朝がめっきり涼しくなった。久しぶりの秋晴れの空のなかに立つ木の姿も美しい。蝉はいつのまにか鳴くのを止め虫の声が主役になっている。散歩道の田では稲穂が頭を垂れている。今年の米は豊作らしい。果物はどうか。気候の変動が農作物に強く影響する。昨日生協の売り場を覗いたら5年産の県産米5㌔袋が売り場いっぱいに積まれていた。米がないという、日本人全体の不安が世のなかを大きく動かす。微妙なバランスで成り立っている需給はみんなの不安で一気に売り場の棚を空にする。売り場に米が並ぶのを見て、「ない時はカップ麺や外食でしのいでいました」と語るお母さんがいた。
米が無いと聞いて人々は過去を思い出す。戦後の食糧のない時代が頭に浮かび、近年の不作ではタイ米がスーパー並んだことを思い出す。同時に、大災害が来て米が作れなくなる日本を思い浮かべる。だが、過去や将来をいくら考えても問題が解決するわけではない。不安になって買いだめが多かったのが不足の理由。このひと時を代用食でやり過ごす知恵を持てば米はまたスーパーの棚に並ぶ。心理学者アドラーの言葉。
楽観的であれ。過去を悔やむのではなく、
未来を不安視するのでもなく、
いま現在の「ここ」だけを見るのだ。