視察2日目は、三重県桑名市役所を訪問しました。「介護予防・日常生活支援総合事業」の取り組みについて伺いました。
保健福祉部地域介護課の高橋課長様他2名、議会事務局の方で対応いただきました。
桑名市も三田市の人口と比べ、約3万に多い142千人。高齢化率はやや高い、24.15%。介護に関わる日常生活圏域は、中学校区単位よりやや広い地域として6つの圏域に設定されています。また、市役所本庁内に直営1か所の地域包括支援センターが他の5か所の委託をしたセンターを統括し、5つのセンターが6圏域を担当しています。
本年4月からの新制度導入・スタートの前にかなりの準備をされてきており、全国から視察に訪れているとのことです。
つまり、「総合事業」がどういう位置づけになるのかについて検討を加え、介護保険制度の「あり方」を根本から考えてきたとのことです。
自立支援の原点に立ち返り、お世話だけでなく、「生活全体の自立」支援が必要との位置づけです。
① 介護予防では、「元気な方は、そのまま元気でおられるように」、「元気のない方は、元気を取り戻し改善へ」
② 重度で介護の必要な方は、安易に入院・施設入所ではなく、在宅生活の限界点を高める。介護が必要となっても、住み慣れた地域で生活が継続できるように」
の観点で取り組みを進めておられます。
① 身近な地域での多様な資源を「見える化」し、創出していく。
② 他職種協働によりケアマネジメントを充実させる。
③ 施設機能を地域で展開させる・・・在宅生活を限界点まで高める。
①の「見える化」では、ADLの低下の原因を探り、どのように改善していくかと位置づけ、初期に「短期集中予防サービス」に取り組む.
これにより、改善が見られたら在宅で地域住民による「通いの場」へ参加していただき、介護保険制度ではなく、地域のボランティアのお世話になる。ここではInformal な活動を利用することとなります。この「短期集中」の予防では勿論保健師、OT.PTなどの専門職の指導によります。
こうした高齢者のリハビリは、「活動参加のアプローチ」とさらに進んだ「社会参加のアプローチ」を念頭に置いて取り組まれています。
介護または予防が必要となった時、市の窓口で「基本チェックリスト」によって振り分けられるのではなく、包括支援センターにて専門職jによって吟味され、さらに専門職によって当該者を訪問し、別の30項目にわたるチェックリストによる確認を行います。そのチェックリストを「地域生活応援会議」を利用し、検討のうえで、ケアマネジメントの充実が図られるようにしています。
つまり、ケアマネジャーによる「把握」が最も重要と位置づけされ、ケアプランが作成されます。こうして一人一人の事例について、丁寧に他職種の専門家たちによって分析、適切な予防ができるように共同してケアプランをつくるような形がとられています。
桑名市の特徴は、こうした「地域生活応援会議」を毎週火曜日と金曜日に各包括支援センターで開催し、毎週水曜日には市役所内の地域支援センターによる全体の応援会議の開催です。
これらができるのも、①グループが5件以下の事例を担当し、十分な把握ができるようにされています。また、ケアマネジャーが会議に提出するための利用者に関する情報を提出するために統一したフォームの様式やモニタリングシートを使われています。
こうしたきめ細かい対応をされていますが、それでも現場では様々な問題点、中でも「専門性」が「必要」と「不要」の線引きをどこに置くのかといった混乱が生じているのも事実。今後、専門家によるワーキンググループを立ち上げて明確化へ努力されようとしています。
これまでヘルパーさんによる生活支援が非専門家に変えられることによる「高齢者の変化の気づき」も課題になっています。
三田市では2年後の実施となっていますが、十分すぎる準備と検証が必要と考えます。