下卵管形成術件数等)、周産期母子医療センターの有無(地域、総合)があり、毎年更新される医療機関ごとのデータを把握しておきたい。「産科標榜医療機関」といってもピンキリで、分娩取り扱いの有無、周産期母子医療センターの有無等で、人員配置、施設設備、実績件数が大きく異なる。厚労省通知別表(http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/dl/tsuuchi_iryou_taisei2.pdf)別表9「周産期医療の医療体制構築に係る現状把握のための指標」は、国立保健医療科学院の「地域医療構想策定研修(都道府県職員研修)」(https://www.niph.go.jp/entrance/h27/course/short/short_iryo02.html)・「地域医療構想策定研修(専門家連携編)」(https://www.niph.go.jp/entrance/h27/course/short/short_iryo03.html)で各都道府県職員等に対して実践研修が行われた「医療計画作成支援データブック」に大半が出ている。また、「医療計画作成支援データブック」では、NICU、MFICU、GCU、帝王切開術、妊産婦の救急医療体制(妊産婦緊急搬送入院加算)、妊娠合併症に対する医療体制(ハイリスク妊娠管理加算)、ハイリスク分娩に対する医療体制(ハイリスク妊産婦共同管理料、ハイリスク分娩管理加算)のSCR(年齢調整標準化レセプト出現率)や自己完結率(カバー率)が出ており(都道府県、二次医療圏、市町村)、みておきたい。地域医療構想(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000080284.html)と並行して進められている「公立病院改革」(http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/c-zaisei/hospital/hospital.html)(http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zaisei06_02000103.html)について、少子化対策として、各公立病院での「産科」希望が少なくないかもしれないが、晩婚化・出産高齢化の中で、それぞれの地域において、自治体の枠を超えてでも「ある程度リスクの高い出産に対応できる医療体制」を確保することこそが最低限必要と感じる。今回の報道では「一つの医療機関で分娩に最低限必要な医師3人」とあるが、助産師の確保も欠かせない。「日本産科婦人科学会医療改革委員会 産婦人科医療改革グランドデザイン2015」(http://www.jsog.or.jp/news/pdf/gl2015_20150620.pdf)で提唱される「地域基幹分娩取扱病院重点化プロジェクト」による施設データベースが期待される。周産期医療体制のあり方に関する検討会(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=292852)の資料にも目を通しておきたい。平成29年度に第7次医療計画が策定されることになっているが、「医療計画の見直し等に関する検討会」(http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/other-isei.html?tid=127276)はどうなっているであろうか。第7次医療計画では、周産期医療体制は重点テーマの一つと認識すべきであろう。
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在宅医療の評価は実績評価の時代

2016年05月12日 | Weblog
M3「「自宅看取り」ゼロ47% 岡山県内の在宅療養支援診療所」(https://www.m3.com/news/general/423325)。<以下引用>
<岡山県内の在宅医療を24時間体制で支える「在宅療養支援診療所(在支診)」のうち半数近くが、2015年6月までの1年間に患者の「自宅看取(みと)り」を1回も行っていなかったことが分かった。容体急変などに伴う「緊急往診」も約3割の施設が未実施だった。国が「病院から在宅へ」をキーワードに在宅医療を推し進める中、担い手として期待される在支診が十分機能していない実態を浮き彫りにしている。山陽新聞社が行った中国四国厚生局(広島市)への情報公開請求による開示文書で判明した。在支診は在宅医療に取り組む診療所を増やすため06年度に創設されたが、看取りをはじめとした緊急時は従来通り、病院への救急搬送などに委ねられている可能性がある。専門家からは在宅医の負担解消など早急なサポートを求める声が上がっている。開示文書によると、厚生局に報告のあった県内の在支診324施設のうち、14年7月~15年6月の1年間で患者方などでの「自宅看取り」が1回もなかったのは152施設(47%)、「緊急往診」がゼロだったのが100施設(31%)。常勤医の数でみると、両項目とも実施していなかった施設の多くは1人だった半面、10人以上を自宅で看取った施設(10カ所)は平均3・1人と複数で対応していた。毎年10人以上の自宅看取りを行う在支診医師は「認知症専門などを除いて自宅看取り、緊急往診とも年間ゼロは考えにくく、敬遠しているのではないか」と指摘。一方、自宅看取りと緊急往診が1回もなかった在支診医師は「地域に医療機関が少なく『自分がやらねば』という気持ちはあるが、1人で外来診察をしながらの看取り、往診には限界がある」と打ち明ける。医療制度に詳しい東京大高齢社会総合研究機構の辻哲夫特任教授は「24時間365日、自宅への訪問診療から看取りまでをフォローするのが在支診の本来の役割だが、全国的にも機能していないケースが少なくない。市町村や郡市の医師会が中心となり、在宅医を支える仕組みづくりが急務だ」としている。>

内閣府資料(http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/2013/wg4/kenko/151224/item2-2-1.pdf)p7、p11~12「介護老人福祉施設の看取り介護加算」、p15「在宅療養支援診療所・病院」、p16「在宅ターミナルケア加算・看取り加算」、資料(http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/kaigi/meeting/2013/wg4/kenko/151224/item2-2-2.pdf)p19「都道府県別の自宅死の割合」が出ているが、国・都道府県の数字だけではなく、それぞれの地域ではどういう状況なのか、把握しておく必要がある。3年ごとに全国の保健所が実施している「医療施設静態調査」(http://www.mhlw.go.jp/toukei/chousahyo/index.html#00450021)の一般診療所票(http://www.mhlw.go.jp/toukei/chousahyo/dl/iryoushisetu/H26_seitai_ippan.pdf)、病院票(http://www.mhlw.go.jp/toukei/chousahyo/dl/iryoushisetu/H26_seitai_byouin.pdf)、歯科診療所票(http://www.mhlw.go.jp/toukei/chousahyo/dl/iryoushisetu/H26_seitai_shika.pdf)をみれば、医療保険・介護保険での在宅医療の取り組み状況と実績の詳細が把握できる。在宅医療は、在宅療養支援診療所以外の診療所や病院からの提供が少なくないことがわかるであろう。「平成28年度診療報酬改定」(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000106421.html)説明会(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000112857.html)の医科資料(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12400000-Hokenkyoku/0000115977.pdf)p48~「在宅医療における重症度・居住場所に応じた評価」、p52「在宅医療を専門に行う医療機関の開設、在宅医療専門の医療機関に関する評価」、p54「休日の往診に対する評価の充実」、p55~「在宅医療における看取り実績に関する評価の充実」、p61「病院・診療所からの訪問看護の評価」、p62「衛生材料等の提供についての評価、特定保険医療材料等の算定の明確化」、p63「在宅療養における衛生材料等の供給体制」、p64「複数の実施主体による訪問看護の組合せの整理、同一日2か所目の訪問看護ステーションによる緊急訪問の評価」、p65「在宅患者訪問薬剤管理指導料の見直し」等は理解しておきたい。病床機能報告(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html)では、一般病床・療養病床を有する医療機関ごとに、退院先別患者数(在宅復帰率)、退院後の在宅医療必要量と提供、在宅復帰支援状況が公開(毎年更新)されており、みておきたい。もはや、在宅医療の評価は実績評価の時代であることを強く認識したい。ところで、高齢社会白書(http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2015/zenbun/27pdf_index.html)(http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2015/zenbun/pdf/1s1s_1.pdf)p5にあるように、年間死亡者数は2020年には140万人を超え、2030年には160万人を突破することが予想されている。死亡者数の増加スピードは地域によってもかなり異なるであろう。国立社会保障・人口問題研究所「将来推計人口・世帯数」(http://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/Mainmenu.asp)だけではなく、地域別の死亡者数推計が不可欠と感じる。しかし、それ以前に、在宅死亡数(割合)すら把握できていない市町村ではいけない。
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