保健福祉の現場から

感じるままに

生活保護の医療扶助

2010年07月29日 | Weblog
27日に公表された「生活保護の医療扶助における緊急サンプル調査の一次調査結果」(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000gmbj.html)について地方自治体別にもでているのでみておきたい。一次調査では、同一月に複数の医療機関からの向精神薬処方であるが、二次調査では、福祉事務所において、その処方内容・処方量の適否が審査されるという(http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000gmbj-img/2r9852000000gmd0.pdf)。しかし、あくまでこれは緊急サンプル調査である。 向精神薬の過剰入手は貧困ビジネス(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%B2%A7%E5%9B%B0%E3%83%93%E3%82%B8%E3%83%8D%E3%82%B9)の一つとして位置づけられている。そういえば、医療扶助実態調査(http://www.mhlw.go.jp/toukei/list/67-16.html)は平成16年以来、でていない(http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001047635)。今般のサンプル調査を機に、詳細な実態調査が必要、と感じる方が少なくないかもしれない。
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がん検診受診率50%目標に思うこと

2010年07月29日 | Weblog
がん対策推進基本計画中間報告(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/gan_keikaku04.pdf)では、がん検診受診率50%の目標達成は「予断を許さない状況」との表現である。しかし、「受診率50%」というのは、海外からみればそれほど高い数字ではないであろう。「かかりつけ医のためのがん検診ハンドブック」(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/gan_kenshin04.pdf)p11に出ているように、がん検診受診率(乳がん、子宮がん)は英国・米国では7割~8割である。また、「韓国が、がん検診受診率53%を達成した理由―訪間視察報告―」(http://www.wam.go.jp/wamappl/bb14GS50.nsf/0/380f54d550b68aa1492577060002f879/$FILE/20100415_1jirei1.pdf)もでている。さて、第5回乳がんに関する女性の意識調査(http://research.goo.ne.jp/database/data/001080/)では、どのような環境であれば乳がん検診を「受けに行こう」と感じるか?という問いに対し、「検診価格が安いこと」と回答する人が全体の74.5%でダントツトップである。また、がん検診企業アクション事務局が出した「がん検診に関する意識調査」(http://www.gankenshin50.go.jp/pdf/research_100324.pdf)では、「職場でがん検診が実施されるなら、受けたいと思いますか。」という問いに対し、「検診費用が無料なら受診したい」が66.9%で圧倒的である。したがって、女性特有のがん検診推進事業(http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/gan10/index.html)による無料クーポンの活用が期待されるのであるが、一方で、検診の受け皿は大丈夫なのか、気になってしまう。例えば、「医療施設(静態・動態)調査・病院報告の概況」(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/08/index.html)による「医療機器の設置状況と検査実施状況」(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/08/dl/03.pdf)では、平成20年10月1日現在、人口100万対「マンモグラフィー」設置台数は29.7台である。乳がんは基本的に外科であり、マンモグラフィ機器が設置されている診療所は多くない。しかも医療機関では検診ではなく診療が主である。民間の経済研究所の「乳がん検診に関する調査結果 2009」(http://www.yano.co.jp/press/pdf/501.pdf)ではマンモグラフィの充足度に課題があると指摘されている。そして、充足度の課題はマンモグラフィだけではない。先日、拠点病院の乳腺専門医から、精密検査や治療・手術が忙しくてパンクしそうだ、という話を聞いた。がん医療は拠点病院だけではないことは明らかである。そういえば、今晩、県内で運用されている乳がん地域連携パスの講演があるので参加したいと思う。とにかく、「がん検診受診率50%目標」は一面でしかないことは理解すべきかもしれない。
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