保健福祉の現場から

感じるままに

乳がん検診の改善点

2008年11月02日 | Weblog
ピンクリボンキャンペーン(http://pinkribbon.yahoo.co.jp/)は年々活発になっており、乳がん検診の受診者数は増加傾向にある。しかし、平成19年の国民生活基礎調査結果(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa07/index.html)によると、「過去1年間にがん検診を受診した者」は、「乳がん検診」では20.3%に留まっており(http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa07/3-8.html)、国のがん対策推進基本計画(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/06/dl/s0626-13k.pdf)に示す「5年以内に受診率50%」は、非常に高い目標値であろう。ネックになっているのは、職域での受診機会や普及啓発もあるが、それだけではないかもしれない。検診を受診された方々に聞くと、「医師の視触診」と「マンモグラフィの際の痛み」を難点に挙げる方が少なくないようである。国の実施要領(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/04/s0427-2.html)では、乳がん検診は、問診、マンモグラフィ、視触診で行うことになっている。検診実施機関では、視触診を行う専門医師の確保(特に女医)は容易ではない。比較的若い女性では視触診に抵抗を感じる受診者が少なくないようである。自己触診とマンモグラフィでよいではないか、という意見も多い。そして、比較的若い女性に多い充実性の乳房ではマンモグラフィの際に痛みを感じて、もう絶対に受けない、という方もみられる。厚生労働省の報告書(http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/04/s0426-3.html)では、「超音波検査は、乳がんの臨床において有用な検査であるが、現在のところ検診における乳がんの死亡率減少効果について根拠となる報告はなされていない。このようなことから、超音波による検診について、今後その有効性の検証を行うとともに、機器や撮影技術及び読影の技術の標準化、検診における診断基準の確立が課題である。超音波検査については、今後、マンモグラフィで病変が描出されにくい、乳腺密度が高い受診者に対しての活用を検討すべきである。」とされている。「3割のがんは、マンモグラフィーに映らない」との専門家の指摘(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/18201.html;jsessionid=13951FF80D9851ECB1645175A017F170)もある。現在、研究(http://www.j-start.org/)が継続中であるが、充実性乳房の超音波検査の早期導入を期待したいところである。そして、検診の改善として、もう一つ期待したいのは、マンモグラフィのデジタル化である。「がん対策推進基本計画」の目標達成へ向けての国の施策(http://www.wam.go.jp/wamappl/bb11GS20.nsf/0/d3476013cb841ad14925744f0002fdc0/$FILE/20080520_2shiryou5_2.pdf)p11にも示されるように、CAD;Computer Aided Detection(http://www.news2u.net/NRR200827446.html)整備の国庫補助が行われている。専門医によるとCADによって読影の精度は格段に向上するという。デジタル化によって、コストの軽減(X線フィルムや現像液が不要)が図れるだけでなく、比較読影も容易になるであろう。
 乳がん検診の改善点として、医師の視触診省略、若年者の超音波検査導入、マンモグラフィのデジタル化によって、簡便で安く、精度向上が図れるように感じるのであるが、ここは女性の方々の意見をぜひ聞きたいところである。男性には十分に理解できないかもしれない。
コメント
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