玄人の独り言

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先方の先生は早速に所有の五本のギターを見せてくれる。それぞれは、そうは名だたる楽器ではないがオイラの知らない楽器だ。パーティールームを借りて大部屋での音出しと為った。工房物だから独特の造り込と音色であるが、中でも一本「オヤッ！」というオイラ好みの音色の楽器を発見。材質はハカランダという希少木材で造られ糸巻きなんかも象牙製の楽器だが後塗りされていてそれも綺麗ではない。しかしながら音色は好みである。売るか売らないかは判らないが初対面だからそんな話題にはせず、オイラ自作の象牙製のキーホルダーとブライヤー銀巻きのカポダストを差し上げてゆくゆく売却の際にはと下心・下拵えをする。先生は、オイラのタッチ・腕前に圧倒された様でなにやら恥ずかしげに自分の弾き様も見せてくれた。オイラは、あのハカランダならば後塗り・傷多しでも20万円以内ならば欲しいっ！帰途、紹介してくれた師匠に今日の連絡をして遠回しに安ければ欲しいと伝えてくれる様に話した。最近20年間でギターの新調など考えていなかったが久しぶりに
欲しい楽器に出会えた次第である。

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カポダストは、ブライヤー銀巻きと象牙無垢製の決して売られてはいない唯一のモノですなっ！勿論、オイラの自作である。象牙無垢製のカポダストはいささか初対面で差し上げるには勿体無いが事の次第に因っては思い切るつもりでいる。其の、事の次第とは相手さんの楽器をオイラが気に入って、しかも格安譲渡なぁんていう次第だなっ！それでも、駆け引きなんかされたらちょっと思案だし、オイラが気に入らないとなれば話はおじゃんだし、譲渡価格が高ければこれまた無理。と、オイラ自身が駆け引きしている様だが決してそんな事はない。で、京浜鶴見から鶴見市場までの旧東海道をてくてくと歩く。京浜工業地帯特有の裏寂れた飲み屋とか昔ながらのパチンコ屋の今にも倒れそうな看板ポールを撮り古びたソープランドを発見。いいですかっ！此処には用事は無いかんねっ！あまりにも古典的な佇まいにシャッターを切る。そうこうすれば、鶴見川であるが其の旧鶴見大橋の土木遺産的造形に圧倒されバチバチ撮る。まもなく鶴見市場の目的地到着である。

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怠惰な生活が3日続き、いささか飽々ともし食い寝もマズイと鶴見界隈叙情的古典派撮影機械持込散歩術とも思い付きコーヒーを飲みながら地図を開く。先日のギター会見は思えば鶴見市場だったなっー！と感慨深く鶴見の次の駅なんだなっー！と想いを巡らす。三が日も済んだ事だし今一度連絡してみっかっ！と思い立ち電話する。ここまで、「思い付き・思えば・思い立ち・想いを」と「おもい」関係の言葉を四種活用した訳ですな。マァ、其の四種活用で思い切って会見に踏み切る。向かうは鶴見市場だが、会見時間は一時なので京浜鶴見で降り徘徊撮影しながら向かう綿密且つ大胆な計画を立てる。新年早々の初対面に引き出物は何か？と考えていたが、大晦日に鎌倉で買った「鳩サブレ」一袋とオイラ自作の象牙無垢製和玉真珠埋込ギター型キーホルダーを用意する。相手さんは、ギター弾きだから喜んでくれる筈。しかも象牙製だから理解出来る筈。というのは、名器の糸巻きや駒なんかには象牙が使われている。更に、気が合えばギターの調を瞬時に変えるフラメンコ必須の「
カポダスト」も用意した。