常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

雪女

2021年12月20日 | 日記
『遠野物語』に雪女の話がある。寒い冬の満月に雪女が出るという。小正月の日には、子どもたちは橇遊びに夢中になって、夜になるのも忘れて遊び呆ける。家では、そんな子どもたちへの戒めとして、夜には雪女が出るから早く帰ろと教えた。雪女はたくさんの童子を連れて来て遊ばせるに来るというが、実際に雪女を見た人はいない。

小泉八雲の『怪談』にも「雪女」の話がある。二人の木こりが林に入って仕事をしていたが、夕方になって吹雪いてきた。川の渡しは、渡守の姿も見えず、二人はその番小屋で、一晩寒さをしのぐことにした。一人は初老の木こりで、もう一人は18歳の若者であった。小屋にあった筵をひき被って二人は寝た。初老の木こりは、そんな寒いなかでも直ぐに寝入ってしまった。若者の方は、寒さと、川のごうごうと流れる音や風が気になって寝付かれない。それでも、疲れが出てたまらず寝入った。

若者は顔のあたりさらさらと雪がかかる気がして目覚めた。締めたはずの小屋の戸が開いて、なかに女がいた。女は寝ている老人に被さるようにして息を吹きかけている。老人は息が絶えて死んだように見えた。若者が恐ろしさのあまり、声をあげると、気づいた女が若者の方へ近づき、顔を見た。するとちょっと微笑んで、若くかわいいから助けてあげる。このことは他言無用だよ。と言って女は小屋を出ていった。このことがあってからも、若者は木こりの仕事で林に通い続けた。そして若者と、この雪女が結婚して、10人の子どもを産んだ。美人で申し分のない嫁であったが、話は木こりが番小屋のでの思い出を語ることで正体を現す。

雪国には、雪女のお化けの話が語り伝えられている。現代風に変えられて、仙台への街道で車を運転していると、女が歩けなくなったから乗せて欲しいと頼んでくる。可哀そうに思って乗せていくと、いつの間にか乗せた筈の女がいなくなっている。座席には、べったりと濡れたあとがあり、乗せた女が雪女であったことに気づく。こんな体験話がまことしやかに語り伝えられている。

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