友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

『今日の書展』を観た後で

2012年01月15日 19時35分09秒 | Weblog

 県美術館ギャラリーで行われている『今日の書展』を観てきた。第25回を記念して、「人間味がにじみ出た豪放磊落な書で近年、注目されている“孤高の書人”三輪田米山の作品」が併設されていて、随分賑わっていた。三輪田米山は幕末から明治期に活躍した伊予松山の人。「酔うほどに気宇壮大な筆を振るったという伝説の書家である。松山出身の友だちと一緒に出掛けたけれど、偶然というものは恐ろしいもので、たまたま東京から展覧会を観に来たという80歳になる婦人と出会い、その方が友だちを捕まえて松山の話を始めた。

 

 その方はリックのように背負う袋からいろいろなものを取り出して友だちに見せていた。私は途中までしか同席しなかったけれど、東京で愛媛県人会の仕事をしているようで、同郷の人の活躍を応援していると話していた。友だちを捕まえて、「あなたに会えて本当に良かった」と何度も口にして頭を下げていた。友だちも世話好きの方だけれど、このお年寄りもそれ以上に世話好きのように見えた。長い立ち話が終わったので「どういう人なの?」と聞くと、友だちはあっけらかんとして「よく分からない」と言う。そうか、彼女は我慢強くお年寄りの話に合わせていたのだと分かった。

 

 松山には『坂の上の雲』に登場する秋山兄弟はじめ、文化面では正岡子規や高浜虚子がいるし、ノーベル賞作家の大江健三郎もいる。夏目漱石の『坊ちゃん』の舞台もこの町だ。私が高校生の時に手紙を出した東大総長の矢内原忠雄さんもここの出身であるし、イラストレイターの真鍋博さん、映画監督の伊丹十三さんもそうだ。私の姉が好きな秋川雅史さんも松山の人だ。松山には文化人が育つ豊かな土壌があるのだろう。一緒に行った友だちのお父さんも書家で俳人でもあるし、そのダンナも同じ松山の出身で大学教授であるし、彼女は文章も書けるし企画もできる有能な女性だ。

 

 今、彼女は大学に勤めているけれど、私たちが大学生の頃とは大きく違っていると言う。大学に入った学生の何人かはウツ病になり、登校できなくなるが、その数は半端ではないらしい。彼女の大学にもカウンセリングの先生が3人いるがとても手が回らないそうだ。相談は予約制で行っているのだが、それでもこなし切れない。大学院生も同じで、ゼミの先生が面倒見のいい先生でないと立ち直るのは困難だと言う。親も一緒になって大変だろうけれど、親が必死にならないと大学の方も動きようがないと話す。

 

 気ままに酒を飲み、酔うほどに気宇壮大な筆を振るうことが出来た時代とは大違いである。学校の先生の中にも、トップ企業と言われる会社にも、身分が保証されていていいわねと言われる公務員にも、ウツ病の人が数多くいる。真面目で正直で敏感な人はウツ病になりやすいと言われる。それなら私もウツ病になってもいい体質だと思うけれど、今のところ胃潰瘍止まりでいる。本人はそう思っているけれど、実は診断を受ければウツ病なのかも知れない。医学が発達して、新しい病気が生まれ過ぎた。病院に行けば必ず何の病気と診断されてしまうので、病院には行きたくない。

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3 コメント

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Unknown ()
2012-01-16 18:39:06
秋川雅史さんは、西条市の出身です。
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Unknown (Unknown)
2012-01-16 19:31:17
えっ、そうなのですか。ごめんなさい、失礼しました。
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Unknown ()
2012-01-16 19:40:02
アイラブ愛媛県!です。
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