常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

ブナとヤマユリ 翁山

2021年08月08日 | 登山
尾花沢と宮城県加美町との県境にある翁山(1075m)は伝説の山である。翁山小屋近くの登山道に「白髪の翁と白鹿に会えましたか?」看板が下山してくる登山者に問いかけている。この山は、昔は宝寿峰と呼ばれていた。ある男が珍しい白鹿を見かけ、この鹿を捕らえようと弓に矢をつがえ射ようとした。するとそこへ現れたのは、白髪の翁だ。「待たれい。わしは春日明神に仕えるもの。全て生きものの命は尊い。この地では無用の殺生しないよう、また神仏のありがたさを万民に知ってもらうためこの地に来た」というと、白鹿と翁は忽然と姿を消した。こことがあってから、人々はこの山を翁山と呼ぶようになった。これが翁山に伝わる伝説である。

連日の猛暑で、山も気温が上がるのでは、と心配しながら朝8時に登山口にきた。翁山小屋がその起点となるが、高橋集落からここまでの林道が、流水に削られた悪路である。小屋までの距離を考えると、悪路もがまんするしかない。登山道に入ると、霧のような雲が垂れこめて、熱暑がまったくない。時折り吹いてくる風に押されるように登山道を進む。ブナの緑が美しい。これで春から何度目のブナ林だろう。見るたびに、その濃度に変化があり、いつも新鮮だ。
特に豪雪の尾花沢でブナ林がブナが反映する。雪に弱い樹種が姿を消し、林床に笹の映える単純林となっていく。結果、夏に木陰の多いブナの樹林が形成される。

登山口から2時間弱、きれいに下刈りされた歩きやすい登山道を登っていく。今日の山行には、新しく会に入った新人が二人、初めてご一緒した。若いTさんと平均年齢のAさん、新人とはいえ登山歴は十分なお二人。足取りも軽々と登られる。会にまた新しい個性が加わって、さらなる活性化が期待される
ブナ林を抜けると、翁山の頂上が見えてきた。登り初めて1時間半、涼しい山中のため、身体も足も疲労は感じない。10時42分、頂上に着く。祠があり、里の五穀豊穣を司るご神体が祀られている。祠から見晴らしのきく頂上へ。霧が一部上がって、登山口やその前の集落が見えてきた。ここで記念撮影。真夏の標高の低い登山にしては、酷暑の街から涼を求めるには十分であった。帰路はヤマユリの群生が風にゆれる黒倉山への稜線を歩く。やや花は終わりかけているが、たくさんの花をつけたユリが、稜線を彩っている。何度も来た仲間は、ユリは減少傾向だといういう。株立ちしたヤマユリが何十もの花をつけ、種類も車ユリなど数種があったとのこと。だが、山の花が少なくなってくるこの時期、これだけの多くのヤマユリの花に癒される時間は貴重だ。

黒倉山との鞍部から、登山口の翁山小屋への道を取る。ここからはロープを張った急坂。歩幅を小さく、重心を後ろにとって下る。道は多少滑りやすいが、安全のためのロープあって下りやすい。一時間ほど下って山中の木陰で昼食となる。登山口には11時30分。帰路、担当のSさんの尾花沢の実家で、冷やした大きなスイカを割ってお・も・て・な・し。その味は、燕岳の合戦小屋で食べたもの数倍、その量はお腹がいっぱいになるほど。山登りで涼をむさぼり、下りてスイカで喉を潤す、最高の一日になった。本日の参加者、13名、内男性3名、新人2名。
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