6月25日の朝日新聞のbe版に、がれきの中をスコップを担いで歩く白人の写真がのっていた。がっちりとした身体のアメリカ人だ。彼は日本現代政治の論文を書くために西海岸から東大へ留学、東京の大手商社に入社した。山形県の土建会社の一人娘と出会い、結婚しようとするが猛反対された。それでも引かない彼に義父は「日本国籍をとり、養子になって家業を継ぐこと」を条件に許した。土建業は、政・官・業が癒着し合って成り立っている。バブル崩壊を受けた景気対策の大盤振る舞いのため業界は空前の好況だった。それが小泉改革を機に崩壊へと追い込まれ、彼は観光業へ転身した。そんな履歴が書かれていた。
アメリカで育った彼には政・官・業が癒着し合う経済の現実が奇妙なものに見えたのかも知れない。「こんな仕組みはいずれ限界が来る」と思ったとある。日本現代政治を勉強しているのに、政治の姿が見えていなかったようだ。役所の人がこう話していた。「何でも競争にしたら、資本の大きなところが勝つに決まっている。専門の業界ならそのための器材を揃えなくてはならない。せっかく揃えても仕事がなくなってしまえば、借金を抱えることになる。たとえば清掃業ならばそのための車両が必要だが、去年は入札できたけれど今年はできなかったでは倒産してしまう」。
公共の仕事は政・官・業が互いに根回しして決めるから、政は官・業のことを配慮し、官は政・業の間を取り持ち、業は政・官に恩返しをする。中国ならここに必ず賄賂が存在するわけで、中国を笑う人もいるけれど、日本は巧妙にやっているに過ぎない。中国のように政治が強くてもうまくいかないし、自由競争なら役所の人が言うように資本の大きなところが支配することになるだろう。
産経ニュースで現役の経産省官僚が日本の政治の仕組みを批判している。「官僚が国民のために働く仕組みになっていない」とする根拠は、「所属省庁別に実績を評価する現行制度の下では、官僚にとって天下り先の拡大が最大の目標になっている」。「天下りをすれば70歳くらいまで生活が保障される公務員にとって、天下り先を増やし、そこに金が落ちる仕組みを作ることが最大の利益になる。政策や法律と一緒に天下り団体も作る。そうした天下り先は何時までも廃止されずに残っている」。「海江田経産大臣が、各電力会社に天下りしている経産省OBに辞任を求めるとともに、過去の原子力行政に関わった幹部を更迭すれば、国民の疑念は薄らぐ。官僚の反対を押し切って実施すれば、国民だって『海江田さんだけは信用してもいい』と思うだろう」。
ちなみにこの官僚は6月24日に経産省から退職勧告を受けている。昭和30年生まれとあるからまだ56歳だ。本人は海江田大臣の真意を確かめたいとして態度を保留しているそうだけれど、どうなるのだろう。確かにこの官僚が言うように「役所は部署ごとに評価されるので、自分の部署の利益を拡大した人が評価されるし、何もしなくても年功序列で確実にポストや給料が上がる。縦割り人事や年功序列を改め、国民のために仕事をしたかどうかで評価される人事制度にすべき」だろう。しかし、「国民のため」とは何かは難しいところであるし、能力評価も賛否の分かれるところだ。
アメリカで育った彼には政・官・業が癒着し合う経済の現実が奇妙なものに見えたのかも知れない。「こんな仕組みはいずれ限界が来る」と思ったとある。日本現代政治を勉強しているのに、政治の姿が見えていなかったようだ。役所の人がこう話していた。「何でも競争にしたら、資本の大きなところが勝つに決まっている。専門の業界ならそのための器材を揃えなくてはならない。せっかく揃えても仕事がなくなってしまえば、借金を抱えることになる。たとえば清掃業ならばそのための車両が必要だが、去年は入札できたけれど今年はできなかったでは倒産してしまう」。
公共の仕事は政・官・業が互いに根回しして決めるから、政は官・業のことを配慮し、官は政・業の間を取り持ち、業は政・官に恩返しをする。中国ならここに必ず賄賂が存在するわけで、中国を笑う人もいるけれど、日本は巧妙にやっているに過ぎない。中国のように政治が強くてもうまくいかないし、自由競争なら役所の人が言うように資本の大きなところが支配することになるだろう。
産経ニュースで現役の経産省官僚が日本の政治の仕組みを批判している。「官僚が国民のために働く仕組みになっていない」とする根拠は、「所属省庁別に実績を評価する現行制度の下では、官僚にとって天下り先の拡大が最大の目標になっている」。「天下りをすれば70歳くらいまで生活が保障される公務員にとって、天下り先を増やし、そこに金が落ちる仕組みを作ることが最大の利益になる。政策や法律と一緒に天下り団体も作る。そうした天下り先は何時までも廃止されずに残っている」。「海江田経産大臣が、各電力会社に天下りしている経産省OBに辞任を求めるとともに、過去の原子力行政に関わった幹部を更迭すれば、国民の疑念は薄らぐ。官僚の反対を押し切って実施すれば、国民だって『海江田さんだけは信用してもいい』と思うだろう」。
ちなみにこの官僚は6月24日に経産省から退職勧告を受けている。昭和30年生まれとあるからまだ56歳だ。本人は海江田大臣の真意を確かめたいとして態度を保留しているそうだけれど、どうなるのだろう。確かにこの官僚が言うように「役所は部署ごとに評価されるので、自分の部署の利益を拡大した人が評価されるし、何もしなくても年功序列で確実にポストや給料が上がる。縦割り人事や年功序列を改め、国民のために仕事をしたかどうかで評価される人事制度にすべき」だろう。しかし、「国民のため」とは何かは難しいところであるし、能力評価も賛否の分かれるところだ。