保健福祉の現場から

感じるままに

長寿医療

2008年04月19日 | Weblog
「長寿医療のチラシを緊急作成」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/15619.html;jsessionid=C7D2EF8BEE2333FD5A08A015DAA234A8)の記事が目にとまった。後期高齢者医療制度は、まさに、混乱の幕開けといえるかもしれない。連日の報道(http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/domestic/medical_treatment_system/)で、この制度の実態が一挙に知れ渡った感がある。しかし、これからが本番のように感じる。半年後には、これまで医療保険料を負担していない被扶養者高齢者の年金天引が始まり、1年後と2年後に天引額が増加する(http://www.wam.go.jp/wamappl/bb13GS40.nsf/0/b639d27b3daf98e0492573e9000bf0b9/$FILE/20080207_3shiryou1_1.pdf)(http://www.wam.go.jp/wamappl/bb13GS40.nsf/0/b639d27b3daf98e0492573e9000bf0b9/$FILE/20080207_3shiryou1_2.pdf)。後期高齢者医療制度の保険料は2年毎の改定であり、2年後の年金天引額がさらに増えるであろう。それだけではない。平成21年度からの介護保険料の年金天引額が急増するのは避けられないかもしれない。

「長寿医療 混乱の幕開け…15日「天引き」開始」(http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/kaigo_news/20080415-OYT8T00241.htm)。<以下引用>
<わかりにくい保険料 保険証未着6万3000件  75歳以上を対象とする後期高齢者医療制度(長寿医療制度)は波乱含みのスタートとなった。15日には約800万人の年金から保険料が天引きされる。政府は「従来の国民健康保険の保険料と比べ、負担が減る人が多い」と説明するが、周知不足や、地方自治体独自の保険料軽減措置がなくなることなどで、高齢者らの間に混乱が続いている。
低所得層で負担増も 保険料いくら? 「長寿医療制度に批判が多いようだが、説明不足は反省をしている。今後よくわかりやすく説明して参りたい」 福田首相は14日の政府・与党連絡会議で、後期高齢者医療制度の周知徹底に取り組む考えを示した。新制度を巡る混乱の一つは、保険料の分かりにくさだ。一因は、算定方式が根本的に変わったことにある。従来の国民健康保険が「均等割」「所得割」「平等割」「資産割」の4方式などを採用していたが、新制度は「均等割」と「所得割」のみになり、複雑な負担軽減措置が実施される。均等割は、高齢者全員が負担する部分で、全国平均で年4万1500円。所得に応じて7、5、2割の減額措置がある。1人当たりの老人医療費が高い地域ほど保険料率が高めになるよう設計され、1人当たりの医療費が最高の福岡県(年102万円)と最低の長野県(同67万円)の均等割の年間保険料は、それぞれ5万935円と3万5787円で、1万5000円の差がある。新制度は、所得に応じた所得割が保険料に占める比率が、国保に比べて高くなった。こうしたことから、厚生労働省は「低所得者は負担減となり、高所得者は負担増となる傾向がある」と説明している。実際、大阪府広域連合の試算では、年金収入200万円の平均的な厚生年金受給者の場合、新制度の保険料は年7万8728円と、1万7113円の負担減になる。夫が年金収入200万円、妻が基礎年金満額受給の79万円の世帯も、夫婦の保険料は年11万6660円で5243円安い。年金収入379万円までのほぼ全世帯で負担が減少した。
軽減措置消滅  最大の問題は、新制度では都道府県単位で保険料を一本化したため、従来の国保で自治体が独自に行っていた低所得者向けの軽減措置などがなくなることだ。公費投入がなくなった東京の23区では、年金収入約171万円から374万円までの層で、すべて負担は増え、保険料は最大で1・6倍になる。独自の軽減措置を設けていた名古屋市でも所得が一定以下の高齢者の場合、国保の保険料は免除されていたが、新制度では負担が発生する。現行の保険料は、75歳以上の医療給付費総額の10・8兆円(2008年度)の50%を国などの公費で賄い、現役世代の保険料で40%、高齢者の保険料で10%負担している。この現役と高齢者の「40対10」の負担割合は2年ごとに見直され、保険料も変わる。高齢者は今後増え、医療費も伸びるため、厚労省は全国平均で保険料が現在の年7万2000円から、15年度には1万3000円増の8万5000円に上がると試算するなど、将来の負担増が濃厚だ。
首相「説明徹底」  福田首相は14日夜、後期高齢者医療制度について、「総務省、厚生労働省、地方自治体が一丸となって、よく説明していく。制度の説明よりも該当する高齢の方々は『自分は一体どうなるのか』ということを心配している。そういうことを中心によく説明することが必要だと思う」と述べた。首相官邸で記者団の質問に答えた。
全国でトラブル多発 保険料誤徴収 病院も困惑 後期高齢者医療制度を巡っては、新しい保険証が届かなかったり保険料の誤徴収が発覚したりと、各地でトラブルが相次いでいる。制度の周知不足もあり、制度を運営する各都道府県の広域連合や自治体の窓口に問い合わせが殺到している。厚生労働省の集計によると、市区町村が新保険証を郵送しても、本人の不在や転居などにより自治体に戻ってきたのは約6万3000件(9日現在)に上る。この集計に入っていない自治体もあり、実数はさらに多いとみられる。さらに、保険証の形や大きさが変わったことなどから、受け取っても気付かずに捨ててしまうケースも続出。制度がスタートした1日以降、新保険証を持たずに医療機関を訪れる高齢者も相次いでいる。東京都立墨東病院(墨田区)では今月に入り、1日平均100人程度が新保険証を持たずに受診。窓口では旧保険証などをもとに区役所などに問い合わせ、新保険証の内容を確認する作業に追われている。保険料の誤徴収も各地で起きている。高齢者のうち、サラリーマンの被扶養者などには「激変緩和措置」として一定期間の保険料免除・軽減があるのに、システム上、誤って徴収する設定にしてしまい、年金から天引きされる15日までに修正が間に合わないケースが多い。厚労省は自治体に報告を求めているが、実態については「取りまとめ中」として把握に手間取っている。こうした自治体では、過剰・不足分について別途、返還・再徴収の対応を迫られる。制度を運用する広域連合などには「保険料の計算の仕組みが分からない」などの問い合わせが殺到している。15日に銀行口座などに振り込まれる年金額を見て初めて天引き額を実感し、自治体などに苦情を言う人が出てくる可能性もある。>


また、「初の保険料天引き、怒り広がる」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/15598.html)、「後期高齢者医療制度/保険料 国保より上がる」(http://www.asyura2.com/08/iryo02/msg/148.html)、「保険料減は架空の試算」(http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2008-04-09/2008040901_02_0.html)、「後期高齢者医療110番に相談殺到」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/15599.html)との記事もでている。

「保険料負担減の割合「推計せず」=後期高齢者医療制度で-政府答弁書
」(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080418-00000085-jij-pol)。<以下引用>
<政府は18日の閣議で、75歳以上の後期高齢者医療制度(長寿医療制度)で保険料負担が下がる人の割合について、「推計は行っていない」とする答弁書を決定した。民主党の山井和則衆院議員から質問主意書が出ていた。これまで加入していた国民健康保険などと比較した保険料の増減をめぐっては、舛添要一厚生労働相が15日の閣僚懇談会で7、8割の人は保険料が下がるとの趣旨の発言をしていた。厚労省は、約8割の自治体が採用している国保料の算定方式により全国平均で比較した場合、後期高齢者医療保険料は基礎年金受給者や平均的な厚生年金受給者らで下がるとの試算をまとめている。同相は15日夜、記者団に「(閣僚懇では)正確な数字は分からないが、(試算からすると)7割とか8割ぐらいになるんじゃないか、という程度を申し上げた」と説明した。>

一方、後期高齢者診療料(包括制)に対する風当たりが全国各地の医師会で強くなっているようである(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080419-00000269-mailo-l41)(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080418-00000145-mailo-l45)(http://www.nnn.co.jp/news/080415/20080415001.html)(http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn200804180061.html)(http://mainichi.jp/area/ibaraki/news/20080405ddlk08040044000c.html)(http://www.chugoku-np.co.jp/Health/An200804100364.html)(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080418-00000275-mailo-l33)(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080418-00000260-mailo-l32)(http://mainichi.jp/area/fukushima/news/20080419ddlk07010289000c.html)(http://yamagata-np.jp/news/200804/06/kj_2008040600077.php)。医療機関同士で診療請求上の問題が発生すること(複数の医療機関に慢性疾患でかかっている後期高齢者について、1医療機関が後期高齢者診療料を算定すると他の医療機関では様々な管理料が請求できない)や200床以下の病院では原則として後期高齢者診療料を算定する施設基準に該当しないこと等が理由になっているようである。日本看護協会が後期高齢者医療の報酬設定について評価している(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/15600.html)ことと対照的かもしれない。ところで、「高齢者医療で休日相談窓口設置へ」(http://www.cabrain.net/news/article/newsId/15649.html;jsessionid=5F6BD5EDF297865DEACD22EE8CB22AE2)の記事がでている。
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